【お悩み】実家、義実家、ダブル介護の板挟みで冷めていく夫婦関係… 介護が終わった後、夫婦として残るものがあるのか不安になってきた

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2025年05月10日 07:10  まいどなニュース

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ダブル介護で夫婦関係に亀裂が…(metamorworks/stock.adobe.com)

看護師、僧侶、スピリチュアルケア師、ケアマネージャー、看護教員の玉置妙憂さんが、夫婦どちらの親も介護が必要になり、仕事と介護の両立や、夫婦関係が硬直していくことに悩む50代女性からのお悩みに回答します。

【写真】夫婦関係の修復で絶対にやってはいけないこと!

【相談】夫婦どちらの親も介護が必要になり、夫婦関係に陰りが…

認知症で要介護2の78歳の義母との同居生活を3年前から始めており、デイサービスや訪問看護など、できる限りのサポートは受けながら、何とか仕事も続けています。

一方、81歳になった私の母も最近体調を崩しがちです。週末は片道2時間かけて実家に通いますが、一人娘の私以外に頼れる人がいない母のことが心配で仕方ありません。母を呼び寄せたい気持ちはありますが、間取り的に難しく、今でさえ義母の介護と仕事の両立で精一杯です。

夫は私の気持ちを理解しようとはしてくれますが、施設入居を勧められ、大ゲンカしてしまいました。それ以降、夫婦関係は日に日に冷めていき、硬直しています。このままでは、介護が終わった後に夫婦として残るものはあるのだろうかと不安になります。

実母の介護か、夫婦関係か、仕事か。何かを諦めなければならないのは分かっていても、その答えが見つかりません。家族の難しさに息が詰まりそうな毎日です。(50代 女性)

【玉置さんの回答】「白か黒か」で考えなくてよいのでは?

大変なご状況ですね。50〜60代が直面する社会的な問題だと感じました。とはいえ、公的な制度がしてくれる援助には限りがありますから、最後はやっぱり、自分自身で対応しなければなりません。頭が痛いですね。さあ、ひとつひとつ考えていきましょう。

まずは、夫さんとのことです。はたから拝見するに、親を想う気持ちはおふたりとも同じなのだと思います。正直、自分の親を優先したいと思うのも、たぶん同じでしょう。その中で、あなただけが我慢しなければならないとなれば、大ゲンカにもなりますよね。

ただ、意固地になってはいけません。感情が複雑に絡まる問題だからこそ、いったんは感情を排除して考えることが大事です。考える時の軸は「お母さんにとって何がベストか」です。

例えばですよ。「私だって自分の母親を大切にしたい」「母をないがしろにして義母に尽くすなんて…」「子が親の面倒を見るのは当たりまえ」「母も寂しい思いをしている」「母だって私と一緒に居たいはず」とこんな思いがあったとしましょう。

これ、すべて自分の感情です。それはそれで大事にしたい想いですが、軸にするのはやはり、お母さんのお考えとお気持ちです。もしかしたら、すでにご確認された上でのご相談なのかもしれませんが、もし、まだのようでしたら、ぜひ「お母さんはどうしたいのか」をお母様に直接お聞きになってみてください。

そして夫さんと一緒に、どうやったらお母様の希望を実現できるか知恵を絞りましょう。自分の感情を真ん中に置いてしまうと、2人はぶつかってしまいます。「どうすればいいの?」ではなく「どうやったらできるか」なんですよ。

次は、「実母の介護」「夫婦関係」「仕事」どれかを諦めなければならない…という件についてですね。現状に追い詰められた今、そういうお考えになってしまうのはよく分かります。

どんなお仕事をなさっていて、どのようなお立場なのか存じ上げないままにお話ししますので、失礼があったらごめんなさいね。少し、時間軸を広げて考えてみたら活路が見つかるかもしれないと思っています。

お母様は81歳でいらっしゃるでしょう。現実的な話で恐縮ですが、今の状況が何十年も続くわけではありません。もしかしたら、ここ数年の話かもしれません。その数年のあいだ、自分の持ち分(能力・体力・時間)をどう割り振るかの問題です。人生にはいろんな出来事がありましたよね。

でも、自分の持ち分(能力・体力・時間)には限りがありますから、これまでだってその都度、割り振りを考えてやってきたではありませんか。今回も一緒です。どれを捨てるかなんて「白か黒か」で考えなくてよいのでは?力の配分を変えるだけです。やわらかく、柳のようにしなって、折れずにいきましょう。コツは「完璧を求めないこと」ですよ。どんなことも「いい塩梅」でいいんです。

最後は、言葉の使い方について、です。私たちが口にする言葉には、ものすごい力があります。起きている「出来事」は、単なる「出来事」なんですが、それを言葉にして語ったとたんに、「出来事」にその言葉の色がつきます。

たとえば、人がたくさんいる店の中を見て「混んでいる」と言うのと、「にぎわっている」と言うのではずいぶん違うでしょう?そこなんです。「冷めている」「硬直している」「不安」「難しい」「息が詰まる」。

これは起きていることの事実ではなくて、あなたが選んで使っている言葉です。でも、こういった言葉を使うから、その色がついてしまうのです。「そんなこと言ったって実際大変なんだから!」そうですよね。分かっています。でもぜひ、試しにやってみてください。使う言葉を変えてみて。

さ、ずいぶんと勝手なことばかり言いました。これに懲りずに、またいつでも、話しに来てくださいね。

◆玉置妙憂(たまおき・みょうゆう)
看護師。僧侶。二児の母。専修大学法学部卒業後、法律事務所で働く。長男が重度のアレルギーがあることがわかり、「息子専属の看護師になろう」と決意し、看護学校で学ぶ。看護師、看護教員の免許を取得。夫のがんが再発。夫は、「がんを積極的に治療しない」方針をかため、自宅での介護生活をスタートする。延命治療を望まなかったため、自宅で夫を看取るが、この際にどうしても、科学だけでは解決できない問題があることに気づく。夫の“自然死”という死にざまがあまりに美しかったことから開眼し出家。高野山にて修行をつみ高野山真言宗僧侶となる。その後、現役の看護師としてクリニックに勤めるかたわら、患者本人、家族、医療と介護に携わる方々の橋渡しとして、人の心を穏やかにするべく、スピリチュアルケアの活動を続ける。訪問スピリチュアルケアを通して、患者のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)とQOD(クオリティ・オブ・デス)の向上に努める。非営利一般社団法人「大慈学苑」をつくり、代表を務める。課題解決型マッチングメディア「リコ活」でコラムを執筆。

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「リコ活」は、夫婦問題の課題解決型メディアです。夫婦関係のトラブルや離婚で悩む人に、専門家とのマッチングの場を提供するとともに、家族のカタチが多様化する時代にあわせた最新情報を発信しています。

(まいどなニュース/リコ活)

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