限定公開( 2 )
埼玉県蕨市の蕨郵便局で2023年10月に起きた人質立てこもり事件で、殺人未遂などの罪に問われた住所不定、無職、鈴木常雄被告(88)の裁判員裁判の論告求刑公判が29日、さいたま地裁(佐伯恒治裁判長)であり、検察側は懲役25年を求刑した。判決は6月4日。
起訴状などによると、被告は23年10月31日、蕨郵便局で女性職員2人を人質に立てこもり、屋内外に向けて拳銃を1発ずつ発砲し、駆け付けた警察官を殺害しようとしたとされる。被告は立てこもり事件の約1時間前、戸田市の戸田中央総合病院に向けて拳銃1発を発砲し、飛び散った窓ガラスや弾丸の破片で医師ら2人を負傷させた罪でも起訴された。
争点となったのは、拳銃を発砲した際の殺意の有無だ。検察側は論告で、被告が旧ソ連の軍用拳銃「トカレフ」を事件に使用したことを挙げ、「過去に何度も試し撃ちをした経験があることから銃の性能や威力を分かっていた」と指摘。警察官との距離や弾道などから「人を殺傷する恐れがあると分かって発砲した」と非難した。
弁護側は、相手を驚かせたり、威嚇したりするための発砲だったと説明。「被告に人を殺したいという考えは一切なかった。殺人未遂罪は成立しない」と述べ、懲役9年が相当と主張した。
被告は最終陳述で「この年で(求刑・懲役)25年はびっくりした。(刑期を終えるまで)生きていられるわけがない」と強い不満を示した後、「いろんな人に迷惑をかけ、非常に反省している」と述べた。【加藤佑輔】
|
|
|
|
|
|
Copyright(C) 2025 THE MAINICHI NEWSPAPERS. 記事・写真の無断転載を禁じます。
掲載情報の著作権は提供元企業に帰属します。