沢田貴司 元ファミリーマート社長 フジテレビ親会社のフジ・メディア・ホールディングス(HD)は16日、来月の株主総会に提案する取締役候補として、元ファミリーマート社長の沢田貴司氏ら4人を追加すると発表した。米投資ファンドが株主の立場で提案した北尾吉孝SBIHD会長兼社長ら社外取締役候補12人には反対を表明。フジ再生に向けた両社の対立構図がより鮮明になった。
フジHDの追加候補は沢田氏のほか、同社の局長と社外の大学院教授、弁護士。フジ社長でフジHD次期社長候補の清水賢治専務は同日記者会見し、ガバナンス(企業統治)とコンプライアンス(法令順守)を強化するために「この取締役の構成が最適だと判断した」と説明した。
大株主ダルトン・インベストメンツの提案については、取締役会で検討したものの、会社提案の候補と経験や知見が重複すると指摘。一部候補を「監督の視点よりも個別企業の業務執行に関心が高い」と批判した。
フジHDは3月下旬に取締役候補を発表したが、留任に批判を浴びた金光修社長ら4人を4月末に取り下げた。今回の追加により、会社提案の候補者数は当初と同じ計11人(うち社内5人、社外6人)となる。
今後は、株主総会でどちらの人事案が株主の賛同を得られるかが焦点。勝算を聞かれた清水氏は「株主の判断に委ねたい。会社側の考えを丁寧に説明する」と述べ、北尾氏と「敵対するつもりはない」とも語った。
ただ、北尾氏は人事案が受け入れられなければフジHD株を5%超取得する構えを見せている。さらに、かつてニッポン放送株の争奪戦に関わった村上世彰氏の長女らがフジHD株の保有比率を引き上げたほか、実業家の堀江貴文氏が株主として総会への参加を表明しており、こうした動きにも注目が集まりそうだ。

北尾吉孝 SBIホールディングス会長兼社長