限定公開( 1 )
クリエイターは好きなことを仕事にしているからと見られることも多く、どのような葛藤や苦悩を抱えているのかには気づかれにくい。4月下旬にXに投稿された『スランプ5年目 - いかにしてスランプに陥ったか私の記録 -』では、漫画家・イラストレーター・ライターとしてマルチに活躍するクリエイター・ぬっきぃさん(@nukkey2013)が、スランプに陥った際の軌跡を描いている。
「仕事がしたいけどできない」という苦しみがリアルに描かれている本作の制作経緯などについて、ぬっきぃさんに話を聞いた。(望月悠木)
参考:【エッセイ漫画】『スランプ5年目 - いかにしてスランプに陥ったか私の記録 -』を読む
◼︎「このモヤモヤで元を取るしかない」
――今回『スランプ5年目 - いかにしてスランプに陥ったか私の記録 -』を制作した理由を教えてください。
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ぬっきぃ:スランプ中の4年間、何かを創作するたびにモヤモヤしていました。仕事も激減していた状況で、「どうにかしてこのモヤモヤで元を取るしかない」と常に考えていました。そして5年目にやっと少し回復したので、「自分と向き合おう」と考えて制作を始めました。
――制作にはかなりの覚悟が必要だったと思いますが…。
ぬっきぃ:そうですね。ただ、ライターの仕事はすべて辞めていたので、「実はこういうことがあってね…」ということをファンのみなさんに報告するための作品でもあります(笑)。弁明的な意味合いもありました。
――スランプを抜け出せていない中で、スランプ期間を振り返りながら制作するのは、精神的にしんどかったのでは?
ぬっきぃ:とてもしんどかったです。Facebookに自分だけが閲覧できるよう設定して、気持ちを吐露していたんですが、本作を制作するためにそれを見返すと、あまりにも悲痛で正直読みたくありませんでした。普段の私は元気いっぱいなので、「本当に私が書いたの?」と思うくらい暗い文章でした。
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――完成したときの心境は? スッキリしたのか、それともモヤモヤ感が強まったのか…。
ぬっきぃ:半々です。モヤモヤの原因はわかったのですが、完全に回復していない状態なので、スッキリ感とモヤモヤ感が半々でした。
――ご自身の心境や状況を漫画にするとなると、「説明不足では?」「少し冗長かも?」など、構成をかなり工夫する必要がありそうですね。
ぬっきぃ:このあたりは自分の感覚で作成しています。自分が説明不足と感じたら描き足して、「ここはいらないな」と思う部分はカットしました。エッセイ漫画は自分の気持ちを描く必要があるため長くなりがちですが、「1話8ページ以内には収めたいな」と考えて作成しました。
――読者により伝わりやすくするために意識したことはありますか?
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ぬっきぃ:どうしても内容が暗くなってしまうので、作画はなるべく書き込みを控えめにしました。見せたい部分には黒やトーンを多く使って、緩急をつけています。
――改めて、本作を通して読者にどのようなことを伝えたいですか?
ぬっきぃ:自分と向き合うために制作しましたが、「スランプ5年目の人もいますよ」「現在スランプ中の人も安心してください」という気持ちも込めています。それが伝われば嬉しいです。
――今後の創作活動の展望について教えてください。
ぬっきぃ:まだまだスランプ中なので、今後も『スランプ●年目』という形で展開されるかもしれません。完全に回復したら『スランプ●年目からの完全回復』のような形で、経過観察的に作品を出せたらと思っています。今回、Xで公開したのはスランプのほんの始まりです。続きはBOOTHで購入して、確認していただけたら嬉しいです!
(文・取材=望月悠木)
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