自分で注水する水冷BOX&空冷でRTX 5090 LPの性能を引き出す! “豪華”すぎるG TUNEの最強ゲーミングノートPCを徹底検証

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2025年05月30日 12:41  ITmedia PC USER

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マウスコンピューターから登場した「G TUNE H6-I9G90BK-C」は、水冷BOXを外付けできる16型のゲーミングノートPCだ。

 マウスコンピューターが展開するゲーミングブランド「G TUNE」シリーズから登場した「G TUNE FZ-I9G80」(H6I9G90BKCFDW101DEC)は、空冷と水冷BOXのハイブリッド冷却に対応した16型ゲーミングノートPCだ。


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 Core Ultra 9 275HXのCPUに、NVIDIA GeForce RTX 5090 Laptop GPU、SSDにはPCI Express 5.0 x4対応モデルを搭載するハイスペックで、300Hzの高速リフレッシュレート対応の液晶ディスプレイ、Nキーロールオーバーをサポートしたキーボードなど、最強の装備を誇る。実機を入手したのでレビューしていこう。


●ブラックカラーのシンプルなボディーを採用


 まずは、G TUNE H6-I9G90BK-CのノートPC本体の仕様から見ていこう。突起部分を除いたボディーサイズは約357(幅)×254(奥行き)×25.9(厚さ)mmで、重量は約2.58kgだ。画面の非表示部が狭いスリムベゼルデザインを採用していることもあり、スペックの割にはコンパクトにまとまっているが、実際持ってみるとずっしりとした重さを感じる。


 標準で付属するACアダプターは420Wの大出力で、水冷BOXと共用する。2024年モデルの330Wから大幅に引き上げられており、ブースト機能を備えたCPUやGPUのパフォーマンスをより発揮できるようになったとしている。


 また、2基装備するUSB Type-C端子は、USB Power Delivery(PD)からの入力に対応しているので(出力100W以上と記載されている)、USB PD機器を利用した運用も可能だ。


●RGBライティング機能も備えた水冷BOX


 G TUNE H6-I9G90BK-Cの最大の特徴は、水冷BOXが付属することだ。この水冷BOXはラジエーターとポンプを内蔵したユニットで、2本の水冷チューブでノートPC本体と接続する。冷却液として工業用精製水が付属しており、これをユーザー自身が注入して利用する。


 この水冷BOXを追加で利用することでCPUやGPUの冷却を強化でき、本体内部のファンの動作音も抑えることができることから静音化にも貢献するという。同社の測定によれば、CPUは約11度、GPUは約17度、動作温度が低下する結果が出ているという。また、RGB LEDライティング機能も備えており、光の演出が楽しめるのもうれしいところだ。


 チューブの取り付けや冷却水の注入を自身で行う必要があるが、手順はシンプルで一度覚えてしまえば何ということはない。BOX側のチューブにマグネットが内蔵されていたり、精製水をスムースに注入するための漏斗が内蔵になったりと従来機から使い勝手も改善されている。毎日着脱するような運用でもそれほど面倒ではないだろう。


●最強クラスのハイスペックを装備


 ゲーミングノートPCとしてのスペックは最強クラスだ。CPUはCore Ultra 9 275HX(開発コード名:Arrow Lake-HX)を採用する。ノートPC向けのCore Ultra(シリーズ2)としてはナンバー2のモデルだ。


 GPUはNVIDIA GeForce RTX 5090 Laptop GPUで、こちらはNVIDIAのゲーミングノートPC向けGPUとしては最強モデルとなる。24GBと大容量のGDDR7メモリを搭載しており、ゲーミングやクリエイティブ用途、生成AIでも高いパフォーマンスを発揮する。


 また、NVIDIA GeForce RTX 5090 Laptop GPUは通常はCPU内蔵GPU(Arc Graphics 140T)と状況に応じて使い分けされるが、常時NVIDIA GPUのみを利用する「ディスクリートGPU」モードも用意されている。GPU切り替えのロスがなくなるため、アプリによってはパフォーマンスが向上する。


●連続読み出しで毎秒1万超! PCIe 5.0対応の爆速SSDを標準搭載


 ストレージにPCI Express 5.0 x4対応の超高速SSDを標準で備えているのもトピックだ。評価機ではCFD製のSSDを内蔵していたが、ベンチマークの実測値で連続読み出し速度が毎秒1万MB超、連続書き込みも毎秒約7700MBと爆速だった。


 BTOでのカスタマイズにも対応しており、デュアルSSD構成も可能(PCI Express 5.0 x4対応は1基のみ)だ。PCI Express 4.0 x4対応SSDの選択肢は最大8TBまで用意されており、2基合計で最大16TBという大容量構成にもできる。


 メモリは標準で32GB(16GB×2/DDR5-6400)を搭載する。BTOでは64GB(32GB×2/DDR5-5600)の構成も選べる。


●画面とキーボードもゲーミング仕様


 16型の画面は非光沢仕様の液晶ディスプレイで、解像度は2560×1600ピクセル(アスペクト比16:10)に対応する。色域はインターネットコンテンツの標準であるsRGB 100%をカバーする。


 ゲーミング用途で重要視されるリフレッシュレートは、一般的な液晶ディスプレイの5倍に相当する300Hzをサポートしている。動画やゲームを滑らかに表示でき、反応が重要なFPSや格闘ゲームも有利な条件で戦える。


 キーボードは3列仕様のテンキー付きだ。キーピッチは約18.75mmで、キーストロークは約1.4mmとなる。大きなカーソルキーを独立して配置するなど、使いやすさにこだわりが感じられる配列で、タイピングの感触も非常に良い。


 複数キーの同時押しを正確に認識できるNキーロールオーバーにも対応しており、格闘ゲームなどのコマンド入力を正確に扱える。点字用アプリケーションの6点入力にも対応する。


●Thunderbolt 4、2.5GBASE-T有線LANなど豊富なインターフェイス


 通信機能は、2.5GBASE-T対応の有線LAN、Wi-Fi 7対応の無線LAN、Bluetooth 5を標準装備する。


 USBはUSB Type-C端子を2基、USB Standard-A端子を3基用意している。HDMI出力端子、MiniDisplayPort出力端子、SDメモリーカードスロット(SD Express 7.0対応)も用意する。


 液晶ディスプレイ上部のベゼルには、約200万画素のWebカメラとアレイマイク、顔認証対応カメラを内蔵している。Webカメラはレンズを物理的に隠せるプライバシーシャッター付きだ。


 CPUにNPUを内蔵しており、WebカメラはWindows スタジオ エフェクトによる自動フレーミングやアイコンタクトなどのカメラ効果を利用できる。


●GeForce RTX 5090 Laptop GPU搭載機の中でも際立つ性能


 ベンチマークテストでG TUNE H6-I9G90BK-Cの実力を検証しよう。特に言及がない限り、Mouse Control Centerのパワーセッティングは「パフォーマンス」、GPUは「ディスクリートGPU」、Windows 11の電源設定は「最適なパフォーマンス」で水冷BOXを利用し、ファン設定は「60%」で統一している。


 その結果だが、パフォーマンスは文句なしに素晴らしい。比較対象にはCPUとGPUが同じASUS JAPANの「ROG Strix SCAR 18 G835」の結果を掲載したが、CPUでレンダリングを行うCINEBENCH 2024(最低実行時間10分)もBlender BenchmarkのGPUレンダリングも、ゲーム向けのDirectX描画性能を計測する3DMark、UL Procyon Benchmark Suitesの生成AIのテストまで、一部を除いてほとんどのテストで比較対象を上回るスコアをマークしている。


 ストレージの速さにもこだわったハイスペックに加えて、420WのACアダプターと水冷BOXによる強力な冷却性能のアドバンテージが実証された形だ。空冷でもパフォーマンスが高いことから、ACアダプターの影響が最も大きいと思われる。


●水冷BOXの冷却効果は歴然


 水冷BOXの効果について、もう少し詳しく見ていこう。ここでは3DMark/Speed WayのStressTestを使って、水冷時と空冷時でどのくらいパフォーマンスや温度、動作音が異なるかテストした。


 結果の画面を掲載しているが、違いははっきりとでている。ベストスコアは水冷時6358に対し、空冷時6304とあまり変わらないが、ワーストスコアはそれぞれ6327と6227と開きが出ている。温度については、CPUで10〜20度、GPUは安定して18〜19度弱くらい水冷BOX利用時の方が低く記録されている。


 サーモグラフィーを見ると、空冷でも手がよく触れるパームレストの大部分は体温以下に保たれているが、水冷BOX利用時の方が明らかに赤色の部分が少なく、ボディー全体の温度が低く抑えられているのが分かる。


 動作音については少し複雑だ。空冷時はパフォーマンスモードだと高負荷時はもちろん、アイドル時もたびたびファンが回ってノイジーな印象だが、水冷BOX利用時は高負荷時の動作音は10dB前後も下がり、アイドル時はPC側のファンはほとんど回らなくなる。


 ただ、水冷BOX利用時は、水冷BOX自体の動作音が加わる。負荷にかかわらず、これ単体でビジネスPCの高負荷時くらいの音がしており、ラジエーターのファンの回転を40%にしてもあまり変わらない。


 そのため、水冷BOXをPCの近くに設置している限りは、高負荷時も一般的なゲーミングPCと大差があるわけではなく、逆にアイドル時は通常のゲーミングPCよりも存在感のある音がする。もちろん、水冷BOXをノートPCから遠くに設置すれば影響を軽減できるし、普段使いは空冷のバランスモードや静音モードで運用して、ゲームをする時だけ水冷BOXを接続して使うという手もある。


●高価な価格に見合う付加価値を備えたフラッグシップモデル


 マウスコンピューターの直販サイトでの販売価格は、評価機と同じ標準構成で69万9800円だ。さすがに高価ではあるが、CPUとGPUだけでなくメモリ、ストレージの速さにもこだわったハイスペックと水冷BOXと空冷のハイブリッド冷却により、ゲーミングノートPC最強クラスの中でも目立つパフォーマンスを実現している。


 さらに画面やキーボード、接続性までスキのない内容だ。これだけの対価を払えるエンスージアストを満足させる魅力はしっかりとある製品だろう。最高のゲーミングノートPCが欲しいという人は要注目の製品だ。



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