ロバーツ監督の「偏向起用」が大谷翔平の打撃にも影響?「継投ミス」以上に目立つ“ある采配”に批判が常態化

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2025年05月30日 16:10  日刊SPA!

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「Los Angeles Dodgers」公式Xポストより引用
 一時、ロッキーズを除く4チームが勝率5割を超えていたナ・リーグの西地区。ここにきて、ダイヤモンドバックスの勢いに陰りが見え始め、日本時間29日現在で借金を2個抱えている。
 強豪ひしめくこの地区で首位に立っているのはもちろんドジャースだ。ただ、圧倒的な戦力を保持しながら、直近10試合で5勝5敗となかなか波に乗り切れていない。

◆ロバーツ監督の継投策に厳しい意見も

 同一カード3連勝を狙った29日のガーディアンズ戦は、7回を終えた時点で2点をリードしていたドジャースだが、7回途中からマウンドに上がっていたタナー・スコットが8回裏に4失点と炎上。結果的に手痛い継投ミスとなり、ガーディアンズに逆転負けを許した。
 チーム最多の10セーブを挙げているスコットだが、この日を含めた直近5試合で9失点と状態は最悪。SNSなどでは、デーブ・ロバーツ監督の継投策に対する厳しい意見も少なくなかった。

 ドジャースといえば、佐々木朗希ら先発陣に故障者が続出しており、その影響が救援陣の登板過多につながっている。今週に入って、34歳の救援右腕クリス・ストラットンを獲得したものの、夏までにさらなる補強に走ることは間違いないだろう。

 ロバーツ監督の継投策に対しては以前から批判の声が少なくないが、今季も残り4か月間の長丁場でいかに投手陣をやりくりしていくかに注目が集まる。

◆コンフォートの“我慢の起用”にも不満の声

 そんなロバーツ監督に対する批判の声は、継投策だけでなく、打者の起用法にも及んでいる。

 もっとも顕著なのが、外野手のマイケル・コンフォートの扱いだろう。昨季オフに1年1700万ドル(契約当時のレートで約24億3000万円)で獲得した左打ちの長距離砲だが、今季は開幕から絶不調。出場した50試合で54三振とバットは空を切り、打率も1割台の低空飛行が続いている。

 29日の試合は相手先発投手が左腕だったためスタメンを外れたが、我慢の起用を続けるロバーツ監督に我慢できないドジャースファンも増加中だ。

◆「キム・ヘソン起用」を求める声が急増

 そんなコンフォートに代わって「もっと起用すべきだ」という声が高まっている選手がいる。それが、今月上旬にメジャーデビューを果たした韓国出身のキム・ヘソンである。

 打率.172のコンフォートに対して、同じく左打ちのキムは43打席と試合数は少ないものの.366という高打率を残している。メジャーでは二塁、遊撃、中堅と3つのポジションを守ったが、あくまでも本職は二塁。コンフォートに代わってキムを起用するためには、守備位置をシャッフルする必要があるものの、これだけの高打率を残している選手をスタメンで使わない手はないだろう。

 ところが、一時は打率4割を超えていたにもかかわらず、キムのスタメン起用は限定的。相手が左投手の時はまだしも、右腕投手が相手でもなかなかスタメンを張れない試合が続いている。これには韓国メディアだけでなく、現地メディアでも批判の声が少なくない。

 例えば、試合がある日はドジャースの公式Xでスタメンがポストされるが、キムがスタメンを外れた日は、コメント欄に「なぜキムを使わないんだ」「コンフォートよりキムを使え」といった反応が常態化している。

 メジャーリーガーとしての実績はコンフォートが断然上なのは間違いないが、あからさまなロバーツ監督の選手起用には「偏向起用だ」という声もちらほら聞こえる。

◆キムがスタメン時は大谷の打率が上昇

 また、キムがスタメンに名を連ねるかどうかは、主砲の大谷翔平の打撃にも少なからず影響している。

 キムがメジャーで初めてスタメンに起用されたのは、日本時間6日のマーリンズ戦だった。それ以降、キムが先発した試合とスタメンを外れた試合の大谷の成績を比較すると、小さくない違いがあった。

【5月6日以降の大谷の主な打撃成績】
キム・ヘソン スタメン時: 12試合、打率.362、9本塁打、16打点
キム・ヘソン スタメン外: 10試合、打率.209、3本塁打、8打点

 これまでスタメンに名を連ねた12試合でキムがになった打順は8番もしくは9番。今季のドジャースは開幕から下位打線がアキレス腱と言われ続けていたが、キムはこれを覆す活躍を見せていた。

◆キムの足の速さがもたらす影響

 また、この打順でキムが出塁することによって、当然、走者が塁上にいる状況で1番・大谷を迎えるケースが多くなる。

 キムは今季すでに企図した4つの盗塁をすべて成功させるなど、足の速さには定評がある選手だけに、相手投手の打者・大谷に対する集中力がある程度、分散を強いられることになる。それが打者・大谷に好影響をもたらしていたといえるのではないか。

 もちろん、キムが凡退する場面も多々あったが、下位にキムがいることが、大谷にいい化学反応を与えていたとも考えられる。今月6日以降の大谷の打撃成績を見れば、その差は歴然だ。

 ロバーツ監督は今後、キムをスタメン起用する頻度を上げていくのか、それともコンフォートを優先的に使い続けるのか——。

 ドジャースは、12個の貯金があるとはいえ、保持する戦力からすれば、もっと勝っていてもおかしくないチーム。投手陣の整備と、1番・大谷につながる下位打線の選手起用法が、ロバーツ監督に与えられた大きな課題となりそうだ。

文/八木遊(やぎ・ゆう)

【八木遊】
1976年、和歌山県で生まれる。地元の高校を卒業後、野茂英雄と同じ1995年に渡米。ヤンキース全盛期をアメリカで過ごした。米国で大学を卒業後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLの業務などに携わる。現在は、MLBを中心とした野球記事、および競馬情報サイトにて競馬記事を執筆中。

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