ミニPCを多数手がけるGEEKOMが、プロ向けのハイエンドモデルとなるGTシリーズの新モデルとして、Intel Core i9-13900HKを搭載した「GEEKOM GT13 Pro 2025 エディション」を発売した。メモリは32GB、ストレージは1TBの構成で価格は9万9900円(原稿執筆時)だ。
GEEKOM GT13 Pro自体は2024年に発売されていたもので、CPUはIntel Core i9-13900Hを搭載していた。2025年エディションでは、CPUがCore i9-13900HKになったが、それ以外に変更はない。
今回、新しいGEEKOM GT13 Pro 2025エディションを試用する機会があったので、簡単に紹介していこう。
●小型ボディーでVESAマウントアダプターも付属
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外観はGEEKOM製品では見慣れたもので、「GEEKOM A6/A7/A8」と共通だ。この辺りは上手くパーツを使い回すことで、コストダウンを図っているのだろう。本体はアルミ製のボディーを採用しており、安っぽさは感じない。サイズは約112.4(幅)×112.4(奥行き)×37(高さ)mmで、片手に収まるコンパクトさだ。
●豊富なインタフェースを用意 最大4画面出力にも対応
プロセッサには、第13世代のIntel Core i9-13900HKを搭載する。従来モデルのCore i9-13900Hとベースは同じで、オーバークロックに対応しているというのが違いだ。14コア(6基の高性能コアと8基の高効率コア)20スレッドで、Pコアのベースクロックは2.6GHz、最大で5.4GHzのハイエンド仕様だ。
メモリは32GB(16GB×2/DDR4-3200)で最大64GBまで増設可能だ。ストレージはPCIe 4.0 x4対応のM.2 SSD(容量は1TB)を搭載する。中央にはType 2242サイズの空きスロットがあり、M.2タイプのSATA SSDなどを増設できる。
インタフェースは、ボディー正面に2基のUSB 3.2 Gen 2 Standard-A端子とヘッドフォン端子、背面にUSB 3.2 Gen 2 Standard-A、USB 2.0 Standard-A、USB 4 Gen 3 Type-C×2、有線LAN(2.5GbE対応)、HDMI 2.0出力×2の各端子を備えている。向かって左側面には、SDメモリーカードスロットもある。
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2基のHDMI出力とUSB4端子を利用すれば、最大4画面の4K(3840×2160ピクセル)の同時出力に対応している。HDMI単体では8K出力も可能だ。
●ポテンシャルはあるがフルに性能を引き出せていない
ここからはベンチマークのスコアを確認していこう。比較のため、「GEEKOM A6」(Ryzen 7 6800H/32GBメモリ)、「GEEKOM A7」(Ryzen 9 7940HS/32GBメモリ)と「ROG Flow Z13」(Core i9-13900H/16GBメモリ、GPUはIntel Iris Xe Graphicsを使用)のスコアも併記している。
まずはCPUの性能を測るCINEBENCH R23の結果だが、マルチコアで「1万1106pts」、シングルコアで「1722pts」だった。ROG Flow Z13と比較しても、Core i9-13900HKのスコアとしては、低めな印象だ。以前にレビューした「GEEKOM NUC MINI IT13」の場合と同様にCPU性能に対して廃熱が間にあっていないと考えられる。やはりこのクラスのCPUをフルに生かすには、もう少し大きなボディーや冷却装置が必要になるのだろう。
PCの総合的な性能を計測するPCMark 10のスコアは「5741」だった。日常的なPC作業のEssentialは「9772」、オフィス作業のProductivityは「7304」、写真や動画などのデジタルコンテンツ編集のDigital Content Creationは「7193」という結果になった。
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このスコアであれば、一般的なオフィスユースで困ることはないだろう。GPUはCore i9-13900HK内蔵のIntel Iris Xe Graphics eligibleだが、Digital Content Creationのスコアも7193あるので、本格的な動画編集は厳しくても、ちょっとした画像編集程度は問題なくこなせると考えていいだろう。
グラフィックス性能を測る3DMarkのテスト結果は下記の通りだ。スコア的にはRyzen 7 6800Hにも届いておらず、PCゲームを快適にプレイできるとは言い難い。
試しに、FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITIONのベンチマークを実施したところ、軽量品質/1920×1080ピクセル/フルスクリーン設定で「2905(やや重い)」という結果になった。解像度を1280×720ピクセルまで落とすと、軽量品質で「4211(普通)」になったので、軽めのゲームであれば設定次第で何とかといったところだ。
手のひらサイズのミニPCにCore i9-13900HKを詰め込んでも、フルに機能を生かすのは難しそうだというのが正直な感想だ。コンパクトさを優先するのであれば、同じサイズで価格も安いGEEKOM A6でも十分だろう。
ただ、Core i9-13900HKはグラフィックス性能が弱いものの、CPUとしてのポテンシャルは間違いなく高い。オフィスユースでは少々オーバースペックな気もするが、USB4経由で外部GPUボックスを接続するなど、カスタマイズのベースとしては面白そうなモデルだ。
(製品協力:GEEKOM)
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