『ザ・ファブル』アキラの言葉はなぜ心に響くのかーー“最強”だからこそ説得力ある“名言”といえば?

0

2025年05月13日 08:00  リアルサウンド

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

リアルサウンド

南勝久『ザ・ファブル(1)』(講談社)

 南勝久原作の漫画、『ザ・ファブル』。2014年11月から『週刊ヤングマガジン』に連載されると、そのシリアスかつぶっ飛んだ内容が話題となる。また、岡田准一主演で映画化され、人気に拍車をかけた。


 『ザ・ファブル』の見どころといえば、主人公で無敵の力を持つ佐藤アキラの存在と発言ではないだろうか。今回はそんなアキラの名言を振り返ってみたい。


■「たいがいの事は、知恵と工夫で乗り切れる」


 6巻で佐藤アキラが、ミサキを守るための道具をヨウコに作らせた際に発した言葉である。


 ヨウコは額に大量の汗をかきながら、花火をバラして火薬をガチャガチャのケースに詰めて手榴弾のようなものを作り上げる。アキラが「いいね、上出来やな」と褒め称えると、「何をふっとばすのよ?これって手榴弾でしょ」とつぶやくヨウコ。


 するとアキラは「いや、爆弾じゃない」と否定し「昔からよくボスに言われた。身近にあるモノを活かせ。いるものを自分で作れ。たいがいのことは知恵を工夫で乗り切れるって」と諭したのである。


 文明と科学が発達した現代は知恵がなくても、生きていける世の中といえる。しかし幼い頃から殺人者として厳しい環境下に置かれてきたアキラとヨウコは、知恵と工夫を頼りに生き抜いてきた。厳しい環境を生き抜くための名言といえよう。


■「昨日と同じ今日がきて、今日と同じ明日をむかえる。平和っていいなオイ」


 5巻でアキラが、平和な日々を送りながら発した一言だ。


 血なまぐさい殺し屋稼業から離れ大阪に移住したあと、紆余曲折を経てオクトパスに入社し平穏な日々を手に入れたアキラ。ペットである鳩の「カシラ」と戯れながら、「昨日と同じ今日がきて、今日と同じ明日をむかえる。平和っていいなオイ」とつぶやいた。


 アキラはつかの間の平和を謳歌していたが、オクトパスの同僚で、後に内縁の妻となるミサキはトラブルに巻き込まれており、対比として描かれていた。


 日本は太平洋戦争以降、軍事的な争いなどに巻き込まれておらず、平和が当たり前となっているが、世界では紛争が多々発生。そんな状況下で生きる人々にとっては「昨日と同じ今日がきて、今日と同じ明日をむかえる」ことは、普通ではない。


■「全力を尽くしますです お金をいただく以上プロなので」


 『ザ・ファブルThe second』で、日本を回る旅から戻ってきたアキラは、レンタルおっちゃん業に転出する。


 プロの殺し屋としてのスキルを封印し、「レンタルおっちゃん」として接するアキラ。依頼を受けて駅に向かうと、マスクをした冴えない男が。男は「あんたが佐藤くん?」「体力には自身があるそうやな」「その気にさせてくれたら倍額を出そう」などと声をかける。


 するとアキラは「体力はすごく自身がありますです」「全力を尽くしますです。お金をいただく以上プロなので」と高いプロ意識を伺わせる。その依頼はカラオケでマラカスを持ち、盛り上げるというかなりくだらないものだったが、アキラは全力でこなし、依頼者から感謝されていた。


 アキラの「お金をいただく以上は全力を尽くす」という精神は、仕事をして金を稼ぐ人間にとっては基本である。しかし、忘れてしまいがちともいえる。この発言で「社会人にとって大事なもの」を思い出した人もいるのでは。


■「もう大丈夫」


 紅白組のチンピラ2人に襲われた川荻と河上静を助けに来たアキラ。静に「大変やったな、でももう大丈夫」と声をかけると、一気にチンピラ2人を蹴散らした。


 助け出された川萩は、アキラの活躍を聞くことを趣味にしているクロに「顎に入れる前に『大変やったな。でももう大丈夫』と言っていた」と話す。この言葉にはクロはもちろん、アザミとユーカリにも響いたようで2人は「俺もそういう機会があれば、ぜひ言ってみよう」と内心思うのだった。


 アキラの強さからくる名言の数々。学ぶことも多いのでは。


文=佐藤俊治



    ランキングゲーム・アニメ

    前日のランキングへ

    ニュース設定