検索、SNSをフォロー…シニアのスマホ利用が認知症リスクを減らす!?専門医が推奨する「脳が喜ぶ活用法」

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2025年05月29日 11:01  web女性自身

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スマホの過度な使用はドライアイや肩こり、睡眠障害などの不調を招くという数々の指摘があるいっぽうで、日常的に使うと認知機能維持に役立つことが最新の研究で明らかになった。



米テキサス大学などの研究グループが4月中旬、科学誌『ネイチャー・ヒューマン・ビヘイビア』に発表した論文によると、《パソコンやスマートフォンなどデジタル機器を日常的に使う人は、老年期の認知機能障害リスクが半分以下に抑えられた》という結果が得られたというのだ。



研究グループは、平均68.7歳の計41万人を追跡調査したデータをもとに分析。日常的にデジタル機器を使用している人では、そうでない人に比べ、認知機能低下のリスクが58%低く、認知機能低下のペースが26%緩やかであることが示された。



「この研究が指摘しているとおり、スマホをはじめとするデジタル機器は、適切に使用することで認知症のリスクを抑えることにつながるといえます」



そう話すのは、脳神経内科医で、金町駅前脳神経内科の内野勝行院長だ。内野院長は、自身の母親がスマホを使いこなす過程で、認知機能が改善していくのを実感した経験があるという。



「私の母は、もともとアクティブな人でした。調理師や栄養士、和裁、洋裁などの資格を10個以上持ち、シニアになってもお弁当店で働きつつ、ヨガも習うなど、行動意欲にあふれていたのです」



ところが、コロナ禍で外出の機会がパタリと失われると、社会との接点が少なくなった影響か、認知機能が急激に衰え、老人性うつのような症状が出始めたのだという。



「同じことを何度も話し、孫の名前まで間違えるようになったときにはさすがにこのままではいけないと思い、ガラケーをスマホに替えて、タブレット端末もプレゼントしました。少しずつ操作を覚え、やがてSNSも楽しめるようになりました。こちらから送った写真をアプリで共有して『いいね!』のマークを押してくれるなど、電話以外のコミュニケーションも活性化。スマホの上達に合わせて、元気を取り戻してくれました」(内野院長、以下同)



慣れないスマホの操作やアプリの使い方がわかったときには、脳内で神経伝達物質「ドーパミン」が分泌され、快感を覚えたり、やる気が出てくるという。



「ドーパミンの分泌量は加齢とともに減っていくことがわかっています。一日中家の中でぼんやりしていると、ドーパミンが枯渇して認知症のリスクが高まります。認知症や老人性うつの最大のリスクは“退屈”と“孤立”。好奇心を刺激し、脳を活性化させるのにスマホは役立つツールです」



今回は内野院長に「脳が喜ぶスマホの使い方」を教えてもらった。まずは、わからないことは何でも、Googleなどの検索エンジンでこまめに調べるクセをつけること。



「たとえば病院を探しているとき、病名などキーワードを入れて検索をかけてみましょう。大量の情報が出てくるので、さらに絞り込むと探している情報が見つかります。受け身でなく、自分から情報にたどり着こうとすることが大切です。



好きなことに関して調べるのも有効です。私の母は料理が得意で、SNSにアップされる料理の投稿をよくチェックしていました。



園芸、パッチワークなど、趣味の投稿をしている人をフォローすると楽しめます。自分もやってみようというきっかけにもなります」



また、目的地までのルートや電車の乗り換えなども頼ってOK。ほかに、自宅にいても道路沿いの風景がチェックできる「ストリートビュー」などを生かして、かつて旅行したところをたどってみると、幸せホルモンのセロトニンやオキシトシンが出てくる。これは認知症患者に行う「回想法」という治療法の一つでもあるそうだ。



「スマホを持ち歩けば、アプリで一日の歩数や心拍数の変化がわかります。自分のコンディションが客観的に把握できることで健康管理にもつながるでしょう」



“孤独・孤立”を防ぐにはLINEなどのアプリの活用が効果的だ。



「友人とやりとりしたり、離れて暮らす家族とつながっていれば、一人暮らしの人は安否確認もしてもらえるので安心です」



一日誰とも会う予定がない場合でも、スマホに搭載されている「音声アシスタント機能」(iPhoneのSiri、AndroidのGoogleアシスタントなど)を使えば、話し相手になってもらうことができる。のどや耳を使うことも脳の活性化につながる。



こうしたメリットがあるいっぽう、近年は漫然と画面を眺めたり、すぐに機械に頼ったりすることで認知機能に悪影響が及ぶ「スマホ認知症」のリスクを指摘する声も多い。脳によくないのは、長時間ダラダラと使うことで、スマホ依存の状態になってしまうこと。



「ふとんやベッドの中に入ってもスマホを手放さない人がいますが、ブルーライトを浴びると睡眠ホルモンのメラトニンの分泌を抑制して睡眠の質を低下させます。



一日のリズムが狂うと精神的にも不安定になります。トイレや入浴時まで動画などを見続けないようにしましょう。好きなゲームも、時間を区切って楽しむようにしたいですね」



就寝の1時間前からはデジタルデトックスを心がけよう。また、SNSの書き込みに夢中になりすぎると、脳疲労や自律神経の乱れから感情のコントロールに悪影響が生じるので要注意。



ネット上に書かれていることをうのみにしない心がけも大切だ。そこから詐欺被害などのトラブルに発展してしまうケースもある。



「認知機能は50歳を境に低下が始まるとされています。スマホは適切に使用すれば、認知症予防の救世主になります。日々の生活にメリハリをつけ、コミュニケーションの機会を維持するのに役立てましょう」



デジタルツールに上手に頼って、脳が喜ぶ生活を送ろう。

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