
連載【ギグワーカーライター兼ウーバーイーツ組合委員長のチャリンコ爆走配達日誌】第102回
ウーバーイーツの日本上陸直後から配達員としても活動するライター・渡辺雅史が、チャリンコを漕ぎまくって足で稼いだ、配達にまつわるリアルな体験談を綴ります!
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ウーバーイーツの配達をしていて最近増えてきているなと実感するのがピック・パック・ペイ(PPP)と呼ばれる買い物代行配達。
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PPPが導入された当初に「ウーバーイーツの買い物代行サービス『PPP』はパシリ感がハンパない!」や「年末年始にウーバーイーツ配達依頼が多かった意外な店とは?」でも書いた通り、スーパーマーケットなどの商品を注文された方に届ける買い物代行サービスのことです。
先日、このPPPの買い物で配達員を評価する4つの指標が誕生したので、今回はその指標や配達員視点から見たPPPで商品を頼む際の注意点を紹介したいと思います。
これまで配達員に対する指標は、注文された方が配達員に対して「Good」「Bad」で評価する「満足度」だけでした(満足度という物差しについて、あれこれ言いたいことはあるのですが、また別の機会にグチります)。
そして、この春から登場した新たな指標が買い物(PPP)に対するもの。「達成率」「注文品の正確さ」「発見率」「交換率」の4つが評価の対象となります。
「達成率」は注文した商品が品切れだった場合、運営側や注文者が指定する代替品を見つけることができた確率です。
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「注文品の正確さ」はPPPの注文者から苦情が来なかった割合。これまでの「満足度」と同じようなものです。
「発見率」は指示された商品を見つけられた確率。品切れなどで代替品を購入すると数字が下がります。
「交換率」は品切れの際に代替品を見つけられた確率となります。
さまざまな評価基準を設けて配達員を評価することについては、配達員の質の向上のために必要な措置なんだろうなと理解はできるのですが、「発見率」と「交換率」については、現状では問題のある制度だと感じています。
私が主に配達をしているエリアでPPPの依頼が増えるのは、14時から17時と21時から23時。お昼は問題ないのですが、閉店時間が近い21時以降の依頼では、野菜や肉など生鮮食品が品切れのケースがけっこうあります。そのため発見率が低くなっているのですが、発見率の注意書きには「お住まいの地域の上位配達パートナーは、注文に対して90%の発見率を維持しています」と表記され、90%以上になることをやんわりと求められています。
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また、交換率のところには「商品が品切れの場合、質の高い代替品を選ぶことで細かい気配りを示すことができます」と書いてあります。ですが、先日の配達でこんなことがありました。
注文されたタイ産の鶏もも肉角切りが品切れだったので「商品が見つかりません」のボタンを押した際に、ウーバーが指示した「最も一般的な代替品」が鶏の手羽元肉。次に出されたのが豚バラ肉の薄切りでした。
おそらくAIが判断しているのだと思うのですが、もも肉と手羽元肉は同じ鶏肉とはいえまったくの別物です。店には国産鶏もも肉の角切りがあったのですが、ウーバーの運営側にこの商品のバーコードが登録されておらず、代替品として商品のバーコードをスキャンすると、エラーのメッセージと「この商品を注文者に知らせますか?」というメッセージが出ます。なのに、注文者へ知らせる方法は表示されません。
さすがに手羽元や豚肉に変えるのは問題だと思い、この時は代替品の候補の下の方に出されていた、カットされていない国産鶏もも肉を購入しました。
野菜や果物を購入する際にはオーガニック商品を注文される方への気遣いが表示されるので、代替品の候補を出す際、宗教上豚肉を口にできない方への配慮もあった方がいいかと思いました。
こういった感じで生鮮食品は品切れが多く、夜の時間帯は注文したものが届けられない可能性や、とんでもない代替品が届く可能性が高まります。また、キャベツなど価格の変動が大きな野菜は、価格が高騰すると「4分の1カット」「6分の1カット」といった、ウーバーイーツの注文リストにはないサイズが登場することが多々あります。
生鮮食品を注文する際は、品切れだった場合の代替品をウーバー任せにせず、自分で細かく指示して、トラブルを回避していただけたらと思います。
文・撮影/渡辺雅史