二審判決後、記者会見する(左から)大川原化工機の大川原正明社長、元役員の島田順司さんら=28日午後、東京都千代田区 「自分たちがやってきたことが間違っていなかったと認めてくれた」。捜査機関の違法捜査を訴え続け、再び勝ち取った判決。機械メーカー「大川原化工機」の原告らは28日午後、東京高裁前で「全面勝訴」などと書かれた紙を笑顔で掲げた。
午後2時に始まった判決言い渡し。約30分に及ぶ判決理由の読み上げを、大川原正明社長(76)は何度もうなずきながら最後まで聞き入った。
閉廷後、原告らが高裁前で「全面勝訴」の紙を示すと、集まった支援者らは拍手で祝福した。大川原社長は「ありがとうございます」と何度も頭を下げ、詰め掛けた報道陣に「一審より踏み込み、吟味して判決を出してもらって安心した」とにこやかに語った。
その後の記者会見で、原告側代理人の高田剛弁護士は「客観的かつ踏み込んだ内容で、裁判所の覚悟が見える。『捏造(ねつぞう)』という言葉は使われていないが、事件がないのに事件をつくったという流れが認定され、捏造を認めたと評価できるだろう」と述べた。
大川原社長は「なぜターゲットになったのか今も分からない」と吐露。「噴霧乾燥機の専門メーカーとして、日本で一番、世界にも負けない会社にすると社員に話してきた。法令解釈でも自分たちがやってきたことが間違っていなかったと認められた」と語った。
元役員の島田順司さん(72)は「警察、検察の捜査の違法性などが認められた。再発防止や法整備を急いでほしい」と求めた。
一審の法廷で「まあ、捏造ですね」などと述べた警察官3人について、高田弁護士は「3人の証言がなければこの判決はなかった」と話した。勾留中に判明したがんで亡くなった元顧問、相嶋静夫さん=当時(72)=の長男(51)は「最後までうそをついた警察官はいた。良い警察官と悪い警察官の戦いだったのかな」と振り返り、「組織の内部改革をしてもらいたい」と訴えた。

二審判決後、元顧問の相嶋静夫さんの遺影を前に記者会見する大川原化工機の大川原正明社長(中央)ら=28日午後、東京都千代田区