新制度の詳細は特設サイト「太陽光ポータル」で確認できる【家電コンサルのお得な話・248】2025年4月から、東京都で新築戸建て住宅などへの太陽光パネル設置が義務化された。全国初の制度であり、対象となるのは、年間2万平方メートル以上の住宅を都内で供給する大手ハウスメーカーなどである。都は、2030年までに温室効果ガスを半減させる「カーボンハーフ」の実現を掲げており、その一環として今回の義務化が導入されることになった。
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●2025年4月スタート
まず、この新制度は「東京都内の住宅はすべて太陽光パネルを設置しなければならない」という意味ではないので勘違いしないでいただきたい。対象は、あくまで大手ハウスメーカーが供給する新築住宅に限られ、既存住宅を含む全ての建物に一律で設置を強制するものではない。新築であっても、日照条件が悪い立地や屋根面積が狭い物件などは、設置義務の対象外とされる。
制度のメリットは、大きく三つある。光熱費の削減に始まり、災害時にも最低限の電力を確保できる点、そして二酸化炭素(CO2)削減による環境への貢献など、導入には現実的な利点がそろっている。
一方で、課題も少なくない。まず、太陽光パネル設置なしに比べ、初期費用が増えることが挙げられる。補助金があるとはいえ、自己負担は数十万円に達し、メンテナンスや機器交換にも定期的なコストが発生する。必然的に総費用が上がり、都内での新築戸建住宅の購入がさらに難しくなる懸念もある。さらに、発電量のばらつきや設置環境の個体差といった課題があり、消費者がそれらのリスクを背負う形になっている。
また再エネに関して、欧州では、再エネのコスト高や電力の不安定さが表面化し、グリーン投資そのものにブレーキがかかっている状況だ。米国でも、政権交代によって脱炭素政策が大きく見直されつつある。こうした利権や政局に結びついた不安定さに不信感を抱いている方も少なくないかと思われる。多くの太陽光パネルは中国製という点を批判する声も上がっている。
このように制度をめぐる環境変化や意見が分かれる中、東京都民は、自ら情報を集め、主体的に判断する姿勢が求められている。住まいは、単なる住居ではなく、未来への意思表示でもある。立地を含め、自分が納得できる住宅を、自分で選ぶ時代が始まったといえるだろう。(堀田経営コンサルタント事務所・堀田泰希)
■Profile
堀田泰希
1962年生まれ。大手家電量販企業に幹部職として勤務。2007年11月、堀田経営コンサルティング事務所を個人創業。大手家電メーカー、専門メーカー、家電量販企業で実施している社内研修はその実戦的内容から評価が高い。