
【写真】片渕須直による描き下ろしキービジュアル
本作は、戦時下の広島・呉を舞台に、大切なものを失いながらも前を向いて生きる女性、すずを描いた珠玉のアニメーション映画。公開当初は63館でのスタートながら、呉を舞台に描かれるかけがえのない日常とその中で紡がれる小さな幸せが共感と感動を呼び、累計動員数は210万人、興行収入27億円を突破、累計484館で上映される社会現象となった。
さらに、第40回日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞ほか、第90回キネマ旬報ベスト・テン日本映画第1位など、アニメーション映画としては異例となる日本の映画賞を次々と受賞。その評価は海を越え、国際的な映画祭でも高く評価された。
戦時中の広島。昭和19(1944)年、広島市江波生まれの絵が得意な少女・すずは、見知らぬ若者の妻となるため呉市に嫁いでくる。18歳で一家の主婦となった彼女は、あらゆるものが欠如する中、食卓を作る為に工夫を凝らす日々。日本海軍の根拠地だった呉は何度もの空襲に襲われ、大事に思っていた身近なものが奪われてゆくが、それでもすずの営みは終わらない。そして、昭和20(1945)年の8月がやってきた…。
あれから9年。時は流れても変わらず心に残り続ける物語が、期間限定で劇場の大スクリーンによみがえる。もし、すずがこの世界のどこかで今も暮らしていたとしたら、ちょうど100歳を迎える今年。戦後80年という節目に、『この世界の片隅に』が全国で再上映されるにあたって、すずの声を演じたのんは「毎日が愛おしくなります。この作品をまだ観たことのない方も観たことのある方もぜひ、劇場のスクリーンで観てみてください」とコメント。
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監督・脚本の片渕須直は「この映画が最初に公開されてから9年。世界は戦争から逃れられないでいます。すずさんがそこで暮らしていたささやかな世界の片隅を、そのかけがえなさの意味を、もう一度感じてみたいと思います」と、上映への思いを明かした。
今回公開された片渕監督による描き下ろしビジュアルは、昭和20年8月、主人公・すずが運命の瞬間を迎える、物語の中でも特別な場面を切り取ったもの。大切なものを失ったすず。その頭にそっと添えられた優しい手が、胸に深い余韻を残す。すずは、なにを思いなにを見つめているのか。見る者の心にそっと問いかけてくる、印象的な1枚だ。
炊事の湯気、絵の具の匂い、笑い声。なにげない日々の中に、たしかにあった命の灯り。すずが見つめていた“片隅”から、80年の時を経て、いまを生きる私たちへ。
映画『この世界の片隅に』は、8月1日よりテアトル新宿・八丁座ほか全国にて期間限定上映。
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【のん、こうの史代、片渕須直コメント全文】
■のん(すず役)
『この世界の片隅に』で北条すずさんの声を演じました。のんです。すずさんは、絵を描きます。美味しいご飯を食べます。家の仕事をしたり、家族で出かけたり、デートしたりします。日々を過ごしていく中で、現代の日本との違いが浮かび上がってくる。そして、見ていくうちになんでもない日常の幸せに心が溶けていくような心地になりました。毎日が愛おしくなります。
この作品をまだ観たことのない方も観たことのある方もぜひ、劇場のスクリーンで観てみてください。
■こうの史代(原作)
描いた時は、細くとも永く親しんでもらえるといいな、と思っていました。映画に関わる皆様が強く育て、高く羽ばたかせてくれました。今はただ頼もしく、誇らしく見守るばかりです。感謝でいっぱいです!
■片渕須直(監督・脚本)
戦時中という時代の中に生きた人々を理解したくてこの作品を作りました。あの日々から80年。そこから地続きに連なる世界に私たちも生きています。すずさんも100歳になって、どこかで暮らしつづけているのかもしれません。
この映画が最初に公開されてから9年。世界は戦争から逃れられないでいます。すずさんがそこで暮らしていたささやかな世界の片隅を、そのかけがえなさの意味を、もう一度感じてみたいと思います。
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