フジテレビ本社=3月31日、東京都港区 フジテレビの親会社フジ・メディア・ホールディングス(HD)が16日発表した2025年3月期連結決算は、純損益が201億円の赤字(前期は370億円の黒字)だった。赤字は、08年の持ち株会社移行後で初めて。元タレント中居正広氏の性加害問題を巡る対応が問題視されたことによるスポンサー離れが響いた。
26年3月期の純損益は、好調な不動産事業の貢献や保有株の売却などで、100億円の黒字を確保する見通し。ただ、CM差し止めによる広告収入減少の影響が長引き、営業利益は25億円と86.3%の大幅減益を見込む。フジHDは26年3月期に営業利益400億円という中期計画で掲げた目標を取り下げた。
中核子会社のフジテレビでは、港浩一社長(当時)が中居氏を巡る問題を受けて初めて記者会見を開いた1月中旬以降、スポンサーがCMを差し止める動きが相次いだ。
3月末に公表された第三者委員会の調査報告書は、人権意識の欠如やハラスメントに寛容な企業風土、コーポレートガバナンス(企業統治)の機能不全などを厳しく指摘。同社によると、4月のスポンサー数は約90社(前年同月は約400社)と、回復には至っていない。
フジテレビの25年3月期の業績は、保有資産の減損処理などによる特別損失の計上で、純損益は328億円の大幅な赤字(前期は36億円の黒字)に転落した。

取材に応じるフジ・メディア・ホールディングス(HD)の清水賢治専務=16日午後、東京都港区