フリーランスの退職金づくり!「小規模企業共済」と「iDeCo」の仕組みを解説

0

2025年05月07日 12:21  All About

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

All About

会社員や公務員には「退職金」や「厚生年金」がありますが、フリーランスが受け取れるのは「国民年金」のみ。今回は、そんなフリーランスの方が「退職金づくり」として活用できる、心強い制度をご紹介します。
最近は、会社にとらわれず、自分らしいスタイルで働く「フリーランス」や「個人事業主」として活躍する方が増えています。

自由な働き方には魅力がある一方で、「退職金がない」「老後の年金が少ない」といった不安を感じることもあるのではないでしょうか。

会社員や公務員には「退職金」や「厚生年金」がありますが、フリーランスが受け取れるのは「国民年金」のみ。そのため、将来の備えは「自分で準備する」ことがとても大切になります。

今回は、そんなフリーランスの方が「退職金づくり」として活用できる、心強い制度をご紹介します。

方法1:小規模企業共済制度

フリーランスや個人事業主の方にとって、退職金の代わりになるのが「小規模企業共済」です。これは、国がつくった「自分で準備する退職金制度」で、運営しているのは国の機関である中小機構(独立行政法人中小企業基盤整備機構)です。現在、全国で約159万人の方が利用しています。(2022年3月現在)

どんな人が加入できる?

小規模企業共済の加入の対象となるのは、「フリーランス」、「個人事業主」、小さな会社の経営者・役員の方などです。例えば、こんな職業の方が該当します。

・個人で小売業・建設業・飲食業などを営んでいる方
・理容師、美容師、農家、個人タクシーの方
・弁護士、税理士などの「士業」で独立して働く方

個人事業主として税務署に開業届を届け出て、事業所得を得ていることにより確定申告をしている方が加入できます。

小規模企業共済のメリットは?

小規模企業共済には、以下の3つのメリットがあります。

【メリット1】月々1000円から始められ、掛金は全額「所得控除」
小規模企業共済の毎月の掛金は、1000〜7万円の範囲内(500円単位)で自由に設定できます。しかも掛金は全て「所得控除」の対象になるので、節税効果もバツグンです。

【メリット2】共済金は一括でも分割でも受け取れる
退職や廃業時には、積み立てたお金(共済金)を受け取れます。その際の受け取り方は、一括・分割・一括と分割の併用が選べます。「一括」であれば、退職所得扱いとなります。また、「分割」の場合も、公的年金等控除の対象となり、どちらも税制上の優遇が受けられます。

【メリット3】事業資金を掛金の範囲で借りられる
万が一のときは、掛金の範囲内で「低金利での借り入れ」も可能です。即日で借りられるケースもあり、事業の強い味方です。

小規模企業共済の注意点

小規模企業共済は「長く続けること」が前提の制度です。

そのため、加入から12カ月未満で解約した場合、掛金は一切戻ってきません。また、加入期間が20年未満で解約すると、掛金よりも少ない金額しか戻らない(元本割れ)ことがあります。

ただし、以下のようなケースでは、元本割れせず、掛金以上の金額が受け取れることもあります。

・65歳以上で20年近く積み立てていた場合
・廃業や死亡など、やむを得ない理由による解約の場合

小規模企業共済は、月々1000円から始められて、掛金の増減が自由にできます。長く続けるためには、事業を始めたばかりのタイミングでは最低額でスタートし、軌道に乗ってきたら掛金を増やすなど柔軟な使い方をするとよいでしょう。

方法2:iDeCo(個人型確定拠出年金)

iDeCo(個人型確定拠出年金)は、将来もらえる公的年金に自分自身でプラスできる私的年金制度です。毎月自分で掛金を積み立て、運用して、原則60歳以降に年金または一時金として受け取る仕組みとなっています。

国民年金の第1号被保険者であるフリーランスや個人事業主の方は、月々最大6万8000円まで積み立てが可能です。スタートは月5000円から、1000円単位で自由に設定できます。このため、小規模企業共済と同様に、最初は少額から始め、収入が安定してきたら掛金を増やすなど、柔軟な対応が可能となります。

また、iDeCoの税制メリットは小規模企業共済と共通する点も多く、以下の3つが挙げられます。

・掛金が全額所得控除され、節税効果が期待できる
・運用で得た利益が非課税となる
・将来、一時金または年金として受け取る際も、税制上の優遇が受けられる

一時金で受け取る場合は「退職所得控除」、年金形式なら「公的年金等控除」の対象になります。このように、iDeCoは自分で老後資金をしっかり準備したいフリーランスや個人事業主の方にとって、非常に魅力的な制度です。

文:舟本 美子(ファイナンシャルプランナー)

会計事務所、保険代理店や外資系の保険会社で営業職として勤務後、FPとして独立。人と比較しない自分に合ったお金との付き合い方を発信。3匹の保護猫と暮らす。All About おひとりさまのお金・ペットのお金ガイド。(文:舟本 美子(ファイナンシャルプランナー))

    前日のランキングへ

    ニュース設定