
コーヒーにはさまざまな健康効果があると言われています。ただ、コーヒーの淹れ方によって、成分の抽出量は大きく変わってくるとのこと。そこで、コーヒーの味や香りはもちろん、健康に効果的な成分もしっかりと抽出できる正しい淹れ方について、YouTubeチャンネルの登録者数が50万人を誇る、医師でヘルスコーチの石黒成治先生に教えてもらいました。
世界中で“コーヒー豆”が不足している
現在、世界中でコーヒーの消費量がものすごく上がっていて、生産が追いつかずに不足しがちな状態に陥っています。
しかも、コーヒーはデリケートな食物で、気候や土壌などの農業条件の影響を受けやすいので、近年の気候変動によって栽培が脅かされています。
コーヒーにはロブスタ種やリベリカ種といった種類がありますが、中でもアラビカ種は気温などの気候状態に影響を非常に受けやすく、生産量の確保が難しくなってきています。
そのため、なるべく少ないコーヒー豆で香りと味がしっかりと出せる方法はないかという研究が、アメリカのペンシルバニア大学で行われました。
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“注ぐお湯の勢い”がとても重要
この研究によって、注ぐお湯の勢いが大事だということがまずわかりました。
ドリップコーヒーは、お湯を注いで雪崩のような状態をコーヒー豆に起こし、その勢いによって中で攪拌されます。
実際にコーヒーの粉を使って抽出液に含まれている成分量を見ていくと、この雪崩をしっかりと利用して水を落としたほうが攪拌時間が長くなり、コーヒーの豆の成分が抽出されやすくなることがわかりました。
つまり、豆の量を増やすだけではなく、お湯の勢いをしっかりと出すことによって、コーヒーの味わいや強さを自在にコントロールできる可能性があるのです。
“高さ”を出すことも淹れ方のポイント
コーヒーの淹れ方ですが、高い位置からしっかりと注ぐことが重要なポイント。お湯の流れが太すぎず細すぎず、一定の塊として落ちてくることが大事です。
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グースネックといわれるやかんで太めの注ぎ口から入れるのが、高さを出すのと攪拌を起こすのに有効です。
集中した水流がコーヒー豆に当たることで、雪崩のようにコーヒーの豆が攪拌され、下の層の粉が上に舞い上がります。
このようにしっかりと動くことによって水と粉の接触時間が増えて、少ない豆の量でも濃いコーヒーが得られます。
逆に、注ぎ口を細くしてしまうと、コーヒー豆の攪拌効果がなかなか得られずに味が出にくくなってしまいます。
自宅でドリップコーヒーを行う際は、注ぐお湯の勢いをある程度は出すことを意識することが、豆の量を抑えながらもおいしいコーヒーを淹れる上で重要ということです。
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しっかりと出るということは、コーヒーの抗酸化物質の成分もたくさん出るので、トリップをするときには淹れ方に注意してみてください。
(TEXT:山田周平)
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画像提供:Adobe Stock
石黒成治先生
消化器外科医、ヘルスコーチ。
1973年、名古屋市生まれ。1997年、名古屋大学医学部卒。国立がん研究センター中央病院で大腸癌外科治療のトレーニングを受ける。その後、名古屋大学医学部附属病院、愛知県がんセンター中央病院、愛知医科大学病院に勤務する。2018年から予防医療を行うヘルスコーチとしての活動を開始。腸内環境の改善法、薬に頼らない健康法の普及を目的に、メールマガジン、YouTube、Instagram、Facebookなどで知識、情報を分かりやすく発信している。Dr Ishiguro YouTubeチャンネル登録者数は50万人超(2025年5月時点)。