「ジャンプ+」は令和ホラーの最前線?  次々と連載始まる“変化球”なホラー漫画の人気作

0

2025年05月10日 08:00  リアルサウンド

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

リアルサウンド

カメントツの公式Xより@Computerozi
■オモコロでも活躍する漫画家のホラー

  実写や漫画、ゲームなど、さまざまな場所で“ホラーブーム”が巻き起こっている現在。集英社のWeb漫画誌「ジャンプ+」にもその波が来ているのか、いくつものホラー漫画が注目を浴びている。


  最近話題を呼んでいる作品といえば、3月26日からスタートした新連載『こわいやさん』。作者のカメントツはWebメディア「オモコロ」などで活躍してきた漫画家で、代表作の『こぐまのケーキ屋さん』はSNS上で大きな人気を博した。



公開されました!!


初回全話無料のマンガアプリ「少年ジャンプ+」で「[第1話]こわいやさん」 #ジャンププラス #こわいやさん https://t.co/1z26zGy3Wp


— カメントツ (@Computerozi) March 25, 2025



 『こわいやさん』は『こぐまのケーキ屋さん』と同じく、絵本のようにかわいらしい絵柄やファンシーな世界観が特徴だが、その作風と濃密なホラー描写とのギャップによって恐怖を生み出している。


  物語の舞台となるのは、かわいらしい動物たちがさまざまなお店を開いている「どうぶつ村」。そこには“こわい”を売っている「こわいやさん」があり、妙に生々しくとりとめのない怪談が紹介されていく。しかも怪談のなかで奇妙な出来事が起きる際には、突如禍々しい絵柄になるため、ますますギャップが際立つことになる。


ちなみにカメントツは「オモコロ」に寄稿するエッセイ漫画にて、“日常に潜む恐怖”を題材にすることが度々あった。『こわいやさん』ではそんなホラー適性を存分に活かしつつ、かわいいものを描くセンスが融合しており、他に類を見ないような怪作が誕生している。


 また、2024年11月29日から連載が始まった『良太は弟を殺した』も注目のホラー漫画だ。作者の名取歩は同作が連載デビューの新人だが、そのショッキングな内容で、第1話掲載直後から大きな話題を呼んだ。


 主人公の良太は父子家庭で暮らす中学生で、亡くなった母の代わりに保育園児の弟・愛(ちか)の世話をしている。しかし四六時中面倒を見なくてはならないストレスで、愛に対する憎悪が胸の内に蓄積されていた。親友の隼人に対して「最低だけど本当弟邪魔だなって思っちゃうんだ……」とこぼすほど追い詰められており、ある時彼の前で愛を川に落としてしまう。


 当然取り乱す隼人だったが、愛は自力で橋の上に戻ってくる。そして愛がたんなる愛らしい子どもではなく、“異常な存在”であることが徐々に分かっていく……というのが、同作のストーリーだ。


 慣れない育児に追い詰められる心情を描いた漫画と見せかけて、想像の範疇を大きく超えていくような展開を連発する、まさに新時代のホラー漫画だ。


オカルト青春漫画にホラーコメディも!

  2024年12月5日から始まった宇乃花空樹の『アスラの沙汰』も、ホラー要素を多分に含んだ作品だ。単行本第1巻には、『僕のヒーローアカデミア』の作者・堀越耕平が「なにか、とても自罰的な怨念を感じました。心配です。」と帯コメントを寄せたことでも話題を呼んだ。


 主人公の天代アスラは、苛烈なイジメに遭いながらも「天罰」の存在を信じている純粋な中学生。物語は彼が路地裏の怪しげな商人から、不思議なカギを授けられるところから動き出す。それは「地獄の扉を開く」という曰くつきのアイテムで、悪人が誰にも罰されないことを悟ったアスラは天の代わりに“断罪”を行っていく。


 『笑ゥせぇるすまん』に近い雰囲気で、人間の業を抉り出していく筆致は迫力に満ちている。また悪人をドアの向こうに引きずり込んでいく地獄の鬼は恐ろしい見た目で、カタルシスと共に恐怖を感じさせる。



清らかな"断罪"の物語ーー
新連載「アスラの沙汰」🗝️
本日より連載開始!


善良な少年アスラが手にしたのは、
人を地獄へ落とす鍵。
あまりに清らかな断罪劇、ここに開幕!


第1話はこちらから↓https://t.co/vEqidwfsJp#アスラの沙汰#宇乃花空樹 pic.twitter.com/JWq2bbOJQz


— 少年ジャンプ+ (@shonenjump_plus) December 4, 2024


 さらに2024年11月16日から始まった『都市伝説先輩』は、独特のテンションが持ち味のホラーコメディ。『雀児』で鮮烈なデビューを飾った平岡一輝による新連載だ。


ヒロインのもくめは、オカルトサークルに憧れて大学に入学してきた新入生。きさらぎ駅に行くため電車に乗り続け、自身が怪奇現象として噂になったこともあるという筋金入りのオカルトマニアだ。彼女は都市伝説を引き寄せる体質をもつオカルトサークルの先輩・くぐつと共に、さまざまな怪奇現象に立ち会っていく。


 口裂け女など、有名な怪異が次々と登場してくるのだが、もくめを筆頭とした人間サイドも強烈な個性をもっており、怪異と人間がコミカルに渡り合っていくのが同作ならではの面白さだ。



【本日11/16(土) 新連載開始‼️】


『雀児』の平岡一輝による
オカルトコメディ『都市伝説先輩』が
スタートしました‼️


ーーー噂の先輩は、都市伝説を引き付ける⁉︎


第1話はこちら↓#ジャンププラス#都市伝説先輩
https://t.co/o0tUjIFakb pic.twitter.com/vfpNrj0uS5


— 少年ジャンプ+ (@shonenjump_plus) November 15, 2024



  そして普通のホラーとは別の形で恐怖を味わいたいという人には、2月25日から始まった『ラブイズオーバーキル』がオススメ。作者は『ハンサムマストダイ』で知られるアストラ芦魔で、今作でも唯一無二のハイテンションギャグを描き出している。


  遺体の修復作業(エンバーミング)にかけては天才的な腕前をもつスモア・ミルウォーキーは、ある日凶悪犯のデッド・ペインキラーに一目ぼれ。しかしペインキラーは処刑されてしまい、彼女のもとに死体処理の依頼が舞い込んでくる。そこで完璧な死体処理を行ったところ、ペインキラーは奇跡の復活を遂げ、スモアは半ば強制的に結婚生活を送ろうとする……。


  基本的にはコメディ作品なのだが、スモアのペインキラーへの愛の重さは凄まじく、もはやホラーに近い。たとえばこめかみに骨伝導スピーカーを埋め込み、脳内に直接「大好き大好き大好き大好き」と囁いたり、四肢をバラバラにして縫い合わせることに喜びを感じたりと、サイコキラー的な振る舞いを連発する。「結局、人間が一番怖い」系のホラー漫画と言えるかもしれない。


  多種多様なホラー漫画が並んでいる現在の「ジャンプ+」。5月14日からは、『地獄先生ぬ〜べ〜PLUS』の新連載が始まることも発表されている。令和のホラーブームに平成のレジェンドホラー漫画まで加わり、さらなる盛り上がりが生まれそうだ。



    ランキングゲーム・アニメ

    前日のランキングへ

    ニュース設定