
AEDを使用して「女性」を救護すると訴訟を起こされる不安がある…という声がSNS上で大きな論争となっている。
倒れている女性を介抱するふりをして不必要に身体を触ったり、救護の場で肌をさらされてしまう女性を撮影したり、覗き込む男性が少なからずいる、という声が論争の原因だが、この件に関して、東京消防庁が発行する「上級救命技能認定証」を持っているという人物が、「私は女に対してAEDは使いません」とX(旧Twitter)に投稿し話題となった。
「AED」使えば助かる可能性がおよそ4倍に
政府広報オンラインには、「救急隊到着までにその場に居合わせた人が救命措置をすると、何も処置をしなかった場合と比べて助かる可能性がおよそ2倍、AEDを使用した場合、助かる可能性がおよそ4倍になる」と記されている。
だが、要救護者が「女性」である場合、発見したのが男性であれば、たとえ救護の講習を受けていても、いわば「見殺し」にするという意見があった。
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この件について、「上級救命技能認定証」を発行する東京消防庁に聞いた。
「救命講習」では肌の露出を周囲にさらさない配慮の必要性と、電極パッドを正しく貼ることを優先するよう説明
ーー「上級救命技能認定証」とはどういったものなのですか?
「講習の受講は住民の任意の意思によるものであり、講習を修了することで誰でも認定証を取得できます。救命講習は国の要綱に基づき、全国の消防本部が住民に対し応急手当に関する正しい知識と技術を普及するために行う講習であり、標準的な講習として普通救命講習と上級救命講習があります。
上級救命講習では、普通救命講習(成人の心肺蘇生法、窒息の応急手当、止血法)の講習内容に加え、小児・乳児の心肺蘇生法、包帯法や搬送法といったその他の応急手当の項目が含まれています」
ーー「上級救命技能認定証」の保持者は要救護者を選別できるのですか?
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「応急手当が必要なすべての傷病者に対して、救急車が到着するまでの間、一人でも多くの人による応急手当の実施が望まれます。ただ、前述の通り、『上級救命技能認定証』は住民が救命講習を受講したことにより、応急手当の正しい知識と技術についての各種項目を修了した際に交付される認定証です。傷病者への応急手当の実施は任意であり、認定証の発行により応急手当を義務づけるものではありません」
性別に関わらず等しく人命を最優先に、勇気をもって応急手当を
ーーAEDを使用して「女性」を救護することで訴訟を起こされる不安がある…という声がSNS上で大きな波紋を呼びました。
「救命講習では、意識のない傷病者にAEDを使用する際、肌の露出を周囲にさらさないよう配慮の必要性も伝えたうえで、電極パッドを正しく貼ることを優先するように説明しています。
住民に対し、応急手当の普及啓発を推進する立場として、様々な不安から応急手当の実施を躊躇するのではなく、可能な範囲で処置を講じた上で、性別に関わらず等しく人命を最優先に考え、勇気をもって応急手当を実施していただきたいです」
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講習を修了することで誰でも取得できる「上級救命技能認定証」。
そのため対応は任意となるが、応急手当について正しい講習を受けた限りは、「性別に関わらず等しく人命を最優先に考え、勇気をもって応急手当を実施していただきたい」と東京消防庁は人命の最優先を強調した。
(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・はやかわ リュウ)
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