目標は「数値化」しないと意味がない GMO社長が直伝する手法とは?

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2025年05月30日 12:21  ITmedia ビジネスオンライン

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写真はイメージ、ゲッティイメージズ

 この記事は、『一冊の手帳で夢は必ずかなう』(熊谷正寿著、かんき出版)に掲載された内容に、かんき出版による加筆と、ITmedia ビジネスオンラインによる編集を加えて転載したものです(無断転載禁止)。


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 元日産自動車CEOのカルロス・ゴーン氏は雑誌で「数値化できない目標は『実行できない』とイコール」とコメントしていましたが、私は「数値化できない目標は目標ではない」とまで考えています。


 しかし、「でも私の仕事は、目標を数値化できない」と不満を持つ方がいるかも知れません。「こうすれば数値化できる」という例をいくつかご紹介しましょう。


●【事例で解説】全ての目標を数値化する方法


積極的に異業種交流会に参加し、人脈を広げる


 月に一度、その種の会に参加し、50枚の名刺を配る。後日、選び抜いた10人に連絡をとって、内5人と懇意になる。


新しく取り組む仕事の知識を高める


 初ミーティングを控えた1週間に関連書籍を3冊読む。そのために隙間時間を見つけて、毎日1時間を確保する。その道のプロを二人見つけて、それぞれと30分のミーティングをする。


気難しい上司とのコミュニケーションを深める


 一日に一度、上司を笑わせる。上司がゴキゲンになるネタを今週中に3つ集める。週に一度は一緒にランチする。


仕事の効率を高める


 時給2500円を目指す(月給が30万円の人は実働20日で日給1万5000円、一日8時間労働で時給1875円というのが現状だとして、同じ仕事量を6時間でこなせば時給は2500円にアップするというような仮定をして試算する。時給が仕事効率の向上を示す数値となる)。


精度の高いマーケティング調査をする


 1日に10人、1カ月に200人のインタビューを行う。


企画書を書く


 40字×30行のA4版用紙2枚にまとめる。


広報活動を強化する


 15媒体にアプローチし、8のメディアで記事掲載を果たす。


部下のモチベーションを高める


 インセンティブを3つ、考え出す。1つにつき、経費は10万円を限度とする。


“しゃべり”を上達させる


 発言する前に、結論を300字にまとめるトレーニングを行う。


 どうでしょう、どんな仕事でも数値化できるように思えてきませんか?


●GMO社長直伝、目標達成への近道


 目標を数値化することのメリットは、締め切りの例でも分かるとおり、目標がより明確になり、行動にハズミがつき、達成感を実感しやすいことにあります。


 先の例で言うと、例えば「人脈を広げる」ことを目標とする人が、数値化した目標を持っていないとどうなるでしょう? たぶん、気まぐれに異業種交流会に顔を出す程度の行動は起こせても、名刺を配るだけの行為に終始すると思います。


 しかし、「50人に名刺を配って、後日、10人と連絡をとる」という数値化された目標がある人は、何が何でも50人にアプローチする気持ちが高まることはもちろん、連絡をとる十名を確保するために、一人一人のパーソナルデータを集めなくてはという意識を強く持ちます。数値化した目標が、「結局、収穫がなかったなぁ」で終わる不毛な事態を防ぎ、目標達成に顕著な効果を発揮する行動を促すわけです。


 こういう数値目標を、仕事の大小にかかわらず、あらゆるシーンで立てるといいでしょう。例えば「日報を書く」というお決まりの仕事でも、「10分間で書く」とか「営業中に聞いた“ちょっといい話”を一つ書く」といった目標を設定して臨むのです。細かい仕事については、簡単に達成できる数値でけっこう。小さな達成感を得る、その積み重ねが自信につながります。


●数値化した目標が習慣をつくり、運命をつくる


 私は、仕事の能力というものは、たくさんの達成感に持ち上げられるようにして向上すると考えています。私が口を酸っぱくして「夢を持て、目標を持て」と言うのも、それを達成したときの喜びが、次なる目標に向かうパワーに「リサイクル」されるからです。


 生涯の夢に大きな目標の旗を立て、そこまでのプロセスにおいて大事な通過点に中くらいの目標の旗、この旗から旗の各区間に小さな目標の旗、さらに小さな目標の旗の間にもっと細かい目標の旗……こんなふうにたくさんの旗を立てるのが熊谷流なのです。これは言ってみれば「スタンプラリー」のようなもので、小さな旗をたくさん集めることが、仕事をする快感に結び付きます。


 仕事に限らず、プライベートでも目標の数値化は有効です。例えばダイエットなら、漠然と「痩せたい」と思うより、「80キロの体重を3カ月で75キロに落とす」などと、目標を具体的な数値に落とし込んだほうが、ずっと行動計画を立てやすいし、意志堅固に実践できます。


 また、マイホームの購入が目標の場合も「あと5年で現在の貯金200万円を600万円まで貯めて、4000万円程度のマンション取得に乗り出す」というように、具体的な資金計画をもとに目標を数値化しないと、なかなかお金が貯まらず、目標の達成がズルズルと引き延ばされるだけです。


 私自身、プライベートでも「週に一度、家族と食事」とか「月・水・金にマシントレーニングを20分」「本1冊を30分で速読」「カラオケの持ち歌を3曲増やす」といった具合に、目標を数値化して、楽しみながら夢に挑んでいます。


 目標を数値化したら、きちんと手帳に記入しておくことをお忘れなく! 手帳に記した目標数値を常に見て、現実の進行状況と照合して誤差を認識することで、目標にどんどん近付くことができるのです。


 私は常々、「習慣は人格をつくり、人格は運命をつくる」という言葉を標榜(ひょうぼう)していますが、数値化した目標こそがいい習慣を身につけるための重要ポイントだと思っています。



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