カナダ大手百貨店「ハドソンズ・ベイ」が約9割の従業員を解雇へ 8300人超

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2025年05月29日 10:11  Fashionsnap.com

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ハドソンズ・ベイの公式サイトより


 カナダの老舗百貨店「ハドソンズ・ベイ(HUDSON'S BAY)」を展開するハドソンズ・ベイ・カンパニーが、清算セールを終了し全店舗を閉鎖する6月1日までに、従業員の約89%にあたる8347人を解雇する予定であることがわかった。現地時間5月26日に公表されたオンタリオ州高等裁判所による文書で明らかになった。

 ハドソンズ・ベイ・カンパニーは、1670年にイングランドの勅許・国策会社として設立され、現在は本社をカナダ・オンタリオ州に置く北米最古の企業。世界でも最古かつ最大規模の継続事業企業の一つとされており、主な事業としてカナダ唯一の国内資本百貨店「ハドソンズ・ベイ」を展開している。
 11億カナダドル超の債務を抱えており営業赤字が続いていた同社は、今年3月にオンタリオ州の高等裁判所に対し、連邦会社債権者調整法(Companies’ Creditors Arrangement Act、以下CCAA)に基づく保護を申請。これを受け、裁判所は一時的な債権者保護を認め債務の執行を停止し、監督機関としてAlvarez & Marsal Canadaを任命した。この段階で、ハドソンズ・ベイ・カンパニーはHilco Global傘下のRestore CapitalからのDIP融資1600万カナダドルを確保し、最低限の事業継続資金を調達している。
 しかし、再建計画のカギとなる店舗運営に関し、不動産大手RioCanが12店舗の家賃滞納を巡って法的異議を申し立てたことにより、ハドソンズ・ベイ・カンパニーのリース資産戦略と交渉力が疑問視され、再建計画の実現可能性が問われる事態に発展。裁判所への提出資料により、同社が提示していた再建案は具体性に乏しく、再建よりも清算のほうが債権者への回収可能性が高いと見なされたことで、再建から清算への流れが強まった。そして同月21日、裁判所は、同社による再建が現実的ではないと判断し、清算を正式に承認。カナダ国内の全店舗を閉鎖する方針が決定された。
 文書によると、8347人を解雇後、残る従業員は1017人。6月15日に閉鎖予定の配送センターの従業員や店舗内で備品の売却や店舗の閉店作業を行うスタッフ、企業の清算業務にあたる本社スタッフなどが含まれるという。このうち、899人の従業員は追加で解雇される見込みで、最終的に残る少数の従業員はCCAA手続を通じた会社の事業清算作業を支援するために業務を継続する。
 なお、ハドソンズ・ベイの商標や知的財産は、カナディアン・タイヤが3000万カナダドルで買い取る予定だ。

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