ロッテ・寺地隆成(C)Kyodo News 「出場機会が少ない中でもしっかり自分の中で結果を出さないと。一番は打撃でアピールしないといけないので、しっかりアピールできるようにと捕手のところでも佐藤都志也さんに勝ることができないと出場機会が増えていかないと思うので、そこを目指してやっていきたい」。
4月3日の取材でこのように話していたロッテ・寺地隆成は開幕一軍を掴んだが、この時点で1試合も出場していなかった。それでも少ないチャンスをモノにし、5月18日時点でチーム最多の17試合でスタメンマスクを被る。
寺地がスタメンを増加させたきっかけのひとつが4月16日の日本ハム戦、続く4月18日の楽天戦が挙げられる。
4月18日の日本ハム戦は『9番・捕手』でスタメン出場し、守っては田中晴也、鈴木昭汰、中森俊介の3投手をリードし日本ハム打線を無失点に抑えれば、打っても0−0の5回二死走者なしの第2打席、加藤貴之が1ボールから投じた2球目の121キロのスライダーをライトフェンス直撃の二塁打を放った。
4月22日の楽天戦は0−0の3回二死走者なしの第1打席、「まっすぐを狙って、うまく反応して打つことができたと思います。1本打つことができて嬉しいです」と、早川隆久が1ボール1ストライクから投じた3球目のインコース145キロのストレートをライトへプロ初本塁打を放つと、1−0の8回一死走者なしの第3打席、藤平尚真が3ボール2ストライクから投じた8球目の140キロインコースフォークを右中間スタンドに本塁打と、1試合に2本塁打。守っても先発オースティン・ボスを来日初勝利に導く好リード。
19日と20日の楽天戦、22日の西武戦ではベンチスタートも、20日の楽天戦と22日の西武戦、代打で2試合連続安打を放ち、23日の西武戦から先発マスクの機会が一気に増えた。
◆ 打撃
昨季高卒1年目ながらイースタン・リーグ2位の打率.290をマークした“打撃”を売りにする捕手。その中で、寺地が課題のひとつに挙げていたのが、インコースのストレートへの対応。
オープン戦ではインコースをさばき安打にしていたが、「変化球だったので、うまく対応できたのかなと感じた部分があります。まだストレートには刺されている部分があるので、そこはこれからの課題かなと思います」と納得がいってなかった。
シーズンが開幕してからは、早川から放ったプロ初本塁打、4月26日の日本ハム戦、1−2の9回一死走者なしの第4打席、田中正義が2ボール2ストライクから投じたインコースのストレートをレフト前に安打を放つなど、“インコースのストレート”をしっかり対応している。
本人は「去年だったらできていないことが今年は早川さんのホームランだったりできていたところはあるので、そこの部分を含めてインコースの捌きもそうですけど、自分の良さを存分に発揮できればと思います」と分析する。
寺地のもうひとつの武器は対応力。ここ最近、2ストライクと追い込まれてからの打撃フォームを見ると、足の上げ方を少し小さくして打っている。
その理由について「去年みたいに常にストレートを狙って打っていくことはなかなかできないと思いますし、ピッチャーのレベルも全然上がっています。ずっとストレートを狙っていける場面がなかなか少ないですけど、2ストライク後、自分の中でもなんとか工夫して、ここ最近はやっていますね」と説明した。
現状の打撃については「良くも悪くもって感じですね。ヒットが出ていないわけではないですけど、まだまだ追い求めている結果に行き着いていないところがあるので、詰めるところは詰めてやっていけたらなと思います」と、高いレベルを求め自身と向き合っている。
◆守備
守備面では「まだまだ全然至らないというか、そういう部分の方が多いです。練習時間もあるので、そこで補って、結果を出せるように頑張りたいと思います」と反省。
プロ1年目の昨季は寮に帰ってから振り返りを行い、その中で「失点した場面、なんでここは三振に抑えられたんだろうというところを重点的に、あとは自分の守備ですかね、ブロッキング、ここ足が動いていなかったなとか、スローイングでも体が突っ込んでいるなとか動画で見て振り返っていますね」と振り返りを行っていた。
今年も変わらず配球など守備面の振り返りを継続して行う。新たに「今年は打撃部分のフォームもそうですし、配球だったり、ブロッキングの形、しっかり入れたのかどうか、なんで遅れてしまったんだろうというところも含めて振り返っています」とのことだ。
開幕から1ヶ月半が経過し、開幕直後に「少ないチャンスで結果を出さないと」と、言葉通りチャンスをモノにし、先発出場の機会を増やしている。「ピッチャーの兼ね合いもそうですけど、出させていただいている以上、責任を持ってやらないといけないと思いますし、その分、勝利に貢献しないといけない。出ている以上は頑張らないといけないと思います」と覚悟を見せた。
「1番の持ち味はバッティングなので、打てなくなってしまうと落ちてしまう可能性もありますし、そこは継続して打ち続けられるように。それに伴って守備もできるように頑張りたいと思います」と危機感を示す。攻守に躍動する高卒2年目の寺地隆成。このチャンスをモノにしようとアピールしていくつもりだ。
取材・文=岩下雄太