フィクション作品で最も怪獣に襲われたであろう街・東京。そこで倒された怪獣はその後どうなるのだろうか――。そこに着眼した漫画『私の仕事は、怪獣を解剖すること』がXに投稿されている。
本作は単行本として発売されている『怪獣を解剖する』の第1話。怪獣映画へのリスペクトが散りばめられた物語について、作者・サイトウマド(@saimatu3110)に話を聞いた。(小池直也)
――Xに投稿していかがですか?
サイトウマド(以下、サイトウ):単行本の『怪獣を解剖する』上下巻、作品集『解剖、幽霊、密室』の発売に合わせて、試し読みとしてXに投稿しました。バズるというほどではないですが、この投稿をきっかけに単行本を買ってくださる方も多かったので嬉しく思っています。
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――単行本の上下巻も重版おめでとうございます。こちらの反響については?
サイトウ:たくさんの方に読んでいただいて大変嬉しいです。さらにもっと知っていただけるように、まだまだ宣伝などを頑張っていきます。
――怪獣の死体処理をテーマにした『大怪獣のあとしまつ』という映画もありましたが、漫画の着想に関係しているのでしょうか。
サイトウ:Xに投稿したのは連載版の第1話ですが、元になった読切版が作品集『解剖、幽霊、密室』に収録されています。
そちらの解説ページに詳しく書きましたが、読切版で着想を得たのは田島木綿子先生の『海獣学者、クジラを解剖する。〜海の哺乳類の死体が教えてくれること〜』(山と溪谷社)という本。ネームを描いている最中に『大怪獣のあとしまつ』の予告が流れてきて驚きました。
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――怪獣の名前を「トウキョウ」にした理由も気になります。
サイトウ:漫画内においては、「トウキョウ」はあくまでマスコミ発の通称という設定で、詳しくは単行本のカバーを外した本体表紙記載の「怪獣図鑑」に書いたのでよかったら読んでみてください。
名前を「トウキョウ」にした理由としては、象徴的な存在になるといいなと思ったからです。かといって、具体的に特定の何かを象徴する意図はなく、いろいろな事象を代入して思考することができる存在にしたいと思いました。
――他のキャラクターも思わずニヤッとするような監督や音楽家、登場キャラの名前が組み合わされたネーミングです。やはり過去のゴジラシリーズにリスペクトがある?
サイトウ:怪獣映画を全部観ているわけではありませんが、初代『ゴジラ』、『ガメラ』シリーズ、『シン・ゴジラ』に特に影響を受けており、絶大なリスペクトがあります。
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また、私はキャラクターの名前を考えるのが本当に苦手なので、好きな映画や地名などからもじったり組み合わせたりすることが多いです。とはいえ、これについては賛否あったという印象で……もうやるまいと思っています……。
――「二次怪獣」などの独自設定も斬新でした。こういったアイデアはどこから?
サイトウ:「二次災害」という事象とつなげて発想していきました。あまり覚えていませんが、担当さんとの打ち合わせで「読切で漂着した怪獣の死骸は大きな怪獣のクローンで〜」というような話が出た記憶があります。
あとは『ゼイラム』という映画に「宇宙人が生物の細胞から自分の手下を生成する」という設定があり、この辺りからも影響を受けているかなと。
――そのような設定にリアリティを持たせるための科学的な考証などはされていますか。
サイトウ:考証については完全に独学で監修の方もおらず、あまり自信はありません。専門家の方からしたら、ご指摘を受ける部分もあるかと思います……。
リアリティに関しては「物語内における嘘のつき方」が大事なのではないかなと思っていて、「正確さ」はそれを支えるものではないかなと思っています。
ゲロルフ・シュタイナー『鼻行類』やレオ・レオニ『平行植物』、制作ユニットのクラフト・エヴィング商會みたいなタイプのフィクションのあり方が大好きで、ああいうおもしろい嘘をつく漫画が描けたらいいなと思います。
――キャラデザインや作画でこだわっていることは何でしょう?
サイトウ:読みやすさ、わかりやすさです。
――今後の展望を最後にお願いします。
サイトウ:新しい作品について毎日考えております。早くお届けできるように頑張ります。
(文・取材=小池直也)
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