
「55歳、独身の会社員です。健康診断に引っ掛かって精密検査をしたところ末期の胃がんが見つかり、余命宣告を受けました。自分の資産を長年お世話になった友人に渡せるよう『終活』をしたいのですが、今から何をすべきでしょうか?」
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相談者は余命宣告を受けたことにより、自分の資産を学生時代から交流が深い40年来の友人に渡す方法を探しています。生前に財産や身辺の整理を行う「終活」が注目を集めるようになって久しいですが、「終活」の具体的方法や注意点について詳しく知りたいと思う方も多いのではないでしょうか。「終活」について、財産整理と身辺整理とのふたつの観点からみてみましょう。
財産管理
自身の死後、財産は自分が望む相手に自分が望む形で継承されるのか、済ませるべき手続きを済ませずに家族や身の回りの人に迷惑をかけてしまわないか……など、多くの気がかりがあるかと思います。まずは財産管理の観点から終活のやり方を解説します。
▽資産の棚卸し
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まずは、自分がどのような資産を持っているのか、棚卸しをしてみましょう。資産とは現金や不動産だけではありません。例えば貴金属や株式、会員権や趣味のコレクションなども資産になります。ご自身が持つ資産をリストアップし可視化することが大切です。注意点として、負債がある場合はそれを記載することも忘れないようにしましょう。
▽銀行口座とクレジットカードの整理
銀行口座やクレジットカードの整理も行いましょう。生前にクレジットカードや銀行口座をできるだけ一本化することで、管理を容易にできます。また、サブスクや定期購入をしているサービスをリスト化し、共有しておくことも大切です。
▽遺言書の作成
自身の死後の財産の扱いについては、遺言書を残すことで親族同士のトラブルを未然に防止できます。
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法定相続人がいない場合、遺言によって友人に“遺贈”することが可能です。
また、遺言がない場合でも、友人が“特別縁故者”として家庭裁判所に申し立て、
財産を受け取れる可能性があります。
特別縁故者とは、簡単にいうと、被相続人と一定の関係があったとして特別に財産を分けてもらえる可能性のある人のことです。ただし、特別縁故者として認定されるのは、
「内縁の配偶者」や「療養看護に著しく貢献した人」などが優先される傾向があり、
単なる“長年の友人”では裁判所が認定しないことも多いようです。
有効な遺言書の作成は難解な部分もあり、弁護士等の専門家の助言を受けることも視野に入れると良いでしょう。
身辺整理
自身の死後について、身の回りの人がどうしたら良いか分からずに困ってしまうケースも多いでしょう。例えばお墓は必要なのか、お葬式はどのくらいの規模でやったら良いのかなどです。また、病状が悪化して意思疎通が難しくなった場合に備え、事前に意志を示しておくことも大切です。そのためには、エンディングノートの作成が良いでしょう。
エンディングノートとは、自分が伝えておきたいことを書き留めておくものです。ただし、エンディングノートは遺言書とは異なり法的拘束力はありません。その反面、気軽な気持ちですぐにでも書き始められます。死後や、意思疎通が難しくなった場合の医療や介護について記載しておくと、自身や家族にとって良い選択をする手助けになります。特に、以下のような項目の事前情報提供は、自身や家族にとって重要でしょう。
・お墓について
・お葬式について
・医療について
・介護について
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また、厚生労働省がエンディングノートのサンプルを公開しています。
◇ ◇
今回の相談のように、お世話になった友人に自分の資産を渡すことは不可能ではありません。友人が特別縁故者として認められれば、財産を渡せる可能性があります。とはいえ、ケースバイケースなので、弁護士などの専門家に詳しい状況を説明したうえで相談するのがよいでしょう。
【監修】瀧澤亮(たきさわ・りょう)2級ファイナンシャル・プランニング技能士 Webライター・ディレクター。将来を見据え、保険や年金のことを詳しく知り活用したいとの思いからFP資格取得を決意。現在FP2級を取得し、上位級も勉強中。Webライター・ディレクターとして、お金に関する記事の執筆やディレクション・監修を担当している。
※記事を一部修正しています(5月18日14時43分)
(まいどなニュース/もくもくライターズ)