尖閣諸島周辺の日本の警備は…元海保幹部が解説「数十隻の巡視船が絶えず厳重な監視を」

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2025年05月11日 06:31  日刊スポーツ

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元海上保安庁第3管区海上保安本部長の遠山純司氏が、8日配信のAbema報道番組「Abema Prime(アベプラ)」に出演。沖縄・尖閣諸島で頻発している中国船による領海侵犯や、今月に入って尖閣国有化後4度目となる領空侵犯があったことなどについて解説した。


番組では、今月3日に侵入した中国船からヘリコプター1機が飛び立って日本の領空内を一時飛行したことに加え、領空侵犯時に、付近を飛行していた日本の民間航空機が、国交省の安全確保の警告に基づいて引き返したことも紹介された。


尖閣周辺で警備の指揮経験がある遠山氏は「あえて中国側を刺激するような、返って付け入るスキを与えるような行為をやるということは、今後の長期的に日本の国益を見た時に、それが本当にいい、ベストのやり方かは疑問を持つところ」と指摘。「中国は、サラミ戦術といいますけど、過去少しずつプレッシャーをかけてきた」と、サラミソーセージを薄くスライスする例えで、中国側の対応を表現した。


続けて「そのつかさつかさにおいて、実は日本がアクションを起こしているんです。中国が恒常的に尖閣の周りの領海内を徘徊したのは、(2012年9月の)民主党政権の時の尖閣3島の再国有化。あれをきっかけに中国海警が恒常的に回り始めた」と説明。3月に、国有化後最長となる92時間8分、中国船2隻が領海侵入したことについても「中国海警の最長行動時間があると思うんですけど、あれは背景に日本漁船が領海内で操業していた。それにつきまとった、結果として、あれだけ長い時間、領海に入った。きっかけを、結果として日本が与えてしまっている、これは注目すべき」とした。


スタジオから「口実を与えないということ、いわゆる、日本が実効支配するためには『支配してるぞ!』じゃなくて、しれっと、何もしてないけど実効支配してますよ、という態度の方が効果があるということですか?」と質問が飛ぶと、遠山氏は「実はですね、一般の国民の方は日本が何もしてないという感覚を持たれているかもしれないですけど、実はあの周り、数十隻の巡視船が絶えず回って、厳重な監視をやっている」と紹介。「実効支配をアピールしているけど伝わってないということですか?」との声に対しては、遠山氏は「何もない時は、何も言わなくていいと思うんですよ。まさに有効に支配している。指一本触れさせていないということですから。それをことさらに相手を刺激するような行動に日本が出るということはどうかな、と思います」とした。


平石直之アナウンサーが、今回領海に加え領空侵犯もしてきたことを「サラミを厚く切ってきた」と表現すると、遠山氏は「その前に、今回の分厚いサラミを切ったというそれも、前提として日本の飛行機が飛んできた。サラミを切る口実を日本が与えちゃっていたと我々は見ている」と分析。一方、飛んでいた日本の民間飛行機に中国の息がかかっているのでは、との疑惑に対しては、遠山氏は「個人的にそれはちょっと考えすぎかな、と思います」とした。

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