写真 俳優の辺見えみりがディレクターを務める、ユナイテッドアローズのウィメンズブランド「コンテ(conte)」が好調だ。ブランド初年度の売り上げは、当初計画の1.5倍を計上。今期の滑り出しも順調で、デビューから1年を待たず、5月17日にはブランド4店舗目となる実店舗を千代田区の「丸ビル」1階にオープンする。人気の理由を辺見とユナイテッドアローズの神永和洋事業部長に聞いた。
EC売り上げ好調、地方都市への新規出店も検討
コンテは、2024年秋冬シーズンにデビュー。同年9月に青山店と新宿店、2025年3月に博多店をオープンした。ブランドステートメントに“新しいベージュ”を意味する「Novel BEIGE」、コンセプトに「NATURAL MODE」を掲げ、30代後半〜50代の自立した女性をターゲットに快適で都会的な装いを提案。フェミニンな色味やシルエットをベースにしつつも、素材やディテールにメンズライクな要素を取り入れることで“甘さ”を抑え、オン・オフ問わず着られるアイテムを展開している。
好調の要因の1つは、「カッコ良くなり過ぎない、柔らかさのあるナチュラルモード」を立ち上げ早々に体現できたこと。ブランドの顔として打ち出したコートやジャケット類、ジャンプスーツが狙い通りヒット商品となり、デビューシーズンからシグネチャーを確立することができたことが大きいと神永事業部長は話す。
積極的に実店舗出店を進めるコンテだが、ECの動きが活発な点も特徴だ。現時点でECの売り上げは全体の約4割を占める。高い発信力や熱量の高いファンを持つディレクターの辺見自身が、インスタライブなどで積極的な発信や顧客とのコミュニケーションを取ることで、顧客のリアルニーズを把握しながらオンライン購入を後押しできているという。昨年8月に計画値の約7倍の売り上げを記録したデビューコレクション予約会の反応を分析し、シーズン最盛期に売れ筋商品を的確に補充できたことも売り上げを底上げした。
今年2月にオープンした博多店の初日売上高はブランド史上最高額を記録。訪れたのは日頃から辺見のSNSをチェックし、ECや東京の店舗でコンテのアイテムを購入していたファンたちだったという。神永事業部長は「地方都市のお客さまにも支持いただけていることが実感できた」とし、今後も主要地方都市への出店を検討しているという。取材時にも、オープン前日にも関わらず、偶然通りかかった辺見のファンたちが「えみり先生!明日お店行きます!」「福岡店行きました!」と声をかける姿が見られ、ファンたちの熱量の高さと良好な関係値が伺えた。
新店舗は「旅」がテーマ、エルメスのジュエリーも
丸ビル1階の大名小路側に位置する新店舗は、“旅の出発点”である東京駅を一望できるロケーションや、コロナ禍の収束によって旅をする人が増えたことからインスピレーションを受けてデザイン。「旅」をコンセプトに濃色のウッドカラーを基調とした、クラシカルなホテルラウンジのような雰囲気に仕上げた。
売り場面積は約85平方メートルで、入り口付近に大型の什器を導入することで回遊性を担保。同等の広さを持つ新宿店よりも多くのラックを設置し、フルラインナップを揃える。丸の内店限定アイテムとしては、「エルメス(HERMÈS)」や「カルティエ(Cartier)」のヴィンテージジュエリーや小物類をラインナップ。オープン時には人気商品である「アッパーハイツ(upper hights)」別注デニムの店舗限定カラーを用意する。
人気タレントが手掛けるブランドとして、ECだけでも成立しうるポテンシャルはある。それでも積極的な店舗拡大を目指す理由について辺見は、「オンラインで見るだけでなく、実際に触って、立体で服を感じていただきたい。この丸の内店が完成して初めて内装を見た時、直感的に『一番好きなお店かも知れない』と感じた。そんな素敵な空間で、買い物体験を楽しんでほしい」と話した。
2025年春夏コレクションでは、より幅広い客層へのリーチを目指し型数を前シーズンの約70型から約100型へ大幅に拡大。フレアシルエットを取り入れた従来より甘めのデザインやカジュアルテイストのアイテムのバリエーションを増やす。
ユナイテッドアローズの中で他にない独自性を確立しつつあることに手応えを見せた辺見と神永事業部長。今後も、同社の主力ブランドへの成長を目指す。
◾️コンテ 丸の内店オープン日:2025年5月17日(土)所在地:東京都千代田区丸の内2-4-1 丸の内ビルディング