インド西部グジャラート州にあるNXインドの工業製品配送用倉庫=1月30日(ニッポンエクスプレスホールディングス提供・時事) 【ニューデリー時事】日本通運の持ち株会社「ニッポンエクスプレスホールディングス(NXHD)」が、インドで半導体産業のインフラ整備に奔走している。主要工場の開設段階から関わり、「半導体エコシステム」の実現を目指す。
インド政府は2021年、半導体産業の大規模振興策を公表。米半導体大手やインド財閥企業が西部グジャラート州と北東部アッサム州の計3拠点で工場建設を進めており、早いものは年末にも稼働する見込みと報じられている。
NXHDは3拠点全てに関与。工場建設から製造装置搬入、量産開始までの各段階で最適を実現する「物流ソリューション」が強みといい、中でも数百億円する製造装置をダメージを与えずに搬入する「高品質輸送」に定評がある。
インドでは未整備の道路や路面の段差も多い。揺れを極力抑える運送技術だけでなく、リスク回避のため事前のルート調査が重要とされる。また、アッサム州は装置を搬入する十分な空港設備が整っておらず、州政府と掛け合っている。現地法人NXインドの名古屋輝明代表は「半導体に関しては州政府も意見に耳を傾けてくれる」と話す。改善すべき点を尋ねられることもあるという。
同国の半導体市場規模は30年までに23年の3倍近い1090億ドル(約16兆円)に達すると想定されている。ただ、製造に不可欠な水や電気の安定供給、道路事情の課題を含め「簡単ではない」と名古屋氏。行政の本気度は認め、「スピーディーかつ強力に推し進めていくのでは」と語った。
内海孝亮次長は、半導体の物流対応では高度な専門性や経験が求められ、地場企業にはハードルがあると指摘。一方で、日系や欧米系との参入競争は「既に激化している」と気を引き締める。
同社は輸送需要をつかんだ上で、積極投資を通じて物流倉庫も整備していく方針だ。

NXインドの名古屋輝明代表(右)と内海孝亮次長=13日、インド北部ハリヤナ州グルガオン(ニッポンエクスプレスホールディングス提供・時事)