型破りな『ピットレーン走行中の順位入れ替え』で物議醸すフェラーリ「過去にも事例はあった」と主張

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2025年05月12日 09:30  AUTOSPORT web

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WEC第3戦スパでワン・ツー・フィニッシュを飾ったフェラーリ499P
 5月10日に行われたWEC世界耐久選手権第3戦『スパ・フランコルシャン6時間』レースでワン・ツー・フィニッシュを飾った2台のファクトリー・フェラーリ499Pの間での物議を醸したピットレーンでの順位入れ替えについて、フェラーリAFコルセはレース後、当該行為を擁護する発言を行った。


■スチュワードの見解は「ピットレーンの不正使用に当たる」

 跳ね馬は今シーズンのWECで開幕から連勝を続けており、スパではアレッサンドロ・ピエール・グイディ/ジェームス・カラド/アントニオ・ジョビナッツィ組の51号車が、アントニオ・フォコ/ミゲル・モリーナ/ニクラス・ニールセン組の50号車に勝利した。

 レース80周目、4時間目初頭のセーフティカー導入時に、2台のフェラーリは、ほぼすべてのハイパーカー勢とともに、テール・トゥ・ノーズの状態でピットインした。このとき、モリーナの50号車がジョビナッツィの51号車をリードしていた。

 しかし、この順序はフェラーリのピットストールの配置順序(51号車のピットストールがピット出口に最も近い)と一致していなかったため、モリーナは極めて型破りな行動に出た。マシンを右に寄せスローレーンに進入し減速、ジョビナッツィにパスさせた後、モリーナは再びファストレーンに戻り、背後に迫っていた20号車BMW Mハイブリッド V8(BMW Mチーム WRT)の前を走ったのだ。

 長時間にわたる調査はレース最後の1時間になってようやく決着し、50号車フェラーリには戒告処分のみが下された。

 レース終了後に発表されたスチュワードの報告書には、モリーナの行動によって「51号車のすぐ後ろを走っていた20号車が衝突を避けるためにブレーキを踏まざるを得なくなった」と記されている。

 声明はさらにこう続けている。

「スチュワードはビデオ映像とチームメンバー間の無線通信を検証し、同一コンペティターの車両間によるこの行為は、51号車が50号車をピットレーン内で追い越すことを意図したものであったことが明らかとなった。51号車は、セーフティカー導入中のため、コース上ではその行為を行うことができなかった」

「スチュワードの見解では、これはピットレーンの不正使用に当たる。ピットレーンは、車両同士の追い越しが行われるべき場所ではない」

「さらにスチュワードは、この操作がピットレーンの安全性を無視し、レースコントロールの承認も、あるいは知る由もなく行われたと指摘した」


■そのまま作業していたら「大惨事だった」とフェラーリ

 フェラーリのレース&テストチームマネージャー、ジュリアーノ・サルヴィは、記者からこの状況について質問された際、彼らがペナルティを回避できたのは幸運だったという見解には「同意できない」と述べたが、調査に対応しなければならなかったことは認めた。

 件のピット後、50号車が、ピエール・グイディに交代した51号車をコース上で再び追い抜くという決定が下された。これは当時の各クルーの戦略にも合致するものだった。

「過去にもこのような事例はあった」とサルヴィは主張した。

「おそらく、これについて我々は議論する必要があるだろう。戒告処分を受けたことは確かだ」

「もちろん、このインシデントが記録され、調査が行われている段階で(ポジションを入れ替える)可能性も検討した。5秒のペナルティが科せられる可能性があったと判断したからだ」

「我々は(50号車に)アドバンテージを与えることに決めたし、彼らは異なる戦略をとっていたので、それはごく自然な流れだった」

「それはまさに我々の意図だった。調査を受けている状況では、ペナルティになる可能性もあったわけだからね」

 サルヴィは、ピットストールの配置とは逆の順序でピットレーンに入った2台の499Pをそのまま作業していたら、タイムロスという点で「大惨事」になっていただろうと付け加えた。

「間違った順序で作業を行うと、多大なコストがかかる。マシンを所定の位置にセットするためドリージャッキの上で『スケート』する必要があるし、後方のマシンは(作業後に)メカニックの手により押し戻す必要があったからだ。だから、それは我々にとって大惨事になっていただろうね」と彼は語った。

 サルヴィはまた、その後に発生した一件についても質問を受けた。当時ピエール・グイディがドライブしていた51号車は、オー・ルージュからラディヨンの複合コナーを直線で走行してアドバンテージを得たことで、ロビン・フラインスのBMWに対してポジションを維持していた。

 ピエール・グイディは、レースコントロールから明確な指示を受けてフラインスにポジションを返したが、その時点では50号車は20号車BMWに9秒差をつけてトップを走っていた。

「その件が起きた時、我々には明確な理解がなかった。そこで、(ピエール・グイディに)そこに留まって待つように伝え、その後すぐに(レースディレクターのエドゥアルド・)フレイタスの指示に従った」とサルヴィは語った。

「だが、『今すぐやれ』とは言いたくなかった。我々の立場では、状況が明確ではなかったからだ。それは、実際は見た目ほどドラマチックではないものだったよ」

[オートスポーツweb 2025年05月12日]

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