「_ for good」は、土屋氏と森氏を含めた3人の少人数体制で運営し、タキヒヨーの強みであるものづくりや、サステナブルな知見を「一緒に考える」という姿勢を軸に発信。「発信においては利益を意識しすぎると非常にポジショントークになったり、反感を買ったりする傾向があるなと感覚的にわかっていたため、立ち上げ時には会社に絶対に閲覧数を目標に設定しないと伝えており、軸をぶらさずに運営することを意識した」と森氏。加えて、「一緒に考える、または一緒に取り組むというのをコンセプトにしているので、僕らが偉そうに教えたり、宣伝したりするつもりは無いという意味で活動や記事内では社名を前面には押し出さないようにしています」と続ける。
一見、強気の策に思えるが、「情報に強みを持つ“中身のある会社だからこそできること”を深めたい」とし、コンテンツ制作においても「自社の課題解決の視点を活かして“いかに俯瞰して状況を捉えられるか”を意識した」という。森氏は「タキヒヨーは経営哲学の1つとして『客六自四』を掲げている。短期的に10の利益を取りきろうとせずに一緒にやっていくことでお互いが成長し、お客様に得をしてもらい、それが大きくなることで自社の拡大に繋がればいいという考え方を大切にしたい。今後も、余白を大切にするカルチャーをしっかり落とし込んだコンテンツを発信していきたい」と話す。
「_ for good」を開設して約1年半が経ち、現在は繊維産業に従事するさまざまな職種の人とのウェビナーや、学生との取り組みも実施している。タキヒヨーの採用面接でも「_ for good」の話題が出るなど認知の拡大は進んでいるが、引き続き少人数体制での運営を続ける予定。森氏は「我々はメディア事業が軸ではないため、メディア運営をやりたいという人を採用して発信者を増やすよりも、実務をやるなかで仲間を見つけた方がブランディングに合う」と説明。土屋氏も、「繊維産業はどこを切り取っても面白いので、サステナブルの必要性に触れながらもまずそこの部分を汲み取ってもらえるような発信を続けていきたい。自社の利益については、回り回って我々の力量が伝わり、賛同してくれる企業さんが出てきてくれればいい」と締め括った。