
学生たちの不安が増しています。“留学生排除”ともいえる動きを加速させているトランプ政権。新たに、学生ビザを取得するための新規面接を停止すると報じられました。
トランプ政権 留学生“排除”を加速アメリカ‧ハーバード大学では、卒業式を控えガウン姿の学生が行き交っていました。しかし、祝賀ムード一色とはいきません。
学生
「立ち上がれ!戦え!」
「我々は去るのではなく学ばなければならない」
留学生の受け入れ資格を停止を発表したトランプ政権に対し、抗議デモが行われていました。
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スウェーデンからの留学生
「トランプ大統領はすべての留学生を取引材料にしています。それは人間性を深く深く傷つけています」
デモに参加した在校生
「留学生の友人は帰国して入国できなくなるのを恐れてアメリカにいます」
ただ、こうした抗議に対して、“どこ吹く風”のトランプ大統領。留学生“排除”の動きは加速する一方です。
その新たな措置が「学生ビザの新規面接停止」です。
新たな措置 “学生ビザ新規面接停止”ルビオ国務⻑官は、学生ビザを取得するための新規面接を一時停止するよう各国のアメリカ大使館に通達しました。背景にあるのは、イスラエルのガザ攻撃に対し、アメリカの大学で拡がった抗議デモです。
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こうした動きを「反ユダヤ主義」とみなし、取り締まりを強化しているトランプ政権は留学希望者のSNSの投稿履歴を調べるなど、審査を強化することを検討しています。そのため、新たな審査の方法などが決まるまで、ビザ取得のための面接を一時停止するというのです。
アメリカ国務省 ブルース報道官
「我々は入国してくる人物を審査するプロセスを非常に重視していて、今後もそうするつもりだ」
「学生であろうとなかろうと入国する人物を見極めるため、あらゆる手段をとる」と強調しました。
措置が実施されれば、アメリカの大学を目指す日本の学生への影響は避けられそうにありません。
「大学生になれるのかな…」ビザ申請しようとした矢先米大学に入学予定の山本綾音さん(19)
「トランプ政権やアメリカの留学生に対する動向が厳しくなっているのはニュースで追っていたが、ここまで自分の身近なものになるとは正直思っていなくて、すごく驚きました」
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先週、インターナショナルスクールを卒業したばかりの山本さん。8月にアメリカの大学に入学する予定で、5月中旬に必要な書類が揃い、ビザを申請しようとしていた矢先だったといいます。
山本さん
「私は海外に住んだことが一度もなかったので、ただでさえ不安な状況に、さらにどうなるかわからないという不安が重なり、本当にこの先、大学生になれるのかなという不安が一番大きいです」
山本さんは、すでに入学金5000ドル(約72万円)を払い終え、現地に向かう航空券もおさえていました。仮にビザが下りなければ、今からでも受験できるオーストラリアなどの大学を受ける可能性もあると言います。
山本さん
「すごい悩んで決めた大学なので、無事に学生ビザが通って、大学生活が送れることが一番の願いです」
小川彩佳キャスター:
学生の皆さんとしては、運が悪かった、タイミングが悪かったでは済まされない問題です。
トラウデン直美さん:
本当に人生のすごく大事な時期だと思いますし、そこにかけてきた想いもきっと強いですよね。海外の大学に進学するというのは大きな決断だと思うので、どれだけ振り回されるんだっていうことは、本当にやるせない気持ちでいっぱいだと思います。
藤森祥平キャスター:
これから目指そうとしている学生さん、またご家族の不安も大きいと思いますが、この問題は学生に限った話ではありません。
アメリカの国務省は、留学希望者のSNSの投稿履歴などへの審査を拡大することを検討しています。しかし、ブルース報道官は「学生であろうとなかろうと、入国してくる人物を見極めるため、あらゆる手段を用いていく」と言っています。
現在、アメリカのビザを取得するためには、SNSの個人アカウント情報の提供が既に義務付けられています。これは2019年のトランプ政権時に運用が始まっています。
当時、国務省としては「テロ対策が目的」としていました。今回、国務省は反ユダヤ主義とみなされる動きを取り締まるためとしています。
アメリカビザの申請に詳しい佐藤智代行政書士に聞きますと、SNS投稿の中でチェックするのは…
▼前政権
・“テロ組織”との関わり
・不法就労不法滞在の疑いがないか など
前政権のチェック項目に加え、今回は…
▼今回
・デモへの参加
・反トランプ政権か、反米か など
上記のように、思想もチェックしていくのではないかとこの違いがあるとのことです。
小川キャスター:
トランプ大統領の支持者の皆さんは、喝采を受けられるかもしれませんけれども、どれだけの方たちが支持するのでしょうか。
例えば、Googleやテスラのイーロンマスクさん、アメリカのイノベーションやスタートアップは多くの元留学生の方や移民の方たちが支えてきたわけですよね。国の形、国力を削いでいきますよね。
トラウデン直美さん:
思想までチェックしてしまうと、“自由の国アメリカはいずこ”と感じてしまいます。そもそもアメリカが目の敵にしているいくつかの国と近いことをしてしまっているのではないかという気もします。最終的にアメリカの利益にならないのではないかなという気持ちが大きいです。だから、思いを持ってアメリカに行きたいと思っていた方々にとっては残念かもしれません。
しかし、ヨーロッパにもアジア各国にもいい大学はたくさんあると思いますから、そういったところでむしろ日本は、チャンスだと捉える。そして、いい人材には何とか日本で働いてもらってイノベーションを起こすというような、なるべく前向きに考えられたらいいなとは思います。
藤森キャスター:
幅広いフォロー体制を作れればいいんですけどね。
小川キャスター:
距離感がずっと変わっていきますよね。
NEWS DIGアプリでは『アメリカのビザ審査』について「みんなの声」を募集しました。
Q.アメリカのビザ審査に関する措置 気になる?
「大いに気になる」…56.5%
「やや気になる」…21.6%
「あまり気にならない」…10.5%
「全く気にならない」…8.7%
「その他・わからない」…2.7%
※5月28日午後11時17分時点 2012人回答
※統計学的手法に基づく世論調査ではありません
※動画内で紹介したアンケートは29日午前8時で終了しました。
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<プロフィール>
トラウデン直美さん
Forbes JAPAN「世界を変える30歳未満」受賞
趣味は乗馬・園芸・旅行