札幌市の繁華街・ススキノのホテルで会社員男性(当時62歳)を殺害し、頭部を切断したなどとして田村瑠奈被告(31)ら親子3人が殺人罪などに問われた事件で、札幌地裁が母の浩子被告(62)に執行猶予付きの有罪判決を言い渡した7日、法廷には多くの傍聴人が詰めかけた。
事件は2023年7月に発生して以降、社会の注目を集めてきた。3月の父修被告(61)に続く両親の判決公判となったこの日は、50席の傍聴券を求める希望者が開廷約3時間前に地裁内で列を作り、整理券は147枚配られた。
浩子被告は髪を後ろで一つに束ね、白い襟付きシャツに黒い上着を着て出廷。懲役1年2月、執行猶予3年の判決が言い渡されても、証言台で直立したまま微動だにせず、渡辺史朗裁判長らに向き合った。
地裁は弁護側の無罪主張を退け、死体遺棄と死体損壊のほう助罪を認定したが、約40分間の公判中に浩子被告が表情を変える様子は見られなかった。
渡辺裁判長は判決で、男性の頭部を自宅に保管する瑠奈被告をとがめたり、警察に通報したりしなかったことなどを踏まえ、浩子被告の行動を「重要なほう助行為」と非難。「犯行を阻止できる唯一の立場にあったが、瑠奈被告の犯行の意思を促進した程度は小さくなかった」とも批判した。
|
|
一方で、「前もって犯行に協力する意思を有しておらず、遺体の隠匿を事後的に容認したにとどまり、損壊は物理的にほう助したとはいえない」と指摘した。その上で浩子被告に対し、「母として(瑠奈被告に)正しい接し方をしてあげてください」と説諭した。
地裁は3月、修被告に死体遺棄と死体損壊のほう助罪で懲役1年4月、執行猶予4年を言い渡しており、この日で両親の1審は終わった。両親は無罪を主張していずれも控訴。弁護側は判決を不服とし、「上級審にきちんと判断してもらうしかない」などとしている。【谷口拓未】
|
|
|
|
Copyright(C) 2025 THE MAINICHI NEWSPAPERS. 記事・写真の無断転載を禁じます。
掲載情報の著作権は提供元企業に帰属します。