「炎上する謝罪会見」はどこがダメなのか? 元テレビ局員に聞いた、“不適切”会見の共通点

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2025年05月28日 20:51  All About

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不祥事の謝罪会見でさらに炎上……そんな負のスパイラルを見ることも多い昨今。 広報担当者が押さえるべき「炎上しない謝罪会見」の鉄則とは? 準備から当日の対応、アフターフォローまで、元テレビ局員が失敗しないためのポイントを解説!
会社の危機を乗り越えるはずの謝罪会見が、まさかの大炎上……。視聴者が「これはダメだ」と感じる原因は会見前のセッティングにあった! いざという時に慌てないために、広報担当者が知っておくべき「炎上しない謝罪会見」の秘訣(ひけつ)とは?

『元テレビ局員がやさしく解説 SNS炎上防止大全』(加賀 敬章著)には、企業や個人がSNS炎上にどう備え、どう対応すべきか、具体的なノウハウが詰まっています。

本書から一部抜粋し、謝罪会見で失敗しないための具体的な準備や対応策について、炎上対策専門家の先輩と、広報担当者で社会人2年目の美桜さんの対話形式で紹介します。

炎上しない謝罪の第一歩は?

美桜:先輩、メディア対応といえば記者会見もそうだと思いますが、会見そのものが炎上してしまう謝罪会見が最近多いですよね。

炎上しないですむ謝罪会見についても、アドバイスいただけますでしょうか? いつ私も会見スタッフになるのかわからないので……。

先輩:はい、謝罪会見についてもお話ししましょう。炎上を避けながら適切な謝罪会見を行うには、いくつかのポイントがあるんだ。

まず重要なのは、早期の対応です。

ずっといっていますが、問題が発生した際は、できるだけ早期に状況を把握し、適切な対応を検討する必要があります。炎上初期対応の鉄則だよね。

美桜:迅速な対応ですね。さすがにこれは頭に入っていますよ。では、具体的にはどのようなことに気をつければよいでしょうか?

先輩:問題の原因を徹底的に調査し、事実関係を明確にすることが重要で、そのうえで適切な謝罪の方法や内容を慎重に検討する必要がある。

会見準備と当日の対応は?

美桜:事実関係の把握と、適切な謝罪の方法の検討ですね。ほかにはどのような点に気をつければよいでしょうか?

先輩:次に、謝罪会見の準備も大切だな。会見の司会者や登壇者を適切に選び、会見の流れや質疑応答の想定など十分なリハーサルを行わなきゃいけない。

美桜:司会者や登壇者の選定、リハーサルの実施ですね。登壇者は誰がいいんですか?

先輩:会社全体に関わることであれば、普通は代表者、つまり社長だろうね。登壇者が2人であれば、社長と副社長あるいは担当役員かな。

つまり、トップ責任者が自らの口で会見すべきなんだ。イメージはメインと補足説明者という感じ。

美桜:やっぱり責任者のトップが会見しないと、世間は納得しないですものね。以前、社長が出席せず、批判された会見もありましたしね。

先輩:そうそう。誰もが知っているチェーン店の異物混入問題で、担当役員だけの会見があったよね。

会見当日の対応も重要になる。報道関係者への配慮、質問への誠実な回答、会見の録画・配信、など細かな点にも気をつけてほしいところだ。

質疑応答と事後対応のポイントは?

美桜:報道関係者への配慮、質問への回答、会見の記録化ですね。

先輩:質問への誠実な回答については、事前に想定問答集をつくり、リハーサルを行うのが一般的だよ。

できるだけ厳しい質問を考え、その回答を行って会見の準備をしていく。

会見後のフォローアップも重要で、状況の改善状況を定期的に報告し、信頼関係の回復に努めることが大切だと思う。

美桜:なるほど、会見後のフォローアップですか。忘れがちですが重要なポイントですね。

いまいっていただいた点に気をつけることで、炎上を避けながら適切な謝罪会見を行える、ということでしょうか?

先輩:そのとおり。全体として、誠意ある対応や姿勢を会見時に貫かなければいけない。取材カメラは、姿勢や表情、立ち振る舞い、謝罪の仕方、といったものに注目しているからね。印象が悪いものだけを切り取られ、炎上してしまう場合もあるよね。

それも踏まえ、早期の対応、事実関係の把握、適切な謝罪の検討、会見の準備と当日の対応、そしてフォローアップ。

これらのポイントに留意することで、炎上を最小限におさえつつ、適切な謝罪会見を実現できるはずです。

美桜:大変参考になりました!早期の対応、事実関係の把握、適切な謝罪の検討、会見の準備と当日の対応、フォローアップ。

この5つのポイントをおさえることで、炎上を避けながら信頼回復につなげられる、ということですね。このお話を生かして、今後の対応に役立てていきたいと思います。ありがとうございました!

加賀敬章(かが のりあき)プロフィール

office KG代表、SNS炎上研究家、研修講師、企業危機管理士、Webリスク管理士。1958年名古屋市生まれ。大学卒業後、テレビ局に入社。報道記者・営業・企画・総務部長・デジタル推進室長を歴任後、コンプライアンス推進局長に就任。関係会社役員を経て2022年に独立。テレビ局でコンプライアンスの総責任者・責任者を14年間務めた経験を活かして、現在は、研修により全国の組織人の育成に尽力。また、テレビ局時代に目の当たりにした炎上事件をきっかけに、SNS炎上事案や炎上防止策を研究し、企業や個人に向けて炎上対策などを伝えている。
(文:加賀 敬章)

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