写真 女子SPA!で大きな反響を呼んだ記事を、ジャンルごとに紹介します。こちらは、「義実家・家族」ジャンルの人気記事です。(初公開日は2019年5月3日 記事は取材時の状況)
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新郎新婦それぞれの親族が一同に介する結婚式。ハレの日にもかかわらず結婚式や披露宴で、人様にはあまり知られたくない・見られたくない家庭内のゴタゴタが明るみに出てしまうことがよくあるようです。
篠山詩織さん(仮名・38才)も、結婚式でそんな経験をした一人。5年前に出席した兄の結婚式を機に、結婚に憧れを抱かなくなったといいます。
◆家族を捨てた父が花嫁とバージンロード…は非常識?
篠山さんの両親は、父親の浮気が原因で18年前に離婚。それぞれがすでに再婚している状態での結婚式だったそうですが、お互いに「元妻・元夫の顔は二度と見たくない」と言い張ったことで、準備段階から新郎新婦が頭を抱えることになりました。
「両親の確執が想像以上に深いことが発覚したのは、花嫁とバージンロードを歩く相手を決めていたときでした。花嫁は父親を早くに亡くしていて親戚も少なく、兄とは幼馴染み。小さい頃から家族付き合いがありました。
それならと花婿側である、うちの父に白羽の矢が立ったんですが、これを知った母が激怒しちゃったんです。“家族を捨てた男と花嫁が一緒にバージンロードを歩くなんて縁起が悪過ぎる!”って」
この一件が、離婚から10年以上経ち再婚した今も浮気されたことを許せないでいる実母だけでなく、せっかく得た大役を取り上げられてしまった実父もヘソをまげてしまい、前述の「二度と顔を見たくない」発言を招くきっかけとなってしまったそうです。
◆バツイチ両親の席は遠くに配置、写真撮影は別々に2回の徹底ぶり
結局、新郎の両親は結婚式当日までまったく歩み寄ろうとせず、花嫁はバージンロードを高校時代の恩師と一緒に歩くことになったとか。
親族揃っての記念写真の撮影に至っては、新郎側の両親だけ入れ替わる形で行われたというから徹底しています。
「撮影自体にそんなに時間はかからなかったのですが、両親が入れ替わる間、待たされている親族たちのシラけた空気は今思い出してもゾッとします。式場スタッフの方もうちの両親が待ち合わせ室などで鉢合わせしないように最善を尽くしてくださって、申し訳ないやら、恥ずかしいやらで」
また、披露宴の席次表やお色直しの介添人選びにも新郎新婦の“気づかい”がハッキリと現れた形になったそうです。
「披露宴で父と母は一番遠い席に座り、それぞれのテーブルには私たち弟妹が均等にあてがわれるように配慮されていました。たとえば私は母側、次男は父側、下の妹は不平等にならないように、なんと司会者をやらされていました。
一般的には新郎新婦の両親がするお色直しの介添人も、兄たちは親友が付き添う形で切り抜けていました。とにかく少しでも相手とちがうと“ずるい!”“許せない”と言い出すので、兄も相当苦労したと思います」
◆両親それぞれの再婚相手にも気を使いまくり
当時も今も、両親の再婚相手との関係は良好だという篠山さん。しかし、それでも披露宴では二人に対する気苦労もかなりあったよう。
特に、空気が読めない父の再婚相手(=義母)の対応にはそうとう気を使ったといいます。
「義母はなんていうか陽気すぎる気質なんです。母のテーブルに座っている私に向かって、“詩織ちゃんこっちにおいで! みんなで写真撮ろう”とか、まったく空気を読まずに声をかけてきたりして。
その声を聞いて隣で母がイライラしているのは分かるし、かといって行かなければもっと大きな声で呼びかけてくるし、周囲の人にも変に思われちゃうしで本当に困りました」
また、披露宴での母親の再婚相手(=義父)の態度を見て、“我こそが新郎の父親”と密かに思っていることが伝わってきたといいます。
「逆に義父はおとなしい性格で、あまり自分を主張する方ではないんです。だから、準備段階では一つも文句は言ってこなかったんですけど、披露宴の最後に父がドヤ顔で謝辞を読んでいる時はさすがに悔しそうでした。
立場がないっていう気持ちもあったでしょうし、“あいつは浮気男、俺の方が父親としての資格がある”という意識もあったと思います」
わがままな両親に振り回されつつも、取っ組み合いのケンカも怒鳴り合いもなく無事に式と披露宴を終えた新郎新婦。その一部始終を見ていた篠山さんは、「あんな思いをするくらいなら結婚なんてしなくていい」 という結論に至ったとか。
現在、同棲5年目の彼氏がいるそうですが、結婚の予定はまったくないそうです。
<文/橘エコ イラスト/ワタナベチヒロ>
【橘エコ】
アメリカ在住のアラフォー。 出版社勤務を経て、2004年に渡米。ゴシップ情報やアメリカ現地の様子を定点観測してはその実情を発信中。