「不動産投資は業者にカモられる」の誤解。資産10億のFIRE投資家が明かす、スキルなしでも“負けない投資術”とは

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2025年05月26日 09:31  日刊SPA!

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東京23区の中古ワンルームマンション中心に不動産投資を展開。現在、38戸の物件を所有し、時価資産額約10億円、年間家賃収入約4000万円の個人投資家・村野博基氏。多くの人が「怪しい」「リスクが高い」「やめておけ」と非難されがちな不動産投資ですが、その理由について村野氏は不動産業界を4象限のマトリックス図に落とし込みながら解説していきます。そして、「負けない不動産投資がある」とも言います。その中身とは?
◆不動産投資は大別すると4パターン

みなさんは「不動産投資」にどのようなイメージを抱いているでしょうか? 「なんだか怪しい」「リスクが高い」「借金を背負う」「高額で利益が出しづらい」などといったイメージを持つ人も多いのではと思います。

そもそも、不動産投資は大別すると「売買で稼ぐ」「賃貸で稼ぐ」の2軸と「東京(中央・都会)」「地方」の2軸で4象限に分類することができます。縦軸は稼ぎ方で、「売買で稼ぐ」か「家賃で稼ぐ」か。横軸は「東京」か「地方」かです

東京での「売買で稼ぐ不動産投資」は非常にシビアかつ難しい領域です。というのも、そのエリア近辺の地価も変われば、物件の用途や間取りなどによって物件価格は変わります。金額もピンキリです。中古マンションの1Rならば1000万円前後でもありますが、マンション1棟になれば数億円も珍しくありません。正直、イチ個人が物件を見せられて「これは安い、高い」とパッと正確に判断するのは難しい。未来はどうなるか分からない中で、将来の価格を予想しながら値上がりを見越して売買するのは大変厳しい領域だと思います。

また、地方での「売買で稼ぐ不動産投資」も人口減少社会に突入している日本においては、よほどその地域に対して熟知していないと稼ぐのは難しいのではと考えています。過去のバブル期には、日本の不動産価格全体が値上がっていたのを口実に、値上がりの見込みがない山林や原野に対して「開発計画がある」「もうすぐ道路ができる」と嘘をつき買わせる原野商法もあったりしました。

◆“売買で稼ぐ”不動産投資がイメージを悪くしている

東京、地方を問わず、図の下側になる「売買で稼ぐ不動産投資」は多くの業者プレイヤーがひしめき、個人を巻き込む勧誘も盛んです。というのも、不動産は販売する側にとっては非常に美味しい商品です。例えば不動産仲介の場合、物件を売りたい人と買いたい人をマッチングできたら、それぞれから仲介手数料として物件価格の最大3%+6万円、合計6%以上のフィーを受け取れるのです。売買差益も出れば彼らの利益は更に大きくなります。

単純な計算ですが、価格1億円の物件における売買を仲介できれば、在庫リスクも原価もかからず600万円以上の収入になります。全国どこの地域に行っても街に不動産屋さんがあり潰れないのは、「不動産は人生最大の買い物」と言われるようにグロスの販売価格が高く、利幅が多く取れるためではないでしょうか。

また、「将来このエリアには再開発の話も持ち上がっている。今なら安く手に入るし、後々値上がりするから買っておいて損はない」という話や、「出口戦略」という言葉を多用し「ボロくなって行く前に売却しませんか?」といって安く買い叩いていくような例も散見されます。「老後のために不動産投資をしませんか?」と電話をかけて物件を買わせる行為も相変わらず横行しているようです。利幅が大きいがため「顧客を1人でも捕まえられれば……」と営業も必死なのでしょうが、この「売買で稼ぐ不動産投資」の存在こそが不動産投資の印象が悪い最大の要因だと私は考えています。

◆細く長くでも、確実に続けられる「東京の賃貸で稼ぐ不動産投資」

もう一つ不動産投資には「賃貸で稼ぐ」という方法もあります。物件に対して入居者を募り、住んでもらって家賃収入を得るスキームです。物件を売買する不動産投資と違って派手さはありませんが、入居者が住んでくれたらその間は継続的に稼げる”ストックビジネス”になります。昨今、さまざまな商材が定額で継続的に利用できるサブスクリプション化していますが、不動産賃貸こそ、まさに昔からあるサブスクと言えるでしょう。

「地方の賃貸で稼ぐ不動産投資」の場合、利回りは高い物件は多いですが空室との戦いになります。そもそも人口減少社会ですから地方から人が減りつつあります。賃貸物件のニーズも限られており、そもそも物件があっても家賃を払ってくれる入居者を見つけてくるのが難しい状況です。そのため、自分自身で入居者を見つけてくる戦略や伝手といったスキルが必要になります。

◆スキルが不足していると悲惨な状況に

また、「地方で賃貸で稼ぐ不動産投資」は空室時と満室時の変動幅が大きいためボラティリティが高い投資とも言えます。このボラティリティの高さは投資においてはリスクです。そしてスキル不足で空室が埋められないと状況はより悲惨になります。不動産の税金や建物の維持費は空室であっても容赦なくのしかかるもの。結局、不人気エリアの物件は、安く売りに出すか無理やり次のカモを探す「ババ抜き」のように押し付け合いになるのです。

一方で「東京で賃貸で稼ぐ不動産投資」は利回りは低いですが、空室が少ない「負けない不動産投資」です。人口減少社会にあっても、まだ2025年時点でも東京の人口は増え続けています。そもそも古来より人は寂しがり屋なので、特段の事情が無い限り集まってくるもの。結果、人口減少社会であっても最後まで人が残る場所は東京なのでしょう。確実に住む人のニーズがあるところでの「賃貸で稼ぐ不動産投資」は、利幅自体は小さくても手堅く着実に稼ぐことのできるストックビジネスになります。あとは如何に「長期に」「安定的に」「積み上げること」ができるかが勝負のポイントです。

「不動産投資=怪しい・リスクが高い」というイメージは、主に”売買”そして“ボラティリティの高さ”がもたらしているのではないでしょうか。しかし、好立地の賃貸運用という「ストックビジネス」であれば、時間をかければ手堅く、着実に成果を得られる”負けない不動産投資”が可能です。「賃貸で稼ぐ」不動産投資の印象がより向上し、買って終わりではなく、物件を大事にしてきちんと維持管理された不動産への投資が増えていくことを私は願っています。

<構成/上野 智(まてい社)>

【村野博基】
1976年生まれ。慶應義塾大学経済学部を卒業後、大手通信会社に勤務。社会人になると同時期に投資に目覚め、外国債・新規上場株式など金融投資を始める。その投資の担保として不動産に着目し、やがて不動産が投資商品として有効であることに気づき、以後、積極的に不動産投資を始める。東京23区のワンルーム中古市場で不動産投資を展開し、2019年に20年間勤めた会社をアーリーリタイア。現在、自身の所有する会社を経営しつつ、東京23区のうち19区に計38戸の物件を所有。さらにマンション管理組合事業など不動産投資に関連して多方面で活躍する。著書に『43歳で「FIRE」を実現したボクの“無敵"不動産投資法』(アーク出版)
日刊SPA!にて連載【FIRE投資家が教える「お金・投資」の本質】
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