高いシェアをもつ強者同士で連携、まずは決済・ポイントから 三井住友フィナンシャルグループ(SMFG、同社グループを総称してSMBCグループ)の三井住友カードとソフトバンクはデジタル分野における包括的な業務提携に関し、基本合意した。この提携を踏まえ、PayPayと三井住友カードは、ポイントの相互交換やスマートフォン(スマホ)決済サービス「PayPay」での三井住友カードの優遇など、相互に連携した新たな取り組みを順次開始する。
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5月15日に開催した共同記者会見では、三井住友フィナンシャルグループ 中島 達 取締役 執行役社長 グループCEO、ソフトバンク 宮川 潤一代表取締役 社長執行役員 兼 CEO、PayPay 中山 一郎 代表取締役 社長執行役員CEO、三井住友カード 大西 幸彦 代表取締役 社長執行役員 CEOの順にプレゼンテーションを実施。デジタル分野での包括的なパートナーシップを構築し、スマホ・ITデジタル・金融サービスを融合した革新的なデジタルサービスの創出を目指す今回の提携は、「2018年頃から始まったキャッシュレス決済の後半戦に向けた大連立」(大西 幸彦 代表取締役 社長執行役員 CEO)だと、意義を強調した。
具体的な提携内容は、「三井住友カードを窓口としたSMBCグループとソフトバンクとの提携」「PayPayでの三井住友カードの優遇/三井住友カード(Vpass・Olive)でのPayPayでの優遇」「その他のグループ会社も含むさまざまな事業領域における協業検討」の三つ。
ソフトバンクとの提携では、第一弾として三井住友カードがソフトバンク子会社のヘルスケアテクノロジーズと、「Olive」会員向けに「ヘルスケアポータル」を新たに提供する。他にもAIを活用したカード関連業務の効率化や、決済データと人流統計データを組み合わせた新たな顧客分析ツールの提供に向けた検討などを行う。
メインとなるPayPayと三井住友カードの連携では、PayPayアプリでのクレジットカード紐づけ決済において、三井住友カード発行のクレジットカード(提携カード含む)は利用料なしでの利用を継続するなど(カード紐づけ決済時の手数料は今後導入予定)、三井住友カードの優遇を始める。
一方、OliveでもPayPayを優遇し、現在は原則有料のPayPay残高から三井住友銀行口座への出金手数料を無料とし、フレキシブルペイの支払いモードに「PayPay残高による支払い」を追加する。この連携によって世界中のVisa加盟店でPayPay残高による支払いが可能になる。また、Oliveのアプリで、PayPayの残高確認や三井住友銀行口座とPayPay残高間のチャージ・出金が可能にする。
さらに、「PayPayポイント」と「Vポイント」の相互交換を開始し、競争激しい経済圏争いにおいてPayPayポイント、Vポイントそれぞれの価値を高める。
Vポイントは24年4月に、SMBCグループの共通ポイント旧「Vポイント」と旧「Tポイント」と統合して誕生した、CCCMKホールディングスが運営する国内最大級の共通ポイントサービス。対象店舗でのポイントカードやアプリの提示のほか、「Oliveフレキシブルペイ」を含む、対象の三井住友カードの利用額に応じてたまり、ためたポイントはSBI証券で投資信託の購入などに使える。
対して、PayPayポイントは、PayPayやPayPayカードの利用、対象サービスの利用などに応じてたまるポイントであり、ともに「共通ポイント」に分類されるが、たまるシーンが一部異なる。今回、スマホ決済(コード決済)でシェアNo.1のPayPayと国内クレジットカード市場でトップシェアの三井住友カードが決済・ポイントで連携することで、まだ年間決済額の4割(24年で民間最終消費支出の42.8%)にとどまる日本のキャッシュレス決済比率のさらなる向上やユーザーの利便性アップを目指す。