なぜ「利回り4%の不動産投資」が15%の金融商品より優れているのか?レバレッジ活用の真髄

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2025年05月19日 09:30  日刊SPA!

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―[FIRE投資家が教える「お金・投資」の本質]―
東京23区の中古ワンルームマンション中心に不動産投資を展開。現在、38戸の物件を所有し、時価資産額約10億円、年間家賃収入約4000万円の個人投資家・村野博基氏。投資効率をより高めるレバレッジ、株式投資やFXでよく耳にします。しかし、村野氏は「不動産投資は唯一、インカムゲインを目指す投資のなかでハイレバレッジが実現可能な金融商品」と語ります。不動産投資におけるレバレッジの使い方について聞いていきます。

◆不動産投資は「投資効率が段違いにいい」と言えるワケ

投資を行う際、資金の効率的な運用を求めることは非常に重要です。その一つに、資金の借入を行い、レバレッジ(てこの原理)を効かせて効率を高める方法があります。

例えば、株式投資では信用取引を用いて保証金や株価を担保に約3倍の株を扱うことができたり、FXでは口座に入れた証拠金の25倍までのポジションを取ることができます。レバレッジを高めれば自己資金以上に取引が出来るため、儲けられるプラスも損をするマイナスも大きくなっていきます。

一方でレバレッジを効かせられるインカムゲイン狙いの金融商品は少ないもの。

インカムゲイン狙いの金融商品としては、預金、国債などの債券、配当などがあります。ネット銀行の1年物定期預金では1%台が出てきましたが、メガバンクでも定期預金は0.25%程度と雀の涙です。債券に目を向けてもアメリカの国債が4%台だったり、高いところではブラジルの10年国債が約14%であったりします。株式投資の場合、直近で一番配当が高いのはドリームインキュベーター。記念配当ですが、配当利回りは11%台と超高配当の部類になるでしょう。

一方でマンション区分の不動産投資の場合、都内23区で購入した際のネット利回りは大体4%前後となっています。ブラジル国債やドリームインキュベーターの配当に比べると見劣りする水準でしょう。

◆見かけの利回りが低くてもレバレッジを効かせれば

ここである質問をしてみたいと思います。金額が400万円で利回り15%が付く商品Aと、2500万円で利回り4%の商品Bがあったとき、どちらに投資をしたいでしょうか?

これをパッと見たとき、多くの方が利回りの高さに惹かれてAを選ぶのではないかと思うのですが……。しかし、よく考えてみてください。400万円の15%は60万円、一方で2500万円の4%は100万円です。

ですから、この質問は「60万円もらえるのと100万円もらえるのはどちらが良いですか?」と言い換えることができます。当然のごとく100万円もらえるほうが良いので、商品Bを選ぶのが正解です。いくら利回りが高かったとしても、投資をする元本が大きい方がリターンとなる金額は大きくなるのが実情です。

とはいえ、この話をすると「2500万円持っているのなら400万円の商品Aを6つ買えばいいのでは?」と思う方もいらっしゃるでしょう。ただ、400万円しか持っていなければ、そもそも2500万円の商品Bは買えるわけがありません。

「じゃあ商品Bを選ぶ事なんてできないじゃないか?」と思うのも当然ですが……。そんなときに「レバレッジ」を思い出してみましょう。不動産投資の場合、2500万円で利回り4%の物件であっても、頭金400万円を担保に入れて2100万円を借りることができます。

◆利息も含めて計算してみると…

「でも借りたら利息が発生し損するのでは」と疑問に思う方のために、少し計算してみましょう。金利は1.8%で35年ローンと想定とすると、月々の返済額は6万7000円ほど、35年間の総支払額は2832万円、利息総額は732万円です。

この利息総額を35年で割ると年間平均21万円です。2500万円の4%では100万円が収益ですが、利息分の21万円を引けば利益は79万円になります。つまり、400万円の15%の60万円を超えて、利回り19.75%相当になるのです。

「ならば、利回り15%の商品Aでレバレッジをかければいいじゃないか?」という方もいらっしゃるかもしれません。その指摘もごもっともですが……。35年間も年利15%を出し続けられるような商品で、それに対して金融機関が低金利で貸し出ししてくれることが条件になります。そんな金融商品と貸出してくれる金融機関があれば、是非、投資をするべきです。

私はこの「レバレッジが掛けられて安定したイールドギャップが取れること」こそが不動産投資を他の投資と比較した際の最大の優位性だと考えています。東京の好立地の不動産投資は「レバレッジのかけられる利付債」のようなもの。これ以上に「借り入れ可能かつ安定したインカムゲインが見込める商品」を見つけるまでは、この不動産投資は継続していこうと考えています。

ただしこの不動産投資にも、そもそも成り立つための前提があります。それは借りてくれる人がいて「家賃収入がある」こと。そして、家賃収入があっても支出がそれを上回らないこと。この2点がなければそもそもインカムゲインではなくなります。「不動産は管理を買え」という格言がありますが、保有物件の管理をしっかり行うことは不動産投資を行う上で最も大切なことなのです。

<構成/上野 智(まてい社)>

―[FIRE投資家が教える「お金・投資」の本質]―

【村野博基】
1976年生まれ。慶應義塾大学経済学部を卒業後、大手通信会社に勤務。社会人になると同時期に投資に目覚め、外国債・新規上場株式など金融投資を始める。その投資の担保として不動産に着目し、やがて不動産が投資商品として有効であることに気づき、以後、積極的に不動産投資を始める。東京23区のワンルーム中古市場で不動産投資を展開し、2019年に20年間勤めた会社をアーリーリタイア。現在、自身の所有する会社を経営しつつ、東京23区のうち16区に計38戸の物件を所有。さらにマンション管理組合事業など不動産投資に関連して多方面で活躍する。著書に『43歳で「FIRE」を実現したボクの“無敵"不動産投資法』(アーク出版)

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