ドラマの重要なシーンも「味付け」 フードコーディネーターの裏側と自己流餃子レシピ

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2025年05月07日 11:49  TBS NEWS DIG

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TBS NEWS DIG

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日々の食卓に並ぶ料理の中でも、具材やタレをアレンジしたり、一緒に包んだりして楽しめる人気の一品、餃子。ドラマ『三人夫婦』(TBS系)の劇中にも登場し、ストーリー展開やキャラクターの感情表現にもつながる重要な食事シーンを「味付け」する一品になっている。

【写真をみる】三人で仲良く餃子を食べる浅香航大、朝倉あき、鈴木大河(IMP.)

「食卓を囲むのは、一番コミュニケーションが取れる大切な時間」と話し、自身も家族との食事を大事にしているという、フードコーディネーターの石田有花さん。同作でフードコーディネートを担当し、“三人夫婦”の食卓を裏で支える石田さんに、おすすめの餃子レシピや調理の際のコツ、共同生活での食事当番の役割などについて、話を聞いた。

一緒に包んで楽しく おすすめ餃子レシピ

今回、ドラマの撮影現場で作る「消え物(劇中で使われてなくなる食べ物など)」の工夫や、普段使いの餃子作りのコツを教えてくれた石田さん。「家で包んですぐに食べるときは、キャベツをそのまま刻んで包むのでも大丈夫なのですが、撮影時など、作ってからすぐに焼かない場合は、野菜から水分が出て皮がふやけてしまうのを避けるために、キャベツは一度塩を振って水抜きをして、よく絞ってから使います」と、仕込みの方法を工夫。

「演者さんが気兼ねなく食べられるように、ニンニクを抜いてショウガだけにしたり、ニラも匂いが出てしまうので、実際に召し上がってもらうものは、ニラの代わりにネギを入れたりするなど、工夫しています」と、プロならではの仕事も。「タレに関しては、みんなで食べるからこそ、いろいろな味が合うように考えています」と、プライベートでも下味はあえて強めに付け、「タレをつけなくてもおいしく食べられる」餃子を意識していると言う。

「キャベツ派か白菜派かで言うと、私はキャベツが好きで、芯までみじん切りにして使います。芯に甘みがあるのと、味付けにオイスターソースを少し入れても、甘みとコクが出ます」と続け、「さらに、ラードも入れるとジューシーになります」とも。タネは、豚ひき肉よりも野菜を多めにしてさっぱりと仕上げ、「家族で一緒に包んで楽しく食べられるように、皮や焼き方にはそこまでこだわりません」と、誰でも気軽に作れるレシピを提案する。

【石田有花さんの餃子レシピ】

材料(餃子50個)
豚ひき肉  300g
キャベツ  350g(芯まで細かく)
ニラ  50g
ニンニク、ショウガ  各1かけ(チューブでもOK)

調味料(A)
醤油  大2
オイスターソース  大1強
ごま油、砂糖、酒、片栗粉  各小2
塩 小1
こしょう  少々
ラード(お好みで入れたらジューシーに)

作り方
(1)野菜を刻んでおく。
(2)豚ひき肉に調味料Aと生姜とニンニクを加えてよくこねる。
(3)ひき肉に粘り気が出たら、野菜を加えてこねる。
(4)よく混ざったら餃子の皮で包む。
(5)フライパンにサラダ油を入れて中火で熱し、餃子を並べる。餃子の焼き色がきつね色になるまで確認しながら焼く。
(6)焼き色がついたら、餃子が半分浸るほど水を入れ、フタをして強めの中火で蒸し焼きにする。
(7)水分が無くなってきたらフタを外し、水分が完全に無くなったらごま油を回し入れ、おいしそうな焼き色がついたら完成。

餃子を作る際のちょっとしたコツの一つとして、石田さんが勧めるのは、タネの味見。「タネは生だと食べられないので、皮で包む前に一度、ラップなどに少しだけ包み、電子レンジで30秒ほど温めて味をチェックします。味を決めてから包めるので、おすすめです」

作りすぎた際の活用法も披露。タネを作り過ぎた場合は、「母がよく作ってくれたのですが、ハンバーグや小判焼きのようにして、みそとしょうゆで甘辛く焼いて食べるとおいしいです」と、別の料理に変身。皮が余った際は、「皮は揚げるとパリパリになっておいしいので、細切りにして揚げて、サラダなどにかけるのもおすすめです。ワンタンの皮などでも応用できます」と、発想の転換で問題を解決。

餃子自体が余った場合は、「包んだ後に野菜から水分が出ていない段階で、冷凍してストックしておくと、食べたいときにすぐに焼いて食べられます」と冷凍ストックを推奨。ここでも、焼くだけでなく「市販のワカメスープなどを鍋で温めて入れてゆでると、簡単に水餃子も作れます」と簡単アレンジを明かす。「餃子だけをゆでて好きなパスタソースなどであえると、ラビオリ風にもなる」と、目からうろこのアレンジも。

「私はニンニクが好きなので、たっぷり入れてしまいますね。タレにごま油を入れて食べるのも好きで、しょうゆとごま油をいっぱいつけて食べます」(石田さん)と、人それぞれの好みに合わせて簡単に味付けや食べ方を工夫できるのも、餃子の魅力の一つ。「撮影では、演者さんたちから〈甘みがありますね〉と言っていただき、好評でした」と話す。

足し算や引き算で生まれる、自己流レシピ

フードコーディネーターになったいきさつについて、「小学生の時にドラマを見て、洋食屋さんやケーキを扱うカフェのような店がやりたいなと思い始めたのがきっかけです」と振り返る石田さん。その後、調理を学べる高校に入り、在学中に調理師免許を取得した後に専門学校に通う中で、映画を観るのが好きだったこともあり、「お店を出すよりも、映像の世界に携われるフードコーディネーターの仕事がしたいと思い始めました」と明かす。

専門学校卒業後、飲食店勤務なども経て、「10年ほどかかりましたが、ご縁がありテレビ局の仕事をしているフードコーディネートの会社に入り、やっと夢にたどり着けました。5年ほど勤め、去年独立しました」と、現在は複数の作品を抱え、活躍している。

普段料理を作る際には、「自分が作ってみたいものや、食べてみたいものを作っています。家庭料理というよりは、ちょっと手の込んだものを、作ってみたいときに作ることが多いです」と、直感や好奇心に沿って料理と向き合っているという。

「いろいろなレシピを見て、〈このレシピのここがおいしそう〉と思ったものを、自分なりに、足し算や引き算をして作ることが多いです。ネットサーフィンをしていておすすめに出てくるレシピを見つけたり、急に〈あれが食べたい〉と思ったりしたときに、作ってみようと思いますね」と、新たなレシピに挑戦している。

最近では「圧力鍋にハマっていた」と言い、さまざまな煮込み料理を作る中で、カレーにも挑戦。「野菜がトロトロになってルウに溶け込んで、お肉しか形が残っていないカレーが食べたくなって作りました」という、具材を圧力鍋で煮たカレーは、「玉ねぎをじっくり弱火で炒め、あめ色玉ねぎにして圧力鍋に入れて、野菜は人参も全て崩れて、大きめに切った牛肉もホロホロになっておいしかったです」と成功。

「自分で一から考えるというよりは、調べて出てきたものを、自分が思う〈いいとこ取り〉のような感じで組み合わせたり、試しに別のものを入れてみたりしています。調味料も、レシピ通りには入れなかったり、自分で合いそうだと思ったものを入れてみたりします」と独自に調理法をアレンジ。「プライベートで料理する場合は、試作もせず、大ざっぱに作ることが多いです」と、自由に料理を楽しむ。

食卓を囲む大切さ 「当番制」のポイントも

ドラマでは、主人公の三津田拓三と、その元カノ・矢野口美愛、美愛の彼氏・里村新平が、自分たちらしい幸せを模索しながら一つ屋根の下で暮らす様子を描き、料理は3人の「当番制」となっている。3人に限らず、共同生活を営む中で、日によって誰が料理を担当するのかは、必ず出てくる問題の一つ。

石田さんは、「美愛さんは、周りよりも〈今日は自分がこれを食べたい〉〈でも作るのは面倒くさいから買おう〉というように、自分の食べたいものを買ってくるイメージ。新平さん担当の日は、彼は料理が作れるという設定なので、手作りが基本になります。ただ、新平さんも、基本的には自分が食べたい料理を作るというイメージです」と分析。「二人に関しては、ハンバーグやオムライスなど、若くてポップな料理が多いです」と続ける。

「それに対して、拓三さんは中立的な立ち位置で、例えばこってり系のものが続いていたら、〈そろそろ野菜いっぱいなものを取り入れよう〉とバランスを取ったり、皆の栄養面を気にしたりしているイメージです」と、二人との違いを考察。「自分の食べたいものばかりではなくて、たまにみんなでお互いの好きなものを作る。落ち込んでいるときや、良いことがあったときに、相手の好きなものを作って食べることもあって、3人でうまく当番を回しているなと思います」と、3人の絶妙なバランスが当番制の鍵になっていると言う。

その上で、「食事しながらの時間は、家族でも一番コミュニケーションが取れる大切な時間だと思います。家族が皆それぞれの別の時間を過ごしていても、〈ごはんだよ〉と言ったら一つの場所に集まってくる。皆が一緒にいられるその瞬間に、近況報告やたわいもない話をするのが、とても良い時間だなと思います」と、献立だけでなく食卓を囲む大切さについても触れる。

コロナ禍で黙食が求められた時期を振り返りつつ、「黙って食べると、料理そのものは楽しめたとしても、一人で食べるのと変わらないような感じがしてしまいます。おしゃべりと食べることが合わさってこそ、食卓の楽しさが感じられるんだなと思いました」と、食卓を囲むあたたかさを改めて実感。

「その時間を、より楽しくするちょっとした〈アイテム〉がごはんなのかなとも思います。そこでおいしくないごはんだと、機嫌が悪くなったり、楽しい話ができなかったりもしますよね。やはりおいしいごはんがあると、会話も弾んで楽しくなるなと思います」と笑顔を見せる。

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