札幌中1いじめ自殺訴訟 市が両親に6000万円支払う和解案成立へ

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2025年05月16日 16:37  毎日新聞

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毎日新聞

札幌地裁=札幌市中央区で2020年12月4日午後1時23分、岸川弘明撮影

 札幌市の中学1年の女子生徒(当時12歳)がいじめを苦に自殺したのは小学校時代の教員らが注意義務や適切な対応を怠ったためだとして、両親が市に約6500万円の損害賠償を求めた訴訟で、原告側は16日、札幌地裁の和解勧告に応じると明らかにした。市側も和解に応じる方針を示しており、訴訟は終結する見通しとなった。


 訴状などによると、女子生徒は小学5年の頃から2年以上にわたり、同級生らから精神的、身体的ないじめを受け、小学5年時にはアンケートで被害を訴えた。


 しかし、当時の担任教諭は聞き取り調査を怠り、加害児童に指導もせず放置し、いじめはなくなったと判断。小学6年時のアンケートでも深刻な被害を訴えたが、これも担任は放置した。いじめはなくならず、自殺未遂に至った。


 その後のケアもなく、アンケート内容の情報を進学先の中学校に引き継がなかったことなどを含め、小学校は組織的に対応しなかった。女子生徒はうつ状態を悪化させ、2021年10月に自殺したとされる。


 市教育委員会は23年12月、女子生徒の自殺はいじめが原因だったとする報告書をまとめ、学校と市教委の不備を認めている。


 訴訟では賠償責任自体に争いはなく、損害額などが争点となっていた。地裁は4月7日、小中学校のいじめを防ぐ措置が不十分だったとして、市による謝罪と計6000万円の支払いを盛り込んだ和解案を提示していた。【谷口拓未】


 訴訟の和解を受け、女子生徒の両親がコメントを発表した。全文は以下の通り。


◇父親のコメント


 裁判所は、札幌市が長年にわたって娘に対するいじめを放置し続けたことによって、娘を死に追い込んだとし、札幌市の責任を認めたので、裁判所が提示した和解勧告に応じることにしました。


 いじめによって命を絶った娘への代償は計りしれず、今回の和解で娘への償いがすべて終わったとは思えませんが……。


 今回和解が成立すれば裁判としては終わることになりますが、元担任を含め学校の先生方、市教委、そして札幌市長には、娘を死に追い込んだことについて責任を自覚し、札幌市において今後二度と同じことが起きないようにしっかり対策をとっていただきたいと願っております。


◇母親のコメント


 娘の命は何物にも代えることはできません。ですが、裁判所が、娘を死に追い込んだ責任は札幌市にあると認めたうえで和解勧告を行ったので、札幌市との和解に応じることにしました。


 裁判としては、和解に応じるとしたことで終わるとしても、私たち家族にとっては、終わりはありません。


 私は、娘にもう二度と会うことはできないのです……。成長していく娘の姿をもう二度と見ることができないのです。このやりきれない思いが消えることはありません。



このニュースに関するつぶやき

  • よかったと思うかもしれないですが、これ元は「税金」ですからね。札幌なんて札幌ドームもコケて大赤字の自治体だろうに…
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