決算会見で質問に答える日本製鉄の今井正社長=9日午後、東京都千代田区 日本製鉄は9日、2026年3月期の連結純利益が前期比42.9%減の2000億円となる見通しだと発表した。今井正社長は記者会見し、トランプ米政権の高関税政策の影響について、「間接影響も含め、国内外の鉄鋼業に甚大な影響が見込まれる」と懸念を表明。「(鉄鋼の)直接輸出より、自動車を中心とした間接的な輸出の影響が大きい」と指摘し、自動車輸出の落ち込みによる鉄鋼需要の減少に危機感を示した。
26年3月期の連結業績予想のうち、売上高に当たる売上収益の予想は現時点で算出できず、未定に。本業のもうけを示す事業利益は前期比41.5%減の4000億円とした。トランプ関税の業績への影響は把握が困難だとしつつも、「現時点で見込まれる最大限のリスク」(今井氏)として、事業利益ベースで数百億円程度のマイナスを織り込んだ。
同時に発表した25年3月期連結決算(国際会計基準)は売上収益が1.9%減の8兆6955億円、事業利益が21.4%減の6832億円、純利益が36.2%減の3502億円だった。鉄鋼需要の低迷が長期化していることに加え、東日本製鉄所鹿島地区での設備休止に伴う損失を計上したことも響いた。