Xperiaのシェアは「確かに下がった」が、1 VIが“好調”だった 独自AI「Xperia Intelligence」打ち出しも

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2025年05月16日 18:21  ITmedia Mobile

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「Xperia 1 VII」

 ソニーと国内キャリアが6月上旬以降に「Xperia 1 VII」を発売する。Xperia 1 VIIはデジタル一眼カメラαシリーズで培ったAI技術を活用し、動画撮影時に被写体を常にセンターで捉え続ける「AIカメラワーク」や、引きと寄りの映像を同時に記録する「オートフレーミング」を利用可能。ウォークマンの技術や部品も取り入れ、有線イヤフォンで高音質なサウンドを楽しめるという。


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 一方、AI機能は目に見える形での実装ではなく、ソニーが得意とするカメラ、ディスプレイ、オーディオの各技術に搭載されており、いわゆるアシスタント的な要素は「Google Gemini」が担うことになった。ソニーはXperia 1 VIIを誰に向けて訴求し、昨今のトレンドとなっているAIについてどう考えているのか。5月15日の体験会で、次の3人が報道陣の質問に答えた。


・ソニー モバイルコミュニケーションズ事業部 事業部長 大島正昭氏


・ソニー プロダクトデザイナー 北澤英里氏


・ソニーマーケティング モバイルビジネス 執行役員本部長 大澤斉氏


●Xperiaのシェアが低下、ソニーの受け止めは?


―― ディスプレイサイズ・アスペクト比を変えた他、カメラアプリの統合など、「Xperia 1 V」からかなりの変更があった「Xperia 1 VI」は成功だったのか、成功だったとしたらどの程度だったのか。


大澤氏 数字のところは2024年の体験会でも質問があった。2024年のXperia 1 VIは「Xperia 1 V」比で120%以上の販売数を記録した。数からしても多くの方々から受け入れられたと認識している。もちろん、2024年の体験会でもご説明したように、クリエイターの意向を機能として実現することを軸に、幅広いお客さまを獲得できるか、という戦略を取っている。そういう意味では販売数が物語っているかと思う。


―― Xperiaのシェアが低下しているとの報道を目にするが、本当なのか。もし本当なら利益重視なのか競争上の問題があるのかを教えてほしい。


大澤氏 実際、各種販売データが公開されている。これを一元的に見るとシェアが下がっているように見えるかもしれない。ただ、2024年度においては旧モデルのミックスなどもあり、新モデルと旧モデルの販売数が合算された形でマーケットシェアが出てくると思う。2024年度はそのミックスを大きく改善し、ほぼ新商品の販売の方にシフトできた。


 ソニーとしては新商品を販売した方が利益重視の戦略により近いアウトプットが出せるという風に考えているので、その単純な絶対数としてのシェアだけではなく、利益と数のバランスをしっかりと見定めた上で、2024年度はいろいろな手を打った結果、販売数を大きく伸ばせたと考えている。


―― つまりシェアは2023年に下がったが、2024年には上がったということか。


大澤氏 絶対数だけを見れば、2023年度と比べて2024年度は落ちたという風に見える。そのうちの構成比が変わっているので、利益という意味では2023〜2024年度は大きく改善できたと考えている。


―― シェアの目標はあるのか。


大澤氏 シェアの具体的な目標は考えていない。先ほどのプレゼンテーションでも申し上げたように、クリエイターを中心としたお客さまに使っていただくというのが、第1の目標。お客さまに満足していただけるような商品を提供していく、というのが基本戦略だ。


●Xperia Intelligenceの方向性は? 実は昨今の「AIブーム」以前からAIを搭載


―― Xperia Intelligenceの方向性について伺う。オンデバイスAIというのが1つのトレンドになってきていると思う。ソニーでは、カメラ、ディスプレイ、オーディオといったところにAIを活用されているとのことだが、他社では通話やメモの要約にAI活用している。Xperia Intelligenceは今後、カメラやディスプレイ以外にも広がっていく可能性はあるのか。


商品企画の北澤氏 大変申し訳ないけれども、今後の開発についてはお答えできない。現時点では先ほどおっしゃった通り、高品質撮影や視聴体験など独自に注力して開発している。


大島氏 少し補足すると、オンデバイスのXperia Intelligenceを、ソニーのスマートフォンの独自技術として搭載したが、Googleとも提携し、GoogleのIntellectual Property(知的財産)であるAI機能を引き続き実装していく。


―― Xperia Intelligenceについて、マーケティングの観点で伺いたい。Xperia 1 VIIの発表においてはAIという言葉が頻出するような印象を受けた。AI自体はXperia 1 VI以前から使われていたと聞いているが、ここへ来てAIを全面的に押し出す狙いは何か。


大澤氏 おっしゃる通り、実はソニーは瞳AF(瞳に自動でフォーカスを合わせる)機能を始め、AIという技術を使った機能については、昨今の「AIブーム」以前から搭載し、お客さまの利便性を高めていきたいと考えている。


 これまで、ソニーではカメラ、ディスプレイ、オーディオの各領域においてAI技術を投入してきたが、今回はそれをお客さまに分かりやすくご理解いただけるように、また先ほど大島が申し上げたように、そのリアルタイム性(被写体をリアルタイムに追従する)というところがソニーの強みの1つだと思っている。ここをきちんとコミュニケーションするためにXperia Intelligenceという1つのワードを作成し、マーケティングに活用している。


●Xperia 10も「感動体験の入り口」として大事に捉えている


―― 現段階(2025年5月時点)で発表されていないもの(Xperia 10 VIの後継モデル)が後回し(秋発売)になっている。改めて投入の考え方を伺いたい。他メーカーはハイエンドモデルを市場に投入しつつ、エントリーモデルで数を稼いでいるが、ソニーはどのような考え方なのか。


大島氏 ソニーは、モバイルコミュニケーションズ事業の運営をより効率的に行うというところで、商品のサイクルや判断を見直している中で、今回、2024年は1と同時発表だった10が今回は同時発表ではないが、10も引き続き、ソニーの「感動体験の入り口」として大事に捉えている。2025年秋をメドに発表できればと思う。その中で、1の技術、10の感動体験をきちんと確立させながらお客さまに訴求できるようにしていきたいと考えている。


●Xperia 1 VIIはゲーミング関連の新機能なし ターゲットユーザーは?


―― 従来、Xperiaで注力されていたゲームに関する新機能がないが、ゲーミングに対してどのように考えているのか。


北澤氏 新機能はないが、引き続きXperiaはゲーミングにも力を入れている。例えば、リフレッシュレートやタッチサンプリングレートを変更したり、ゲームプレイ中の通知を制限したりできる「ゲームエンハンサー」や、高品質を維持し長時間プレイできる「FPS Optimizer」という機能はXperia 1 VIIでも引き続き搭載しており、快適なゲーム体験をお届けしたいと思っている。


―― ソニーがプレゼンテーションの中で使うクリエイターというのは、具体的にどういった方を指しているのか。


大島氏 ソニーが考えているクリエイターというのは、カメラのαやプロオーディオなどが持っている(を使っている)クリエイターの定義よりももう少し広い。もちろん、αやプロオーディオのクリエイターは、トップオブトップのクリエイターからの影響力といったところがある。


 けれども、このXperiaがそういったクリエーションの入り口にもなる。これからそのクリエーションを始めてみたいという人まで含めて、クリエイターと捉えているので、Xperia 1 VIIからクリエーション活動を始めるお客さまも含めている。Xperia 1 VIIの所有をきっかけにクリエイターになってほしいとも考えている。



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