写真 このところ、政治の世界でもよく「ディープ・ステート(闇の政府)」という単語を目にします。
インドの与党であるインド人民党が「ディープ・ステート」勢力を非難したり、トラス元英首相が「ディープ・ステート」を話題に出したり、闇の世界がすっかり表の世界に知れ渡って、陰謀論好きとしては物足りない感じがありますが、トランプ大統領と闇の政府の攻防なども気になるところです。
◆CIA機密情報公開、日本との関わりも
そのトランプ大統領が、ケネディ暗殺に関する機密情報公開を行ったことが話題になりました。1963年のケネディ暗殺に関する約6万4000ページもの機密情報が公開。文書ファイルを開いて解読するのだけでも大変です。
ケネディはCIAの秘密活動(フリーメイソンの利害など)を暴こうとしたために暗殺されたとする説が、長年囁かれていました。
CIA陰謀説を裏付けることが書かれているかが焦点の一つでしたが、今のところそのような内容は見つかっていないようです。
いっぽうで、この文書には、日本とCIAとの関わりについても触れられていることが判明。これまで日米の政府に存在を認められていなかった、CIA東京支局が存在することが書かれていました。CIAが自民党などへの資金提供していたことも明らかに。
◆「フリーメイソン日本」看過できないと批判
文書が公開された直後、「フリーメイソン日本」のX(旧Twitter)のアカウントが即反応。以下のような投稿をしたことが話題になりました。
「我々フリーメイソンは、自由、平等、博愛の理念のもと、各国の主権と民主主義の尊重を基本原則としてまいりました。
先日、アメリカ合衆国大統領令に基づく情報開示によって公開された文書の一部において、日本国の政権政党である自由民主党とアメリカ合衆国中央情報局(CIA)との資金的関係、さらには一定の支配・影響関係が示唆される事実が明らかになりました。
このような事態は、日本の主権国家としての独立性、そして国民主権の原則を根幹から揺るがし兼ねないものであり、自由と民主主義を重んじる我々フリーメイソンの立場からは当然看過することはできません。—後略—」
この突然の文書はいったいどんな意味を持っているのでしょう。まだほとんどの人が文書の中身を知らないのに、わざわざ自分から宣言するとはよほどのことです。
◆フリーメイソンのホールで背筋が伸びる思い
以前、東京メソニックセンターで行なわれた音楽イベントを見学したことがあります。
はじめて入った神谷町の東京メソニックセンター(現在は移転)の内装は荘厳で、エントランスには日本グランドロッジ会員であるVIPの方々の名前が刻まれ、ガラスケースにはエプロンや帽子など儀式で使われるアイテムが展示されていました。フリーメイソンファンとしてはテンションが高まりました。
ホールの天井の装飾には「REASON」「CHARITY」「NATURE」「IMMORTALITY」「INFINITY」といった意識が高そうな単語が表記され、背筋が伸びる思いでした。そのときは闇の力で牛耳(ぎゅうじ)っているようなヴァイブスは感じませんでした。実際、音楽のイベントを開いたり、慈善活動を行ったり、入会審査は人間性が重視されたりと、モラル的にも高みを目指す団体のようです。
そのため、Xの正義のコメントも、フリーメイソンの「自由・平等・博愛」のポリシーが伝わってきたのですが……そう思ってしまうのは洗脳されやすい一介の民だからでしょうか。いっぽうで、識者の中には別の視点を提示する方も。
◆「トランプ何やらかしてくれたんだ!」建前の裏には…
先日、世の中のあらゆる情報に精通している、日本を代表する西洋占星学者、マドモアゼル・愛先生にお話を伺う機会がありました。
そこでこの「フリーメイソン日本」の投稿について見解を聞いてみました。しばらく読んだあと、愛先生は
「我々はこういう会です、と建前で言ってるけど、その裏には、トランプ大統領が秘密の情報を開示するのは困る、という思いがあります。日本とCIAの関係がわかってしまうのを危惧(きぐ)している。ほとんど、CIA=フリーメイソンだって言ってるわけ。でも建前では、何を開示されたとしても、私どもは友愛団体です、と宣言してるんです」
と、思いもよらなかった意味を教えてくださいました。ということは「トランプ何やらかしてくれたんだ! 余計なこと言うな」という内容だったのでしょうか。
たしかに、歴代CIA長官がフリーメイソンだったり、フリーメイソンの会員がCIAの上層部に多数存在している、という説も根強いです。
◆秘密の組織には光と闇の両面か
ちなみにこの投稿の翌日、「フリーメイソン日本」のアカウントは、フリーメイソンのストイックな精神をアピールするような訓示が投稿。
「ロッジを成長させ、強化する方法」の英文を投稿。
「できるだけ多くの会議や行事に出席しましょう。」
「早めに出勤し、遅くまで残業しましょう。支援し、参加しましょう。」
「読書をし、研究し、学び、訓練し、話し合い、教え、成長し、向上しましょう。」
「役職を引き受け、役割を果たし、ボランティア活動に参加しましょう。最善を尽くし、袖をまくり、助け合い、謙虚さを保ち、社会に貢献しましょう。」
「あらゆるエゴと愚かなプライドを捨て去りましょう。」
「噂話やゴシップは避け、他者の強みを活かし、情熱と新しいアイデアを奨励しましょう。」
「お互いを家族のように扱い、最大限の敬意と尊敬、敬意を持って接してください。」
といったまじめモードのルールが列挙されています。
これももしかして、噂の火消しなのでしょうか……。ディープステートやイルミナティ、フリーメイソンなどさまざまな秘密の組織がありますが、一枚岩ではなく、光と闇の両面があるのでしょう。
ちなみにディープステートは弱体化しつつあり、「ザ・シンプソンズ」の予言では万博に絡(から)めて2025年に「オオサカ・フルー(大阪風邪)」と呼ばれる感染症が世界に広まる、という都市伝説がありましたが、おそらく発生しないと思われています。先日、「ザ・シンプソンズ」の作家のスティーブ・ペプーン氏が急死したというニュースが入ってきたのは偶然でしょうか。
隠されていたものを開示しまくるトランプ大統領が「光の戦士」かどうかは不明ですが、世の中はポジティブな方向に向かっていると信じたいです。
◆ブチ切れエイリアンVSソ連軍の機密文書も
ところで、今回、他にも注目を集めているCIAの機密文書が存在しています。それは、ソ連軍とエイリアンの対決について書かれたもの。旧ソ連の情報機関KGBによる機密文書で、2000年に機密解除されていますが、今回の解除命令で、新たに関連文書が公開されることへの関心が高まっています。
その文書によると、事件が発生したのは1989年から1990年頃とそんなに昔ではなく、訓練中だったソ連軍の部隊が円盤型のUFOに遭遇し、ミサイルで打ち落としてしまったことが発端となりました。
墜落したUFOの中から「大きな頭と大きな黒い目」を持った5人の小柄なエイリアンが登場。おそらく内心ブチ切れていたのでしょう。彼らは集まって一つの球体になり、ブンブンという音を立てて巨大化し、爆発。その爆発で兵士のうち23人が瞬時に石化してしまったそうです。
光を浴びなかったので生き残った2人の兵士が証言。エイリアンの持つ兵力と技術力の高さに戦慄させられます。
ケネディ暗殺というメジャーなトピックの影に、このような宇宙人の機密文書がさり気なく公開されているかもしれず、要チェックです。CIAやフリーメイソンよりも好戦的な宇宙人のほうがよほど脅威かもしれません。
<文&イラスト/辛酸なめ子>
【辛酸なめ子】
東京都生まれ、埼玉育ち。漫画家、コラムニスト。著書は『辛酸なめ子と寺井広樹の「あの世の歩き方」』(マキノ出版)、『辛酸なめ子の現代社会学』(幻冬舎)、『女子校育ち』(筑摩書房)など多数。