“5070 Ti Laptop”を搭載した14型有機ELゲーミングノート「ROG Zephyrus G14(2025)」の実力を検証

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2025年05月09日 13:11  ITmedia PC USER

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ROG Zephyrus G14(2025)の実機。カラーはホワイト・シルバーだ

 ASUS JAPANが5月1日に新型ゲーミングノートPC「ROG Zephyrus G14(2025)」を発売した。2024年モデルとボディーやCPUは同じだが、ディスクリートGPUに最新の「GeForce RTX 5070 Ti Laptop GPU」を搭載している。


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 GeForce RTX 50シリーズは同社の過去製品や他社GPUを圧倒する性能を持っており、同一アーキテクチャで製造されるノートPC向けモデルにおいても性能向上が期待できる。


 今回はROG Zephyrus G14(2025)の実機を通じて、GeForce RTX 5070 Ti Laptop GPUの性能をチェックしていく。


●ROG Zephyrus G14(2025)の主な仕様をチェック


 テストに使用するROG Zephyrus G14(2025)の型番は「GA403WR-AI9R5070TIW」で、CPUにAMDの「Ryzen AI 9 HX 370」(12コア24スレッド、最大動作周波数5.1GHz)、メモリは32GB、ストレージは高速なPCI Express 4.0/M.2 NVMe接続の1TB SSDを搭載している。直販価格は41万3820円だ。


 ディスプレイは発色が鮮やかな14型の有機ELディスプレイ(2880×1800ピクセル)で、ボディーカラーはホワイト・シルバーだ。カラーバリエーションは他にもブラックも用意されている。


 2024年モデルからの変更点を端的に表せば、「CPUとGPUが最新世代の製品に置き換わった」ということになる。最上位モデルでは、CPUがRyzen 9 8945HSからRyzen AI 9 HX 390になり、ディスクリートGPUはGeForce RTX 4070 Laptop GPUからGeForce RTX 5070 Ti Laptop GPUに一新されている。本体の各種インタフェースなどに変更はない。


 GeForce RTX 5000 Laptop GPUシリーズのラインアップには、本機に搭載される5070 Tiより上位の5080や5090もあるが、本機も2025年時点のゲーミングノートPCとしては、最高峰クラスの性能を持っている1台だ。


●GeForce RTX 5070 Ti Laptop GPUの実力は?


 ここからは、実際にROG Zephyrus G14(2025)でさまざまなベンチマークテストを実行し、GeForce RTX 5070 Ti Laptop GPUの性能を確認していく。


 比較用として、GeForce RTX 4070 Laptop GPUを搭載した「DELL Alienware x16」のスコアを掲載する。CPUなど異なる部分もあるため直接的な比較は難しいが、前世代のGPUを搭載するゲーミングノートPCと比べて、どのくらいの性能向上があるのかの参考にしてほしい。


3DMark


 まずは3Dグラフィックスベンチマークにおける定番アプリ「3DMark」で主要なテストを実行してみよう。今回はDirectX 12をテストする「Time Spy」シリーズと、DirectX 11をテストする「Fire Strike」、そしてレイトレーシング性能を計測する「Port Royal」を実行し、パフォーマンスのチェックを行った。結果は以下の通りだ。


・Time Spy


・ROG Zephyrus G14(2025):1万2751ポイント


・DELL Alienware x16:1万1764ポイント


Time Spy Extreme


・ROG Zephyrus G14(2025):6717ポイント


・DELL Alienware x16:5561ポイント


Fire Strike


・ROG Zephyrus G14(2025):2万9596ポイント


・DELL Alienware x16:2万5648ポイント


Fire Strike Extreme


・ROG Zephyrus G14(2025):1万7119ポイント


・DELL Alienware x16:1万3536ポイント


Fire Strike Ultra


・ROG Zephyrus G14(2025):8421ポイント


・DELL Alienware x16:6874ポイント


Port Royal


・ROG Zephyrus G14(2025):9046ポイント


・DELL Alienware x16:7177ポイント


 全てのテストにおいて、ROG Zephyrus G14(2025)はGeForce RTX 4070 Laptop GPU搭載モデルのスコアを上回っており、約10〜20%の性能向上を確認できた。


 特に高解像度でのテストになる「Time Spy Extreme」や「Fire Strike Ultra」では、最新世代のGPUでも4K解像度は少々厳しいといった結果になり、前世代や下位の製品と比べてスコアが伸び悩むことも多いのだが、GeForce RTX 5070 Ti Laptop GPUはしっかりと高解像度でもスコアを伸ばしている。


ファイナルファンタジー15 ベンチマーク


 続いて実際のゲームをベースとするベンチマークソフトを実行し、ROG Zephyrus G14(2025)に搭載されたGeForce RTX 5070 Ti Laptop GPUの性能を見てみよう。


 今回テストしたのは「ファイナルファンタジー15 ベンチマーク」だ。国産ゲームタイトルとしては2025年現在も重量級のゲームであり、快適に遊ぶとなると、それなりの性能を求められる。


 テストでは解像度を「フルHD」「WQHD」「4K」に、画質設定は「高画質」を選択している。テスト結果は以下の通りだ。


・フルHD


・ROG Zephyrus G14(2025):1万2449ポイント


・DELL Alienware x16:1万1280ポイント


WQHD


・ROG Zephyrus G14(2025):9167ポイント


・DELL Alienware x16:8454ポイント


4K


・ROG Zephyrus G14(2025):5383ポイント


・DELL Alienware x16:4714ポイント


 3DMarkの結果に比べると差は小さいが、ROG Zephyrus G14(2025)のGeForce RTX 5070 Ti Laptop GPUは、実際のゲームをベースとするベンチマークでも性能向上を確認できた。


 また、ベンチマークテストの実行時は超解像度スケーリングやフレーム生成を利用できる「DLSS」が無効になるため、GPUの負荷は大きい。この状態で画面が大きくカクつく、動きが重たそうに感じる場面はほとんどなかったため、実際のゲームプレイでもストレスなく遊ぶことができるだろう。


●重量級のゲームタイトルでのパフォーマンスをチェック


 ゲーミングPCの使い道として考えられるのは、ゲーム機(ゲームコンソール)の置き換えだ。現行のゲームコンソールを置き換える目的で導入するとなれば、それなりに「重たいゲームがちゃんと動くのか」が気になるだろう。


 そこでPCで遊ぶには重量級と評されることの多い「サイバーパンク2077」「Microsoft Flight Simulator」「モンスターハンターワイルズ」をそれぞれ動かして平均フレームレートを出した。


サイバーパンク2077


 サイバーパンク2077では、ゲーム内に用意されたベンチマークテスト機能で平均フレームレートを出した。


 設定はプリセットの「レイトレーシング:オーバードライブ」、つまり一番重たい設定を選択し、ここにDLSSによる超解像スケーリングとフレーム生成を有効にした状態と、有効にしなかった状態の2パターンを、「フルHD」「WQHD」で計測している。結果は以下の通りだ。


・フルHD


・DLSSオン: 76.95fps


・DLSSオフ: 24.37fps


WQHD


・DLSSオン: 61.71fps


・DLSSオフ: 14.02fps


 いくら最新世代のGeForceとはいえ、ノートPC向けでは厳しいのではないかと思ったが、DLSSを有効にした状態ではどちらも平均フレームレートは60fps以上となり、ゲームコンソールで遊ぶのと遜色ない画質、パフォーマンスとなった。


 超解像スケーリングは「低い解像度で出力されたゲーム画面を、高解像度に不自然なく引き延ばす」という仕組みだ。そのため映像の精細さは失われてしまうが、ROG Zephyrus G14(2025)の14型のディスプレイで見る限り、そこまで気になることはなかったことも付け加えておこう。


Microsoft Flight Simulator


 今回テストに使用したMicrosoft Flight Simulatorは、最新版の2024ではなく1つ前のバージョンとなるが、それでもかなり動作は重たい。


 テストはゲーム設定でディスプレイ解像度を「フルHD」「WQHD」とDLSSの有効、無効を組み合わせ、それぞれCapFrameXを使って120秒間の平均フレームレートを出した。結果は以下の通りだ。


・フルHD


・DLSSオン: 109.5fps


・DLSSオフ: 51.9fps


WQHD


・DLSSオン: 102.71fps


・DLSSオフ: 50.4fps


 こちらの結果も先に実施したサイバーパンク2077の結果に近く、DLSSの効果が大きい。オフの状態では60fpsを下回るが、激しいアクションを求められるゲームではないため、十分に映像が滑らかに動いていると思えるくらいには動作した。


モンスターハンターワイルズ


 重量級ゲームのテストとして、最後に行ったのは「モンスターハンターワイルズ」だ。このタイトルで遊ぶためにPCのアップグレードやゲームコンソールからの乗り換えを考えている人は多く、発売から2カ月が経過した現在も「モンハンが快適に遊べるか」が、ゲーミングPCの選び方の指標の1つになっている。


 テストは公式のベンチマークソフトを使い、最高画質設定かつフレーム生成をオン、そして解像度はフルHDとWQHDで計測を行った。結果は以下の通りだ。


・フルHD


・フレームレート:86.29fps


・スコア:1万4516ポイント


WQHD


・フレームレート:73.29fps


・スコア:1万2475ポイント


 モンスターハンターワイルズの結果も、十分に快適に遊べそうなものとなった。実際にプレイしている人からは「ベンチマーク以上に実際のゲーム中は重たいフィールドがある」とも聞いているが、最高画質設定でこれだけのフレームレートやスコアが出せるため、少しだけグラフィック設定を軽くするなどすれば、そうした重たいとされるシーンでも快適に遊ぶことができるはずだ。


 ここまでのテスト結果の通り、GeForce RTX 5070 Ti Laptop GPUを搭載したROG Zephyrus G14(2025)は、これまでのゲーミングノートPCからさらに1段階、よりゲームを楽しめる性能を持っているといっていいだろう。


●ゲーム以外の重たいアプリの動作もチェック


 GPUの使い道はゲームだけではない。高性能なゲーミングPCはゲーム以外の重たいクリエイティブ作業向けにも重宝され、そうした作業を主目的としたPCの買い替え先に選ばれることも多い。


 そこで今回は「Blender Benchmark」と「Adobe Premier Proでの4K動画書き出し」を行うことで、ゲーム用途以外におけるGeForce RTX 5070 Ti Laptop GPUの性能をチェックした。


 こちらもゲームのベンチマークテスト同様に、先代のGeForce RTX 4070 Laptop GPUを搭載するDELL Alienware x16のスコアを参考値として掲載する。


Blnder Benchmark


 2D/3Dアニメーション製作ツールのBlenderをベースとしたベンチマークテストアプリ「Blender Benchmark」のWindows版を使ってパフォーマンスの比較を行った。今回は「Monster」「Junkshop」「Classroom」の3つのシナリオにおいて、1分間当たりの生成サンプル(オブジェクト)数を計測した。結果は以下の通りだ。


・Monster


・ROG Zephyrus G14(2025):2193.692914個


・DELL Alienware x16:1977.865339個


Junkshop


・ROG Zephyrus G14(2025):1171.622895個


・DELL Alienware x16:904.662052個


Classroom


・ROG Zephyrus G14(2025):1171.895871個


・DELL Alienware x16:1000.390503個


 結果は全てのシナリオにおいて、GeForce RTX 5070 Ti Laptop GPUがゲームベンチのときと同じく、約10〜20%ほど高いスコアを記録している。


Adobe Premier Pro 4K動画書き出し


 続いてのテストは、Adobe Premier Proでの4K動画の書き出し時間だ。動画素材は「GoPro HERO 10」で撮影した4K動画で、複数本の動画を30分ほどにまとめて1本の動画として書き出す時間を計測した。結果は以下の通りだ。


・ROG Zephyrus G14(2025):7分17秒


・DELL Alienware x16:8分13秒


 これまでに筆者が試してきたGeForce RTX 40 Laptop GPUシリーズを搭載したノートPCの動画書き出し時間は「デスクトップと変わらなくなってきた」と、その速さに驚きつつも「まだデスクトップPCの方が速い」とも感じていた。


 だが、GeForce RTX 5070 Ti Laptop GPUの速さはデスクトップ向けのGPUとほとんど変わらない。計測中、気付いたら書き出しダイアログが消えていたので「書き出しが途中で止まってしまったのか」と確認をしたほどだ。


 あくまでもテストの限定的なシチュエーションなので、ここで出てきた差は1分程度と小さなものだが、実際に1時間や2時間といった長尺かつ、いろいろな編集の手を加えた動画の書き出しともなれば、さらに書き出しにかかる時間は長くなるだろう。


 だが、それもGeForce RTX 5070 Ti Laptop GPUであれば、これまで使っていたPCよりも書き出し時間は短縮できるはずだ。ROG Zephyrus G14(2025)が14型と持ち運びしやすいサイズであることを加味すると、ロケ先に持っていって撮影したデータをどんどん編集していくような使い方も、より快適に行えるだろう。


 その点も加味した上で、GeForce RTX 5070 Ti Laptop GPUを含むGeForce RTX 50 Laptop GPUシリーズは、クリエイティブ作業向けにもオススメのGPUといえる。


●ROG Zephyrus G14(2025)、そしてGeForce RTX 5070 Ti Laptop GPUは今選べるゲーミングノートPCとして最高峰


 冒頭でも書いたが、ROG Zephyrus G14(2025)はノートPC向けのCPU、GPU、どちらも現時点で最高峰のパーツを搭載している。


 ただ、ノートPCというパッケージに収めるにあたって熱の問題などもあり、実際に期待した性能を出せないような製品もある中で、ROG Zephyrus G14(2025)は期待通りの性能を発揮し、ノートPCとは思えないほどの高性能をさまざまなテストを通じて確認することができた。


 性能に申し分はないが、あえて気になる点を2つあげるとすれば「熱」と「動作音」がある。高負荷時はキーボードやパームレストの表面までじんわりと熱を持ち、触れている手指が汗ばんでくる。


 動作音は騒音計で計測を行うと、机に置いたROG Zephyrus G14(2025)から頭までの距離で、大体60db近くとなり、かなりうるさい。


 実際にゲームで遊ぶとなれば、ゲームパッドやマウスなどを操作することになるため、本体の放つ熱も気にならないだろうし、動作音もヘッドフォンなどしていれば気にならないのだが、そうでない場合には不快に感じられるかもしれない。


 ただ、その熱や動作音も、これだけの性能を実現するためのトレードオフだと思えば受け入れられる。上に挙げたような周辺機器を組み合わせるような使い方であれば気にならないため、大きく本機の魅力を損なうものではないだろう。


 ROG Zephyrus G14(2025)、そしてGeForce RTX 5070 Ti Laptop GPUを含むGeForce RTX 50 Laptop GPUシリーズは、これからゲーミングノートPCを選ぶ際に真っ先に候補に挙げたい製品だ。



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