Pixioの「PX160 Wave」は、15.6型のモバイルディスプレイだ。HDRやAdaptive Syncもサポートするなど、ゲーミング用途を主眼に置いた製品となる。
同社は4年前に本製品と同じく15.6型の「PX160」を発表しており、そちらとの違いも気になるところだ。さらに珍しいホワイトモデルを用意するのも特徴といえる。メーカーから機材を借用したので、レビューをお届けする。
●モバイルディスプレイでは珍しいホワイトモデルを用意
まずは基本スペックをざっと見ていこう。画面サイズは15.6型で、解像度は1920×1080ピクセル(フルHD)、ノングレアのIPSパネルを採用している。タッチ操作には非対応だ。
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視野角は水平/垂直ともに178度で、リフレッシュレートは60Hz、応答速度は8ms、輝度は最大230ニト、HDRやAdaptive Syncもサポートする。これらのスペックは従来モデルにあたるPX160と若干変わっている部分もあるが、基本的にはほぼ同一と言っていい内容だ。
なお、コントラスト比は製品ページでは1000:1とされているが、スペックシートでは1200:1となっている。
スタンドはカバーと兼用するタイプで、画面を覆ったカバーを背面側に回し、マグネットで背面に吸着させてスタンドとして使用する。同じ構造のカバーを採用する製品のほとんどに言えるが、角度調整の自由度はあまり高くなく、本体を手前に移動させようと無理に引っ張ると吸着しているカバーが外れて転倒の危険があるので注意したい。
注目ポイントの1つに、今回試用しているホワイトモデルをラインアップすることが挙げられる。一般的なモバイルディスプレイは、ブラックないしはシルバーがほとんどで、PX160もブラックのみだったため、本モデルは目を引く。ホワイトにありがちな汚れにどの程度強いかは長期間使わないと分からないが、ホワイトカラーというだけで候補に上がる人もいるはずだ。
●モバイルディスプレイとしては充実の付属品
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接続方法はHDMIもしくはUSB Type-Cのいずれかだ。さらにイヤフォン端子を内蔵し、背面にはスピーカーも搭載するなど、音声出力は充実している。ちなみに、スピーカーの出力は従来モデルでは1W×2だったのが本製品では1.5W×2へと強化されている。
一般的なモバイルディスプレイにあまりない仕様として、これらHDMIやUSB Type-Cポートが左側面ではなく右側面に、またOSDメニュー操作用のボタンやイヤフォン端子が左側面と、一般的なモバイルディスプレイとは端子の配置が左右逆転していることが挙げられる。従来モデルのPX160にも共通する珍しい仕様だ。
左右逆になっていることで生まれるメリットは、ノートPCの右横に本製品を並べた場合、ケーブルがノートPCに干渉しないことで、一方のデメリットはケーブルがノートPCに届きにくくなることだ。本製品添付のケーブルは一般的な添付品よりも50cmほど長いものの、機器の配置によっては長さが足りず困ることがあるかもしれない。
重量は実測で746gと15.6型としては一般的なのだが、カバーを付けると実測で1103gと、1kgの大台に乗ってしまう。最近はより軽量な製品も増えてきており、特にこのカバー装着時の重さは気になる。持ち歩く機会が多ければ、カバーを省略して自前のポーチに入れたり、別の製品を選んだりという選択肢もありそうだ。
付属品はHDMIとUSB Type-Cの両方式に対応したケーブルに加え、USB Standard-A→USB Type-Cケーブル、USB電源アダプターが付属する。USB電源アダプターはUSB Power Delivery(PD)の最大出力こそ30W止まりだが、他にUSB Standard-Aポートも搭載し、プラグも折りたたみ式であるなど、モバイルディスプレイに付属するアダプターとしては充実している。
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●USB Type-C/HDMIに両対応 斜め方向からはやや暗めの画面
では実際に使ってみよう。接続方式はHDMIとUSB Type-Cの2通りをサポートする。USB Type-Cケーブルであれば1本で、HDMIの場合は給電用のUSBケーブルを含めて2本で接続することになる。USB Type-Cポートは2基あるが、機能的な違いはないのでどちらを用いても構わない。
実際に使ってみて多少気になったのが、斜め方向から見ると色合いがかなり暗く見えることだ。従来のPX160にも見られた傾向で、ゲーム用途で1人で正面から見ているぶんには問題ないが、ビジネス用途などで複数人で画面を左右からのぞき込むような用途では、不便に感じることがあるかもしれない。
また今回のように本体左側面にポートのあるノートPCに接続し、その右側に本製品を並べようとすると、ケーブル長に余裕がなくなる。ケーブルが届かないわけではないが、ケーブルがピンと張ってしまうので、画面を見やすいように内側を向けるのが難しくなる。よりサイズが大きいノートPCとの組み合わせでは、よりタイトになるので要注意だ。
なお本製品は、2基のUSB Type-Cポートを用いてのパススルー給電にも対応している。試しに100WのUSB PD充電器を接続してみたところ、ノートPCの側からは45Wの電源が接続されていると認識された。
45Wというのは多くのノートPCでは十分すぎるほどだが、ゲーミングノートではより高出力な充電器に対応している場合もあるので、ゲーム用途をうたうならば出力はもう少しあってもよさそうに思える。
●エントリー向けの製品だがホワイトモデルは貴重
OSDメニュー操作用のボタンは左側面に搭載されており、ジョグダイヤルと戻るボタンを組み合わせて操作する仕組みになっている。ダイヤルは、この手のモバイルディスプレイにはよく見られる形で、上下に倒して項目を選択し、押し込んで決定するタイプだ。独立した「戻る」ボタンも用意されているため扱いやすい。
メインメニューは従来モデルと同じデザインで、項目もおおむね一般的だ。またメインメニューを表示しない状態でジョグダイヤルを上に倒すと明るさ調整、下に倒すと音量調整が行えるなど、こちらも一般的な操作方法が踏襲されている。
このように、ちょくちょく気になる点はあるものの一通りの機能を備えた製品なのだが、あえてツッコミを入れるとするならば、縦置きでの利用が基本的に想定されていないことだろう。
ケーブルを接続するポート類が右側面にあるため、この右側面を下にして立てることはできず、ジョグダイヤルなどがある左側面を下にせざるを得ないのだが、こちらも脚があるわけではなく、ボタンが自重で押されて意図しないOSDメニューが表示されてしまう。現実的な縦置きの方法としては、本体をわしづかみする形のタブレットアームなどを使うしかない。
本製品はゲーミング用であることを大きくアピールしており、縦置きでの利用はあまり視野に入っていないと考えられる。とはいえ、最近は縦置き利用に対応した製品も増えているので、ビジネスユースでも使うことが前提ならば、この点はネックになる。当初は横置きだけのつもりでも、使っているうちに縦置きでも試してみたくなるのはよくある話だけに、少々気になるところではある。
以上ざっと使ってみたが、ハイスペックなパネルを採用した高性能機というより、どちらかというとエントリー向けの製品だ。
画面を斜め方向から見るとかなり暗く見えたり、縦置きでの利用が基本的に想定されていなかったりと、主にビジネスユースではマイナスとなる点がいくつかある。そうした意味ではメーカーが言う通りゲーミング向けの製品であり、そこさえ納得が行くようであれば、基本機能がしっかりそろったモデルとしてお勧めできる。
実売価格は2万3980円と、破格だった従来モデルの1万6980円には及ばないが、これはここ数年の価格上昇の影響もあるだろう。保証期間は2年間(同社公式ストア本店購入者限定で+1年の合計3年保証)で、冒頭にも述べたようにホワイトモデルというのはレアであり、ツボに刺さる人には刺さる製品と言えそうだ。
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