
お値段から世の中の動きを読み解いていくコーナー「きょうのお値段」。今回は1000万円です。ファミレス「ガスト」店長の年収が1000万円超えに、一体どういうことなのでしょうか?
夢の年収1000万円も? そもそも店長ってどんな仕事出水麻衣キャスター:
ファミリーレストラン「ガスト」の店長の年収について、来年度から1000万円を超えてくる人事制度を取り入れたということなんです。
そもそもガストなどを展開する「すかいらーくホールディングス」のファミレスなどの店長の年収は、これまで最大で840万円でした。
これが今年度の店舗の売り上げや利益が好調な場合は、来年度から賞与や月給が上がり、最大で1000万円を超える可能性があるということなんですよね。なかなか夢のある年収だと思いませんか。
いとう まい子さん:
そうですね。今年度の売り上げで来年度(の年収がアップする)となると、頑張ろうというモチベーションにもなりますよね。
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出水キャスター:
「すかいらーくHD」の18ブランド、約2600店舗の店長が対象だということです。すかいらーくHD全体では、店長の平均年齢は現在45歳だそうです。2〜3年で店長に昇格する方もいるということで、20代前半でも店長として活躍している方もいるということです。
現在、100社ほどの飲食店をコンサルティングしている「スリーウェルマネジメント」の代表取締役・三ツ井創太郎さんによると、店長の仕事は忙しいそうなんですよね。
飲食店のスタッフは若い方や学生も多いので、しょっちゅうスタッフが入れ替わったり、卒業して辞めてしまったりする方も多く、スタッフを随時育成しなくてはいけないですし、シフト作成や業績管理もあります。
また自らプレーヤーとして接客に回ったり、配膳したり、お皿を洗ったりすることもあるでしょう。さらに近年は口コミの対応や、店舗によってはSNSを運用してるところもあるので戦略を考えるなど、本当に多岐にわたる業務を請け負っているということなんです。
飲食店を含めた各産業でどのくらいの年収をもらっているのか、まとめました。
【2024年 産業別平均年収】(厚労省「毎月勤労統計調査」より)
飲食サービス業等:約426万円
電気・ガス業:約755万円
情報通信業:約667万円
金融業・保険業:約694万円
全産業:約565万円
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出水キャスター:
飲食サービス業等の平均年収は約426万円で、全業界の平均年収(約565万円)を下回っているんですよね。
もちろん平均年収と店長の年収ではまた違いがありますが、こうした中で「(最大で)年収1000万円」といったら、やはり多くの方が興味を持つと思いますよね。
井上貴博キャスター:
そうですよね。優秀な人材の囲い込み競争だと思うので、こうした成果報酬はとてもいいと思いますけど、産業別に見ると、介護職などもどんどん引き上げていただきたいなと思いますね。
出水キャスター:
そんな中、いろんな業界で人件費は見直されていて、「人件費はコストから投資へ」と切り替わっているんです。
昔は人件費というのはコスト削減の方向に向かっていた時代もありましたが、今は「人材は投資対象」、つまり人材に投資することによって企業の成長を促せるというような側面が色濃くなっているんです。
今回のすかいらーくHDの「年収1000万円超」についても、将来的な働き手不足への懸念から今までのコスト削減の動きをやめ、人に投資することで長期で働いてもらい収益に繋げることが狙いなんだそうです。
また自らの年収を上げることによって、店長自身も経営者としての目線やモチベーションが上がりますよね。そういったところで収益アップに繋がるということなんです。
そして三ツ井さんは、「店長で年収1000万円を目指せるというのはわかりやすいメッセージ、人材獲得が難しい飲食業界において、賃上げというのは必須なんだ」というふうに話していました。
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いとう まい子さん:
賃上げはこれから特に必須ですよね。もう溜め込む時代は終わって、これからはいかに人に来てもらうか、というのは企業側も考えていかなければいけない。すごくいいモデルケースになるんじゃないかなと思います。
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<プロフィール>
いとう まい子さん
俳優・経営者
1983年アイドル歌手としてデビュー
45歳で早稲田大学に入学
今年度から大学教授に就任