『黒執事』“ここを演じたかった” 小野大輔&坂本真綾が『緑の魔女編』ドイツ語挑戦やいつメンたちとの収録現場を語る【インタビュー】

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2025年05月11日 10:51  アニメ!アニメ!

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『黒執事 -緑の魔女編-』第6話先行カット(C)Yana Toboso/SQUARE ENIX
『黒執事』の新シリーズ『黒執事 -緑の魔女編-』が毎週土曜日各局にて放送中。「アニメ!アニメ!」では、セバスチャン・ミカエリス役の小野大輔とシエル・ファントムハイヴ役の坂本真綾にインタビュー。新シリーズへの意気込みや、収録の様子などについて聞いた。

[文・取材=降月海弥]

※以下の本文にて、第6話を未視聴の方にとっては“ネタバレ”に触れる記述を含みます。読み進める際はご注意下さい。

■ これぞ『黒執事』の真骨頂! 新キャラのキャスティングも“ぴったり”
―― 学園ものの『寄宿学校編』から一変、ダークな雰囲気の『緑の魔女編』がスタートしますが、原作や脚本をお読みになった際の印象を教えてください。

小野大輔(以下、小野):
前のシリーズの『寄宿学校編』のような明るくギャグシーンの多い雰囲気も好きですが、『緑の魔女編』は『黒執事』という作品自体が持つダークファンタジーの真骨頂が感じられるシリーズだと思いました。それぞれの登場人物の生きる“熱さ”が感じられて、原作を読んだときは僕も熱くなりました。

坂本真綾(以下、坂本):
『寄宿学校編』では“これは黒執事?”というくらいコメディ要素が多めでこれまでとは違う雰囲気を味わったので、『緑の魔女編』では改めて『黒執事』らしい世界観を感じました。
新キャラクターのサリヴァンやヴォルフラムとの関わりがメインですが、使用人たちがフィーチャーされてフィニアンの過去が明かされたり、シエルの過去に“どういうことなの!”とハラハラしながら楽しみました。

――新キャラクターのキャスティングを聞いた際のご感想はいかがでしたか?

小野:
『緑の魔女編』ではサリヴァンとヴォルフラムのふたりがキーパーソンになるので注目していましたが、この人が来てくれたらいいなと思っていた人がそのまま来た感じです(笑)
「Anime Expo 2024」の際に岡田監督にちらっとお話を伺ったら「サリヴァン役が決まらないとバランスを取れないからまだ決めてないけれど、若さ故の青い部分があるキャストさんにお願いしたいんです」とおっしゃっていて、僕は小林親弘くんがちょうどいいなと思っていたらそのまんま来たんですよ! それがめちゃくちゃ嬉しかったです。

坂本:
釘宮理恵ちゃんは私と同年代の声優さんですが、いつお会いしても、そのキャラクターを生き生きと動かす力を持っていて個人的にすごく尊敬している方です。原作のイメージを大事にしつつ意外な角度からも攻めてくる職人的なところが、本当にプロの声優さんという感じがして大好きな方なので、またこうやってガッツリ共演できるのが楽しみだなと思いました。

親弘くんは10年以上前、海外ドラマ『glee』で声優初挑戦みたいな頃にご一緒したので、活躍の目覚ましさをいつも微笑ましく思っています。彼の内面から出る実直な雰囲気と言いますか、裏表のない本音が全部透けて見えるようなところがヴォルフラムにぴったりなキャスティングだと思いました。

■主人と執事の関係性もそれぞれ…『緑の魔女編』では?
――サリヴァンとヴォルフラムの関係性についてはどう思いましたか?

小野:
サリヴァンという存在は、『黒執事』だからこそ描ける画一的ではない、他にないヒロイン像だなと思いました。天才的な頭脳を持つ幼女。でもその実、世間というものを全く知らずに本などで得た知識のみでセバスチャンたちと接するので、そのズレがすごく可愛らしいです。
そこへ実直なヴォルフラムが絡んでくる。彼もある部分では有能な執事だと思うのですが融通が利かないっていう。
可愛くて頭脳明晰なのにどこかズレているサリヴァンと、真面目が故に融通が利かないパワータイプのヴォルフラムの主従関係にすごく好感が持てます。

坂本:
私は最初、どういう相手か見極めないと、と警戒しながら見ていたのですが、それぞれのキャラクターが絶妙に可愛くていつの間にか好きになっていました。
物語が進むと、サリヴァンはものすごく大きな運命を背負わされていることが判明します。色々なものにがんじがらめにされて、ピュアなふたりがみんなのため、相手のために苦しんでいる場面はとても切なく、アニメで初めて見る方もどんどん引き込まれて好きになるキャラクターではないかと思います。

■功労者は駒田航!? ドイツ語収録の裏側「感情をのせた音声を入れてくれて」
――今回はドイツ語のシーンがありましたが、挑戦してみていかがでしたか?

小野:
今回みんな避けては通れない大変なシーンでしたね。

坂本:
思いのほかドイツ語の場面が多かったよね。

小野:
坂本さんはこうおっしゃっていますが……

坂本:
私は苦労してないんです!下手という設定があるので!
みんなはネイティブだったり、流暢に話せるという設定で、長台詞も結構あったよね。

小野:
セバスチャンは何事も完璧にこなせなければならないという設定がありますので、外国語が出てくる時は殊更緊張するんです。寄宿学校編ではラテン語をやっていて、実はその時は全部1発オッケーだったんです。ラテン語の先生がとても優しくて、音響監督さんもいいと言ってくれたので結構自信を持てていたんです。
でもドイツ語はもうラテン語の比じゃないぐらい難しくて!そもそも日本語に無い音があったり、抑揚の付け方や言葉の強さで感情を表現しなければならないので「これは難儀だな」と思いました。もっと前のシリーズでやったフランス語よりさらに難しかったです。

――ドイツ語はどのように練習されたのですか?

小野:
今回は第1話でも出演している駒田航くんがドイツ語の監修をしてくれていて、彼が吹き込んだ音声をデータでいただいて、それを家で何回も反芻し練習してから現場に臨んでいました。
怒っている・焦っているなど、感情を乗せたドイツ語表現が必要な時も、駒田くんが単に音声化するのではなく感情をのせた音声を入れてくれて、現場にも来て収録のたびに教えてくれました。彼がいなかったら『緑の魔女編』は成立してないです(笑)

■使用人たちと久々共演! 変わらない安心感は “心のオアシス”
――今作では、お馴染みの使用人たちの出番も多くありますが、久々のしっかりした絡みはいかがでしたか?

小野:
変わらないんですよ。それがまずそれが嬉しかったです。そして、皆さんそれぞれが様々な役を積み重ねてきて、第1期の時と比べていろんなことができるようになっている。その役者として成熟した状態で、またこの始まりの役をやれたというのは感慨深いです。
僕はセバスチャンを演じる時に「セバスチャンってこうだったかな…大丈夫かな…」って毎回苦労するんです。そして現場で真綾ちゃんが隣に来てくれるとようやく安心できるような部分があって。使用人のキャストの皆さんたちも同じです。この人たちがいてくれたらセバスチャンになれるなという安心感をくれますね。

坂本:
緊迫した話の中でも独特の空気感で存在してくれるので、心のオアシスです。
セバスチャンが物語の主軸ですが、使用人たちが喋るとまた別の雰囲気になって、なんか落ち着くな、帰ってきたなというふるさと感があるんです。

――シリーズごとにキャラクター・キャストの入れ替わりがある『黒執事』ですが、お二人は収録現場の空気や世界観を作っていく・引っ張っていくといったことは意識されていますか?

小野:
『黒執事』の現場の空気感は僕らよりも周りの方たちが作ってくださっているように思います。
『Book of Circus』だったらマモちゃん(宮野真守)や、てらしー(寺島拓篤)、かいーだ(甲斐田裕子)がいてくれて、そのシリーズごとのメインキャラクターの方たちが雰囲気を作ってくださるので、僕と真綾ちゃんはそこに乗っかっていく感じがあるかなと思います。
今回はくぎみー(釘宮理恵)と親弘くんがふたりともすごく優しい人たちなので『緑の魔女編』は特に柔らかい雰囲気になっていました。

坂本:
確かに『寄宿学校編』の時は自分たちよりもちょっと下の年代の声優さんが多くて、それに比べると今回は若干大人の雰囲気になっています。その時のゲストさんの雰囲気によってそれぞれ違うのかな。
そこへ変わらずに小野さんや私がいることで『黒執事』らしい世界観が自ずと守られているのかもしれませんね。

■シエルの葛藤と成長「弱い部分を認めたうえでの強さが固まった」
――今作のセバスチャンとシエルを演じるうえで気を付けたことはありますか?

小野:
何があってもブレない存在でいようと思いました。でも死の淵を彷徨うシエルに対しての、セバスチャンの反応は、僕自身も意外でした。でも前作辺りから特に、人間の熱にほだされて少し悪魔としての完璧さがほつれてきているセバスチャンがいるので、焦る部分も実は演じやすかったです。

坂本:
短い期間ではありましたが、シエルがセバスチャンを受け入れなくなってフィニアンとだけ会話するシーンがありまして、その時は岡田監督から「あえてかなり幼くなっていい」と言われたので、想像以上に幼く、取り乱した雰囲気を作りました。そこは今までにない、また新しいシエルの引き出しを要求されているなと感じました。

――幼いシエルのシーンを経て、坂本さんご自身のなかで変化はありましたか?

坂本:
今作ではもう1人のシエルが幻覚のなかに登場してふたりで会話するシーンがあり、そこに声がついているということが大きな新しい要素だった気がします。もう1人のシエルの存在が、原作を読んでいる時以上に生々しくリアルに思えました。
もう1人のシエルは沢城みゆきちゃんが演じているのですが、その声を聞きながら収録したおかげで、私のやっているシエルが、心の中でずっと蓋をしてなるべく見ないようにしてきた感情が具現化された状態で出てきました。声や表情がついたもう1人のシエルと対峙したことで、自分の弱い部分を認めたうえでの強さみたいなものがシエルの中で固まったのかなと。使用人たちに向かって謝罪できたシエルを見て、私自身も1つお兄さんになったと感じました。

■小野「“ここを演じたかった”シーンが『緑の魔女編』のなかにある」
――今作でのご自身のキャラの見どころを教えてください。

小野:
原作の『黒執事』の全編を通して見たときに、“ここを演じたかった”というシーンが『緑の魔女編』の中にあって、マンガで読んだ時にここはどうやって演じようと思ったシーンでもあるんですけど。

坂本:
どこ?

小野:
死の淵にいるシエルを引き戻すシーンです。先ほどセバスチャンがだんだん人間にほだされていっているっていうお話をしたと思うのですが、ここは「彼はやっぱり悪魔なんだな」と再確認できるような場面です。
ここをうまく自分の中で演じることができたら、このシリーズでのセバスチャンは完遂だなと思っていました。このシーンの表現は岡田監督をはじめとしたスタッフさんたちが、ものすごく力を入れて作ってくださったそうなので、楽しみにしています。

坂本:
私は、シリアス寄りの展開とは違う要素としてサリヴァンとの会話が見どころかなと思います。
サリヴァンの発言に狼狽えたり焦ったりしている部分だけが唯一ちょっとコミカルで可愛いシエルが出てくるところなので、そのギャップによって和んでもらえたら嬉しいです。

■復讐? ゴルフ? ふたりの成し遂げたいことは?
――最後になりますが、シエルの成し遂げたいことは“復讐”、セバスチャンは“シエルの魂を食らうこと”ですが、おふたりが成し遂げたいことはありますか?

坂本:
私は旅をするのがすごく好きで、国内外のできるだけ多くの地を訪れたいと思っているのですが、まだ日本の中で行ったことがない県が3県くらいあるんです。そこへは行きたいと思っています。

小野:
3県以外は行ってるんだ!

坂本:
そうなんですよ。だからなるべく早く成し遂げたいです!

小野:
旅行は最近行けてないな……それいいなあ。でも僕は東地宏樹さん とゴルフに行きたい!!

東地さんは若い頃にゴルフをやっていたそうで、スコアを聞いたら驚くほどの上級者だったんです。最近また “何十年ぶりにやらなきゃいけないことになった”とのことでしたので、一緒に行きたいです。僕はゴルフを始めてから1年くらいなのですが、東地さんは絶対教えるのが上手いと思うんですね。東地さんと一緒にコースを回りたい。そしてゴルフを教わりたいですね。

坂本:
すごく重低音のゴルフになりそうですね(笑)

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