中国外務省の林剣副報道局長=7日、北京(EPA時事) 【北京時事】中国の習近平政権が日本産水産物の輸入再開へかじを切った。ほぼ2年間にわたり全面禁輸措置を取ってきたが、追加検査の実施を条件に輸入手続きを進める構え。日本との関係改善に動く中、中国としてはメンツを保った形での合意となった。
「水産物の安全性を確保するため、日本が目に見える措置を講じる」。中国外務省の林剣副報道局長は30日の記者会見でこう主張した。合意では、日本からの初回輸出前に日本側で放射性物質に関する追加検査を行うことが決まった。日本の水産業関係者は当局者の話として「意味がない措置だが、中国はここに関し最後まで譲らなかった」と話した。
ただ、中国としても、長引く禁輸は政治的な負担となっていた。東京電力福島第1原発の処理水を「核汚染水」と呼び、2023年から日本産水産物の全面禁輸に踏み切ったものの、国際的な支持は広がらなかった。風評被害は中国産にも及び、国内のSNSには苦境を訴える漁師らの声が投稿された。
林氏は会見で輸入再開を巡り、「科学や安全、国内法規や国際貿易のルールに基づき検討する」と、主体的に時期を決める考えを強調した。先の業界関係者は「中国は国内世論や対日関係を踏まえながら、時期を探っていくはずだ」と予想した。