
フランスと言えば、クロワッサンやバゲットなど”パンの国”という印象を持つ人も多いことでしょう。さらに、英語圏ではないという点も他国と異なる魅力の1つです。そんな異文化に若いうちから触れることは、視野を広げ柔軟な感性を育む貴重な経験となります。
【漫画】フロマージュブランは衝撃のおいしさ…パン三昧の毎日だったパリ旅行(全編を読む)
漫画『パグ嫁と姑』の作者のよしこさんも今よりお若い頃、パリへ団体旅行で訪れたことがあるそうです。その時の経験を書き起こした漫画『よしことフランス』をX(旧Twitter)へ投稿したところ多くの方から注目を集めています。
フランス語はまったくわからないながらも、なんとか“トイレはどこですか?”だけは必死に暗記してパリ旅行へ出発したよしこさん。団体旅行だったものの、自由時間には単身で街をうろつき、片言の“チキン!シルブプレ!ソーダ!シルブプレ!”で屋台サンドイッチを満喫していた様子が描かれています。
ハチャメチャなフランス語でも安心して買えるサンドイッチの美味しさにどハマりし、滞在中はなんと1日2食屋台で過ごすこともあったそうです。そんな食生活を送る前に、実は彼女の“パン観”を覆す出会いが訪れていました。
|
|
それは宿泊するホテルに到着してから初めての朝食でのこと。“卵と、あとはパンばっかりだなあ…”と少しテンションが下がっていたとき、同じツアーのご婦人から“フロマージュブラン”というチーズをすすめられたのです。
パンにディップして食べてみたところ、衝撃の美味しさが口内を駆け巡りました。あまりの衝撃に“フロマージュブラン!フロマージュブラン!”と連呼してしまうほど。そこからはホテルでも外でもパン三昧の毎日に突入したのです。
他のパンもすべて美味しく、帰国後に“フランスどうだった?”と聞かれると、感動的なパンの美味しさについて熱弁し、ついでにお菓子についても興奮気味に語っていたといいます。
同作の読者からは「卒業旅行で行ったフランス、どこのホテルの朝食もびっくりパンがうまかった…パンオショコラ…愛してるよパンオショコラ…」や「フランスのパンは美味しいですよね。シャンゼリゼ大通りをパリジャンむしゃむしゃしながら歩いたのを思い出しました。」など、旅の思い出とパンへの愛情を語るコメントが続出していました。
初めてのパリ旅行について、作者のよしこさんにいくつか話を聞きました。
|
|
ー初めてのパリ旅行で特に印象に残っている出来事はありますか?
不思議なことに3回ほど旅行者から道を聞かれました。私の外見は完全にアジア人なのですが、地元の人間に見えたのでしょうか。スマートフォンなどはまだない時代で、首をかしげながら観光者用の地図を広げてわかる範囲で伝えました。
ー屋台のサンドイッチにハマったとのことですが、どんな味や雰囲気が特に印象的でしたか?
パリパリの細めのフランスパンを縦に半分にして、(おそらく)蒸した鶏肉とレタス・トマトをはさんだシンプルなサンドイッチでした。具材には少し酸味のある白いソースがかかっていて、それがとてもぴったりあっていておいしかったです。白塗りの木でできた小さくかわいらしいお店で、パリはおしゃれだなーと思いました。
ー「フロマージュブラン!」と繰り返してしまうほど衝撃を受けたとのことですが、日本に帰ってからも食べたくなったり、探したりしましたか?
|
|
当時は周囲に売っているお店がなく、そのうちだんだん忘れてしまい、たまに「あれおいしかったなあ」と思う程度になりました。
ー旅行を通して、フランス語を覚える楽しさや大変さを感じた場面はありましたか?
発音が難しかったので話すのに気後れすることもありました。でも一生懸命伝えるとわかってもらえることが多く、うまく通じたときは嬉しかったです。
ホテルや駅のスタッフさんは、大事なこと(時間・金額など)は英語で伝えてくれることが多かったのが親切だなと思いました。
ー今でも「重要なフランス語は覚えている」とのことですが、ふとパリ旅行の思い出がよみがえることはありますか?
カフェで初めてクレームブリュレのカラメルをパリンと割ったときのことや、赤いひさしのおしゃれなレストラン(ここのパンも最高だった)で、バターたっぷりのエスカルゴを食べたことですね。
また、夜のセーヌ川クルーズでフィレステーキを食べたことなどです。食べもののことばかりですが、ぜんぶ色鮮やかに思い出せます。
(海川 まこと/漫画収集家)