JTT堀オーナーが明かす、ジム運営の方針転換と「身銭を切れ」の真意、そして朝倉未来“復活勝利のキーマン”【インタビュー】

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2025年05月29日 18:00  ORICON NEWS

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JAPAN TOP TEAM・堀鉄平オーナー (C)ORICON NewS inc.
 5月4日に東京ドームで行われたRIZINの10周年記念大会『RIZIN男祭り』で、前フェザー級王者の鈴木千裕にTKO勝利し、見事な復活を遂げた朝倉未来。入場時、そして勝利の瞬間に東京ドームが揺れるほどの歓声を集めた朝倉未来のセコンドについていたのは、弟でUFCファイターの朝倉海、柔術コーチの竹浦正起、そして所属ジム「JAPAN TOP TEAM(JTT)」のオーナーの堀鉄平氏の3人だった。

【動画】JTT堀オーナーが明かす、ジム運営の方針転換と「身銭を切れ」の真意、そして朝倉未来“復活勝利のキーマン”【インタビュー】

 RIZIN参戦直後の未来のセコンドを務めていたものの、最近は離れていた堀氏は、なぜ再び未来のセコンドになったのか。JTTの誕生から1年半、どのように進化してきたのか。ORICON NEWSでは久しぶりに堀氏にJTTでインタビューを行った。

■朝倉未来の勝利&JTT変革のキーマン・竹浦正起は「指導者としてもマネージャーとしても優秀」

 朝倉未来は『男祭り』の試合前インタビューで「JTTが変わってきて、いい雰囲気になっている」と何度も発言し、『男祭り』でも同門のヒロヤと秋元強真が快勝して大将の未来にバトンをつなげた。2023年の秋にJTTが発足してから1年半、果たして何が変わったのか。オーナーの堀氏に分析してもらった。

 「海外のコーチを呼んだり、クラスの時間帯とか内容もいろいろと試してみて、これが一番いいんじゃないという形がようやく出来上がって落ち着いてきたのかな、という感じです。新しいことを始めたので、ある程度の試行錯誤の期間が必要でしたね」

 ジム発足直後、朝倉海がアメリカ修行で出会ったエリーコーチとビリーコーチを日本に招聘したが、現在は2名とも帰国した。その点についても「2人とも一流のコーチですごくレベルが高くて、海くんや未来くんはフィットしたけど、僕たちのジムとしてはオーバースペックでした。目指す方向は間違っていなかったけど、ちょっとまだ早かったという感じです」と堀氏は振り返る。

 現在のJTTは柔術コーチの竹浦正起がヘッドコーチ的存在となり、選手への指導だけでなくジムの運営などでも堀氏と連携している。「指導者としてはもちろんマネージャーとしてもすごく優秀で、JTTを株式会社と考えるなら僕が株主で竹浦くんが新たな社長です。自分のクラスで指導するだけじゃなく、クラスのタイムテーブル全体も考えてくれますし、未来くんにも遠慮せずズバッと指導してくれて、分析能力も優れているので対戦相手の映像を編集して選手に送ってくれます。それ以外にも、会員増加などの施策を考えてジム経営も手伝ってくれるので、彼のおかげでジムもいい雰囲気になりました。僕も全面的に信頼しています。海くんがUFCで負けたことで、僕もジム運営に口を出していこうかと思っていたのですが、竹浦くんに任せれば大丈夫だと信頼できるので、また口を出さない立場に戻ります(笑)」。

 また、「日本格闘技界の底辺拡大のためキッズクラスの充実」もJTT設立当初の目標の一つとなっていたが、レスリング、キックボクシング、ブラジリアン柔術と3つのクラスの会員は増加中。このインタビューが行われた平日の午後5時ころ、秋元強真など所属ファイターのグッズをバッグに付けたキッズたちが続々とジムに集まり、元気に練習に励んでいた。8月には大規模なキッズ柔術大会も開催される。

■平本蓮も反応した話題の投稿“身銭を切れ”その真意は「所属選手に覚悟を持ってもらいたい」

 オーナーとしてJTTを発展させてきた堀氏だが、3月にSNSで「身銭を切れ。という原点に返ってもらおうと思っています」と投稿し、話題となった(平本蓮もすぐに「身銭切って脚トレしてきました」とサンプリングするほど)。その真意を聞くと「あえて言わないのがいいですよね、余韻が残って」とニヤリとしてから、所属ファイターに対する思いを明かした。

 JTTは2023年秋の発足時にジムスポンサーを募集し、その収入を海外コーチの招聘などジムを充実化させるために投資してきた。しかし、2年目の契約更新タイミングは朝倉未来が引退していた時期で、継続しないスポンサーの影響で収入が予想を下回ってしまった。それを受けて「スポンサーさん頼みの経営ではなく、普通のジムのように会員さんからの会費で運営できるよう」にジム経営の適正化に取り組んでいる。「竹浦くんに1年目の収支報告を見せら『こんなに使ってヤバくないですか?』ってビックリしてましたね」と苦笑しながら振り返った。

 適正化は各ファイターも対象となった。JTTはマネジメント料を一切設けず、ファイトマネーやスポンサー料などの収入はすべてファイター個人に渡してきた。さらに、コーチ代や海外遠征費のサポートも行ってきたが「お金を出すだけ出してこっちに何も入ってこないことに気づいてしまったんです(笑)。練習場所を提供することが僕の最低限の任務で、それ以上のことが必要であれば自分でトレーナー契約などをするのが筋でしょと。身銭を切ることで悲壮感や覚悟を持って自分を追い込んでもらいたい。JTTという恵まれた環境を当然だと思わず『これだけ自分のお金をかけて練習したんだから絶対に負けられない』、そんな気持ちで試合に臨んでもらいたいんです」と経営者としての判断を下した。

 堀氏がこのように考える根底には、オーナーやスポンサーからのサポートで運営するのではなく、JTTというジムだけでなく日本格闘技がもっと発展してほしいという強い思いがある。「子どもたちが『やってみたい』と思えないと日本の格闘技界は続いていかないし、そのためには格闘家は子どもたちにとって憧れの存在でないといけない。未来くんに憧れて秋元くんが格闘技を始めたように、次は秋元くんに憧れた子が格闘技を始める。野球やサッカーじゃなくて格闘技を選んでもらうために、JTTは強い選手が集まる象徴として永続させたいんです。オーナーの僕がお金を出さなくても見守るだけでいい、今はその仕組みを作っているところです」。

■UMITO代表として日本中を飛び回る多忙な日々 海外展開も視野に事業拡大へ

 JTTオーナーである堀氏といえば弁護士として知られているが「自分が代表の弁護士事務所にたまに顔を出しますけど、基本的に他の弁護士に任せていて、僕が裁判所に行くなどの弁護士業務は今はやっていません」。現在は“海最前列”の別荘やホテルをシェアで所有できるサービス&建物を提供する会社・UMITOの代表取締役としての活動がメインとなっている。

 「目の前の海が広がるオーシャンフロントにこだわり、現在は沖縄、熱海、鎌倉など数物件を販売してまして、そのほか瀬底島や奄美大島、宮古島、さらに東京からアクセスしやすい湘南や秋谷、箱根にも新しい物件を計画中です。土地の仕入れは得意なので(笑)、いい情報が入ると日本中どこでもすぐに見に行くので、JTTの運営は竹浦くんに任せています」

 購入者は10泊単位の日数を購入すれば、1泊10〜20万円相当の部屋に宿泊費を払わず毎年10泊〜宿泊できる(50年間の権利付与)ほか、使用しないときはホテルとして貸し出し、収益を得ることもできる(※管理費別途)。別荘のようにも、ホテルのようにも使えるサービスで、堀氏は「シェアリングエコノミーによって無駄なく運営される別荘という、画期的な存在です」とサステナビリティな取り組みであることも強調する。

 UMITOの海外展開も見据えながら、不動産投資塾の運営や著作の執筆など多忙な日々を過ごしている堀氏。かつては“闘う弁護士”として、格闘技大会『アウトサイダー』にも出場し、ブラジリアン柔術の茶帯も取得しているが、「最近は腰痛がひどくて、朝にストレッチや水泳をやってから仕事を始めています。グラップリングはできないのですが、腰痛が治ったらJTTでまたやりたいですね」。

■朝倉未来の勝因は「真摯に格闘技に取り組んで、勝ちたいという気持ちがいつもより強かったから」

 最後に、セコンドとして体感した『男祭り』についても聞いた。朝倉未来の復帰戦には、東京ドームに集まった4万2000人以上の観客から大きな声援が集まったが、セコンドとして花道を歩きリング下から未来に指示を出していた堀氏は、あの熱狂空間を冷静に振り返る。「地響きが鳴るくらいの声援を送っていただいて、すごくありがたかったですね。ただ、僕は場慣れしているというか、人がいっぱいいるからって緊張しないタイプで、老後のいい思い出ができたなって感じで楽しかったです(笑)」。

 今回の復帰戦とJTTの外国人コーチ2名が帰国するタイミングが重なってしまった事、そして堀氏が試合の大局的な流れを見極める能力に長けている事で、久しぶりにセコンドに復帰することに。「技術的なことは海くんと竹浦くんが指示して、僕はいま攻めるべき時なのかとか、全体的な体力についてのアドバイスはできると思っていました。それに、絶対に未来くんを勝たせるために少しでも役に立ちたいと思ったんです」。

 SNSでは未来の勝利シーンで涙ぐんでいる堀氏の姿も拡散された。「自分が昔に試合に出ていた時は涙を流したこともあったんですけど、人の試合で泣くことはあんまりなかったです。それでも今回は、さすがにね…」と照れくさそうに笑う堀氏に、セコンドから見た勝因を聞いた。

 「本当に真摯に格闘技に取り組んで、勝ちたいという気持ちがいつもより強かったから、ちゃんと結果が出たんだと思います。アウトサイダーからRIZINに出てきたばかりの頃は『絶対に勝ちたい。負けたら次に使ってもらえない』というモチベーションがすごかったけど、格闘技でもビジネスでも成功を収めていって、試合が決まったらやる気は満ち溢れていたけど、追い込まれていなかったのでは。ただ今回は、連敗していたし負けたら本当に格闘家としては終わるかもというモチベーションがすごく強かった。本気で格闘技に取り組めば、朝倉未来の才能はスゴいですから」

【UMITO】
https://umito.jp/

【キッズ柔術大会『柔術Dynamite!』】
昨年九州で開催し、大好評だった柔術Dynamite!が、今回は8月3日にJTT(ジャパントップチーム)での開催が決定。朝倉未来選手、朝倉海選手をはじめトップファイターたちが集う特別な場所を舞台に、キッズたちの熱い戦いが繰り広げられる。
今回も、キッズのみのトーナメントと全国トップキッズ柔術家たちによるスペシャルワンマッチという二本立て。しかも今回は“金網”での1面開催。大会としては異例のシチュエーションとなるため、参加枠は80名とかなり限られる(エントリーは募集1週間で定員が到達)。


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