NTTは5月8日、NTTデータグループの完全子会社化を発表した。“親子上場”による利益相反や、複雑な意思決定プロセスの解消を見込む。9日から6月19日にかけてNTTデータグループ株式の公開買い付けを行う予定で、1株当たり4000円で5億9281万968株を買い付けるという。8日の記者会見では、NTTの島田明社長から、NTTデータグループの完全子会社化に対する“3つの期待”も語られた。
島田社長は会見の中で、NTTデータグループの完全子会社化により(1)グローバル事業の成長投資強化、(2)両グループリソースの連携強化、(3)意思決定の迅速化とコスト競争力強化──に取り組むと明らかにした。
(1)では、NTTグループのキャッシュフローや資金調達力を活用し、北米市場の攻略を強化するという。さらにAIサービスや、データセンターの拡大・高度化を強化する方針を示した。
(2)では両グループの連携拡大により、大規模法人向けや自治体・中堅中小企業向けソリューションの営業体制を強化するという。次世代通信基盤「IOWN」によるデータセンターの高度化やAIの社会実装など、連携による研究開発分野の強化も見込む。
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(3)ではリソースや重複業務の最適化によりコスト競争力や顧客体験の改善を見込む。AIをフル活用し、ソフトウェア開発や法人営業の分野で、グループ横断のDX(デジタルトランスフォーメーション)を進める方針も明らかにした。
特に(2)(3)で挙げたNTTグループとNTTデータグループ間の連携については、決定事項ではないものの、どんなNTT子会社との協力が検討できるか例を示した。例えばAI分野ではNTTテクノクロス、研究開発ではNTT研究所との連携などがあり得るという。具体的な体制については今後、各社で検討する。
島田社長は、完全子会社化に対する不安はあるかという記者からの質問に対し「メリットしかない」と自信を見せた。一方NTTデータグループの佐々木裕社長は「社員の士気が下がるのではないかとの(問題)提起もあるが、今まで以上に面白いビジネスができるということを社員にもしっかり説明していく」とした。
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