
2030年には男性の3人に1人、女性の4人に1人が「生涯独身」に? 「結婚しない」生き方が普通の時代がやってくるといいます。とはいえ、人は一人で生まれて一人で死んでいくもの。独身で楽しく健康に暮らしてきた辛酸なめ子さんに、元気の秘訣などを聞きました!
こういう生き方しかできない
これまで鋭い視点で恋愛や結婚について語ってきたのは、漫画家・コラムニストの辛酸なめ子さん。しかし、独身でいいと思っているわけではない。
以前、運命鑑定ができると有名な印鑑店の店主に印鑑を見せたところ「子孫を繁栄していないから先祖が怒っているよ」と言われ、半年ほど落ち込んだという。
「女性は子どもを産んでこそみたいな年配の方の価値観に触れると、産んでいないことに罪の意識を感じることがありました。でも私は仕事も家庭も、と器用に両立ができないタイプですし、今は『こういう生き方しかできないから仕方がない』と思えるようになりました。
また、先祖の中には家庭を守ること以外の表現活動をしたかった女性もいたはず。そんな先祖に応援されていると思いたいです」
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スピリチュアル分野の著書も多いが、そちらの世界では独身であることはどう考えられているのだろうか。
「過去世で結婚生活や家庭を守ることをやってきたので、今生はそういう役割ではないという考え方もあります。ジェンダー意識にしてもコンプライアンスにしても、時代は大きく変わってきているので、そのうち独身かどうかを気にすることのない世界がやってくるのではないでしょうか」
2025年2月にはインドでもトップの聖者として知られるヨグマタ・相川圭子さんのツアーに参加し、世界最大級の宗教行事「クンブメーラ」に参加した。
「6億人がガンジス川に沐浴に訪れ、罪を洗い流す祭りです。精神修養が目的で参加しましたが、押しつぶされそうな人波で、命の危険を感じました。結婚して子どもがいる身だったら、参加は諦めたと思うので、やりたいことを気兼ねなくできるのは独身のメリットですね。
私は嫌われない愛されるおばあさんになることを目標にしているので、人格を磨いていく必要があります。大変な旅でしたがガンジス川で浄化できてよかったです」
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辛酸さんは、結婚という形をとらなくてもパートナーがいればいいと考えているが、病気で入院したときが心配だという。
「家族でないと手術の同意ができなかったり、お見舞いが認められない場合があります。日本を代表するおひとりさまである社会学者の上野千鶴子先生も、パートナーの方が亡くなる直前に婚姻届を出されていました。多様性の時代に合わせて、病院制度も変わるといいのですが」
一方、辛酸さんの友人は「夫よりもAIが自分を肯定して応援してくれる」とAIにハマっているそう。
「人間に限らないパートナーシップの形もこれから出てきそうです。イケメンロボットが登場し、一緒に住んで世話をしてくれる時代がやってくるのではないでしょうか。AIと好きな小説や映画について語り合い、いつでも褒めて励ましてもらえる。AIは応答も早いですし、孤独を感じなくなって、ますます結婚しない人が増えていくかもしれません」
そもそも今は、結婚以前に恋愛するのも難しい時代になってきている。
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サービス付きの高齢者向け住宅に入るのが理想
「会社で同僚を食事に誘っただけでセクハラと言われますし、突然家に行ったり、恋愛ドラマのような展開を現実に行うとストーカーとみなされます。オフィス恋愛が少なくなり、マッチングアプリで相手を探すしかなくなっていますよね」
一方で少子化に歯止めをかけるため、政府では独身税を取り入れようという話も出ている。
「これまでも出産・育児をする人への支援が手厚く、独身者は払う一方だったので、税金まで徴収されたら、みんな国外に出てしまい、ますます未婚・少子化が進むのではないでしょうか」
50代になり、おひとりさまの老後についても考えるようになった辛酸さん。
「ある程度お金が貯まっていたら、都会の暮らしを楽しめる、サービス付きの高齢者向け住宅に入るのが理想です。お墓は墓地にはこだわっておらず、海洋散骨の見学にも行きました。日本文芸家協会に所属しているので、そこの合同墓に入れてもらうという選択肢もありですね」
取材・文/紀和 静
しんさん・なめこ 1974年東京都生まれ、埼玉県育ち。漫画家、イラストレーター、コラムニスト。武蔵野美術大学短期大学部デザイン科グラフィックデザイン専攻卒業。在学中から執筆活動をスタートし、恋愛、女性の生き方、スピリチュアル、セレブ、皇室など幅広いテーマで執筆し、雑誌・新聞・web媒体で数多くの連載を持つ。著書に『スピリチュアル系のトリセツ』『無心セラピー』『女子校礼讃』『電車のおじさん』『新・人間関係のルール』など多数。