川崎市の民家で岡崎彩咲陽(あさひ)さん(20)の遺体が見つかった事件で、岡崎さんが失踪した2週間後、元交際相手の白井秀征容疑者(27)=死体遺棄容疑で逮捕=が自殺を図っていたことが、捜査関係者への取材で判明した。命に別条はなく、駆け付けた警察官に「彼女とうまくいかず、死のうと思った」と説明したという。
神奈川県警は9日、事件前後の対応を確認する検証チームを設置した。岡崎さんは事件前、白井容疑者からのストーカー被害を訴えていた。県警は容疑者が自殺未遂した際の対応や情報共有が適切だったか内部調査し、検証結果をまとめる。事件は10日で、容疑者の逮捕から1週間を迎える。
岡崎さんは2024年12月20日に行方不明になった。その後、県警は白井容疑者から7回事情聴取し、自宅も3回にわたって任意で確認した。捜査関係者によると、白井容疑者は「(岡崎さんは)いないですよ」と言って部屋を案内し、捜査員は床下収納にある遺体に気づかなかったという。
県警は25年3月に「交際が解消している」と判断してストーカー行為を認定した。白井容疑者が渡米した後、4月30日にストーカー規制法違反容疑で家宅捜索し、遺体を発見。岡崎さんの失踪から4カ月あまりが経過していた。
一方、捜査関係者によると、白井容疑者は1月3日に自宅で自殺を図っていた。その後、警察官に「家族に事件への関与を疑われ、逃げ場がないと思った」と話したという。
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さらに、容疑者の兄が1月中旬に「(白井容疑者が岡崎さんを)殺したかもしれない」と県警に連絡していたことも判明した。県警は5月3日に白井容疑者を逮捕した後、大筋の経緯を報道陣に説明したが、これらの出来事については公表していなかった。県警はその理由を「捜査に支障があるため」としている。
岡崎さんの家族の主張と県警の説明には食い違いもある。岡崎さんは24年9月、白井容疑者から暴行を受けたとして県警に被害届を出したが、約1カ月後に取り下げていた。県警は「本人から『大げさに話した』と申し出があった」としているが、父鉄也さん(51)は「(容疑者から)脅されて取り下げたと、娘本人から聞いた」と訴える。
また、岡崎さんの失踪直後には、避難していた祖母宅の窓ガラスが割れているのが見つかった。家族は「事件性はないと言われた」と訴え、県警は「そうした言い方はしていない」と否定する。ただ、県警は白井容疑者が関与した可能性は低いと結論づけていた。
鉄也さんは「警察批判がしたいわけではない。きちんと検証してほしい」と訴えている。
白井容疑者は逮捕時に死体遺棄の容疑を認め、その後は雑談に応じるが、事件については口を閉ざしているという。【宮本麻由、清水夏妃、矢野大輝、横見知佳】
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